人はいつからいきなり「馬鹿」と言い始めたか

access_time create folder生活・趣味
人はいつからいきなり「馬鹿」と言い始めたか

今回はメカAGさんのブログからご寄稿頂きました。

人はいつからいきなり「馬鹿」と言い始めたか

某プロブロガーに「いきなり面と向かって馬鹿とはいわないでしょ」と言われた。ネットではいきなり馬鹿という人が多いという話の中で。

この「いきなり」が俺の頭の中で、引っかかった。多くの人は初対面の人間にいきなり「馬鹿」と言われるのは容認しがたいが、それなりの付き合いができた後なら、さほど意外ではないということなのだろう。まあ学生時代の友人同士なら、馬鹿だアホだと言い合うだろう。

では初対面と友人ではなにが違うのか?相手に関する情報をどれだけ持っているかかもしれない。こいつはこういうやつで、こういう場合に「馬鹿」という・・・とか情報があればいいわけだ。逆に初対面の人間は、自分の事をろくに知らないはずなのに、なんでそんな奴に馬鹿と言われなきゃならないんだ、と思うのだろう。

   *   *   *

しかし自分に取って相手は初対面でよく知らない人間の場合でも、相手は自分をよく知っているケースはある。たとえば遠縁の叔父とか、叔父の方は子供の頃から俺を知っているが、俺の方はそんなの忘れてしまっていたりすると、馴れ馴れしく話しかけられて戸惑うことがある。「この人、誰だっけ?」と。つまり保持している情報は非対称なのだ。

芸能人やマンガ家が、ときどきこぼす。すごく馴れ馴れしい文体で手紙を書いてくるファンがいる、と。ファンにしてみればその芸能人やマンガ家は、テレビで見たり、週刊誌で私生活を報道されたり、マンガ家な作品や作者近況などで、いろいろ情報を知っているわけだ。一方、芸能人やマンガ家にとっては、そのファンは初対面の人間でしかない。

   *   *   *

こういうケースはむかしからあったと思うのだよね。ネットなんてない時代でも。ただネット以前はファンレターを出すぐらいしかファンから芸能人への伝達手段がなかったので、さほど問題にならず、「ちょっと気持ち悪いファン」程度で処理されていたのだろう。

マンガ家もときどきこぼしているように思う。作品について「こうした方がいい」と、すごく偉そうに意見をいうファン。編集者気取りのファン。アニメでも監督がしばしばファン(というかオタク)を疎ましく思うの同様。

人間は自分がよく知っていることは、何かとあれこれ語りたがるものなのだ。たた有名人とファンでは、互いに相手に関する持っている情報量が違うので、それが有名人にとっては当惑の原因になる。

ネット時代になって、ファンも芸能人などと対等に公の場で発言できるようになった。なので目立つようになった。

   *   *   *

そもそも仲間内で、あの芸能人の言動はどうだ、あれはダメだろう、こうすべきだろう、とか偉そうに酒の肴として語ることはむかしからあったと思う。それが目立つ場所でおおなわれるようになっただけだろう。

ある意味冷蔵庫コンビニ店員と同じ。いままでもあの程度の悪ふざけは仲間内で行われていたのだろう。ただそれが人々の目に触れなかっただけのこと。

「安倍総理は馬鹿」とか批判しているジャーナリストも、みんな安倍総理と面識があるとは思えない。面識もない相手に馬鹿というのは失礼な気がする。あまり問題にならないのは、ある程度以上の立場の人間は、そういう批判がされるのは仕方ないと割り切っていたのだろう(いわゆる有名税ですな)。最近は堪え性のない人が増えたのかもしれない。

   *   *   *

となると問題を突き詰めれば、自分の知らないところで「馬鹿」と言われるか、自分の目に触れるところであからさまに「馬鹿」と言われるかの違いということになる。いままでも有名人は自分の知らないところで「馬鹿」と言われていたのだ。

ネットで「馬鹿」ということを禁止した場合、また目に触れないところで「馬鹿」と言われる状態に戻るだけ。どうなのかねぇ。それで社会は良くなったといえるのだろうか。

執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年09月04日時点のものです。

  1. HOME
  2. 生活・趣味
  3. 人はいつからいきなり「馬鹿」と言い始めたか
access_time create folder生活・趣味

寄稿

ガジェット通信はデジタルガジェット情報・ライフスタイル提案等を提供するウェブ媒体です。シリアスさを排除し、ジョークを交えながら肩の力を抜いて楽しんでいただけるやわらかニュースサイトを目指しています。 こちらのアカウントから記事の寄稿依頼をさせていただいております。

TwitterID: getnews_kiko

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。