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SABU監督新作『Miss ZOMBIE』インタビュー ~「ゾンビが居る日常」と「色の無い世界」と「音」

SABU

SABU監督最新作『Miss ZOMBIE』が2013年9月14日より公開される。
SABU監督が監督、脚本、原案いずれも手掛けた完全オリジナル作品は『幸福の鐘』以来、実に10年ぶり。

日常にゾンビが入り込み、人々の生活は、心の形はどう変わってしまうのか。
今回、『Miss ZOMBIE』公開に先立ちSABU監督に話を伺うことができた。

マニアックなファンからは「毒」を求められた

―『Miss ZOMBIE』の構想時期はいつごろでしたか。
去年の8月?9月くらい?いや、もうちょっと前ですね。6~7月でした。

SABU

―最近ですね。久しぶりの完全オリジナルである今回の『Miss ZOMBIE』、違った手ごたえなどありましたでしょうか?

今回の作品はもともと低予算作品と決まっていたので、割と初心に帰りました。
最初の『弾丸ランナー』やったときとか、そういう初心に。

(原作付きの作品である)『蟹工船』とか『うさぎドロップ』とか、あのあたりやってから、海外の映画祭とか回ったんです。

『うさぎドロップ』は特にそうですけれども、原作のファンが居るんですね。そういったみなさんも「面白かった」とは言ってくれるし、(興行的にも)結構入ったんです。けれども、それでもね、結構マニアックなファンも多くて「毒が今回なかったぞ」とか(笑)いろいろ言ってる人も居たりして。

低予算で面白い事とか、すごくやりたくなってた時期でもあって、その自分のやりたいことを自由にやれるって環境が今回あったんで、「勝手なことやってもいいか?」って言ったら、「いい」って言うんでやらしてもらおうと思って(笑)

5日半で87シーン全てを撮り終えた

―その低予算というところに関して言うと、今回、スケジュールが5日間と半日で87シーンを撮り終えたと聞いています。

もともとあんまり予算が無いというのを聞いてて脚本書いたんです。
けど、その中でも“定番”は書きたくないし、コメディや笑いで逃げる作品にはしたくなかったんで、できるだけシリアスにはしたいと思ってました。

あと、低予算をウリにはしたくなかったんで、絶対そういう風には見えないようにしようと。

モノクロ、シネスコ、女性主演

―全編モノクロームでした。

モノクロやってみたかったんです、ずっと。監督は多分みんな、モノクロやりたいって人多いと思うんですけど、なかなかやっぱり、勇気が、ねぇ(笑)。
こっちに勇気があっても、プロデューサーにはなかったりね。

―周りがさせてくれない。

今回は単純にきれいとかオシャレとかじゃなくて、モノクロで撮ることに意味を持たせることができたと思います。
描写・演出面で、「そういうのがいいなあ、脚本の上で面白いなあ」と思ってた事が出来たので。

あとモノクロってどこ撮ってもオシャレに見えますね(笑)
スタッフがすごく頑張ってくれたんで、それ以上になりましたけどね、結果的には。

―モノクロに併せ、シネマスコープというフォーマットもとられました。『うさぎドロップ』でもシネスコは使われてましたが、ここ、なにかこだわりとかおありですか?

映画っぽいっていうか(笑)。シネスコサイズは面白いですよ。
テレビで一度『トラブルマン』って深夜の連ドラでもやったことあるんです。普段テレビやられてるカメラマンはそのサイズでやってしまうと、それが癖になるってくらい絵になりやすいんですよ。
上下、こう切ってるだけですごく。

―人間の視界に近いなんて言われ方もされてますけど。

そうなんですよね。

―今回「やってみたかったから」という言い方になるんですかね。モノクロもシネスコサイズも。

そうですね。シネスコ、モノクロ、女性主演ってのも、やってみたかったんですよね。

―そう、女性主演初めてですよね。沙羅さん役の小松さん。

はい。

―小松さんとの出会いについては、きっかけなど?

最初はプロデューサーからの推薦でした。小松さんは本当に良かったですね。すごく良かったんでビックリしました、期待以上だったんで。

―今回、割と新たなメンバー、という印象です。手塚とおるさんはいくつかご一緒されてますが。これは、あえての試みというか、狙いなどはありますか?

そうですね……自分でもいろんなこと経験したいし、自分とまた違うリズムの俳優さんと出会うのも面白いですし。ムカつくときもありますけど(笑)その辺の出会いは楽しいですからね。

音を“引き算”して映像に集中できた

―個人的な印象ですが、SABU監督の作品は、音の使い方も特徴的だと感じています。
今回も沙羅がずっと作業で発している音だったり、悲鳴のような音、そして無音部分……音の使い方がものすごく繊細に感じました。
映像と音の相乗効果に関しては、監督ご自身、強く意識されてますか。

もともと「音楽には頼らないぞ」って前から思ってて。
音楽で泣かそうってこともできるかもしれないけど、そういう手段は最後の手段にとっておいてね(笑)。

実際になってる環境音とか、そういうのがすごい効果的になっていくのは大好きなパターンなんです。

ハリウッド映画とかは、音をどんどん“足していく”ってのがあって、すごい音が出来上がって、それが醍醐味だったりするんですけど、音を“引いて”いく、ってなると映像に集中していく、それだけ緊張感が生まれてるくんで、そこも狙いでした。

―“鼻歌”がすごく耳に残ってしょうがないんです。

鼻歌ねー(笑)。
鼻歌も実際に現場で、「ちょっとやってみましょうよ」って。ああいうの、実は難しいんですよ。メロディーがあるようでない、っていうか。しかもゾンビですしね。それで、普段と変わってないけど、足取りが軽やかになっているような印象。不気味にも見えたり。どっちにも転がるような画でないといけなかったんで。

―伝えるのが難しい場面だったんですね。

割と簡単にやってくれたんで、嬉しかったですよ。

シリアスであるけれど愛情が見えるものにしたかった

―先ほど、笑いにはしたくない、とおっしゃいました。これまでの『SABU FILM』の持ち味には、笑いだったり、人との連鎖、というような要素があったと思います。
『Miss ZOMBIE』では、人間でない生き物である沙羅の「魂」に焦点が合っていたように感じました。
シリアスでなおかつ、こういう魂などに焦点を当てたとしたら、それはどうしてでしょう。

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記者:

「予備校生のような出で立ち」で写真撮影、被写体(スチル・動画)、記者などできる限りなんでも、体張る系。 「防水グッズを持って水をかけられるのが好き」などの特殊な性質がある。 好きなもの: 食べ物の写真、昔ゲーム(の音)、手作りアニメ、昭和、穀物

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