ダッチバイクのある風景
最近周りに自転車通勤する人が増えているような気がします。今回は自転車先進国オランダの自転車事情についてスキポールさんにご寄稿いただきました。
ダッチバイクのある風景
チューリップや運河のイメージが強いオランダだが、この国は知る人ぞ知る自転車先進国だ。人よりも自転車の数が多いというこの国は、九州ほどの面積しかない平たい国土に、およそ1万8000kmにも及ぶ自転車専用道が整備されている。歩行者と自転車と車とがそれぞれ独立して安全に行き来することができるインフラは実に素晴らしい!ルールがわかっていない観光客が自転車レーンに突っ立っていたりでもしたら、猛スピードの自転車にベルを鳴らされたり、にらまれたりすることもあるが、それは自転車文化がこの国の中に確立されている証拠でもある。
政府や企業の働きも優秀で、自転車通勤の人には自転車購入費用の何%かの手当が支給されるケースも少なくない。このような効果もあってか、外出時の自転車使用率は約30%、毎日の自転車通勤通学率にいたっては50%近い。さすが「女王様も自転車で買い物に出かける」と言われているオランダだけのことはある。
国土の1/4が水面下というこの国は、地球温暖化による海面上昇問題に直面していることから、人々の環境問題に対する意識は高く、まさにエコとして自転車を利用している面も大きい。
オランダも最初から自転車先進国だったわけではない。例えば旧市街への車の乗り入れ禁止など、自転車を優先させることに関して、当初市民は反発していたという。ここまでの道のりは決して簡単なものではなく、長い年月をかけて自転車文化が発達してきたのだ。日本もあきらめてはいけない。
オランダでレンタサイクル
もしあなたがオランダへ行く機会があれば、自転車のレンタルがオススメだ。オランダには各所にレンタサイクル店があり、例えば中央駅を降りて右側に店を構えるMacBike(http://www.macbike.nl/)では、7ユーロからレンタルが可能。レンタルの際は、パスポートなどの身分証明書の他に、50ユーロかクレジットカードをデポジットとして預ける必要がある。
道や交通ルールに不安があれば、15ユーロで参加できるガイドツアーを利用するのもいいだろう。アムステルダムの街は自転車で散策するにちょうど良い大きさで、道もずっと平坦(へいたん)で安全だ。ぜひサイクリングを楽しんでみてほしい。この国の風土、そして自転車の必要性や利便性を肌で感じることができるだろう。
自転車にはガッチリチェーンキー
街中で見かける大半の自転車は、いわゆるオランダの伝統的な実用自転車(通称:ダッチバイク)で、質実剛健なフレームとどこか可愛らしいルックスが魅力だ。一方で盗難が多いのも事実。年間約80万台が盗まれるというオランダでは、バイク用と見間違えるほどの太いチェーンキーを使って運河の柵(さく)などに固定するのが普通だ。それでも盗まれる場合があるため、きれいな自転車やニューモデルなどは家の中に停めておく必要がある。
愛車を長く使い続けるオランダ
自転車が消耗品ではなく、どちらかと言えば贅沢(ぜいたく)品とされているオランダでは、価格は決して安くはない。しかし、「良いものを長く使い続ける」というオランダ人は、ボロボロになっても修理を続けたり自分でペイントを施したりして、何年何十年と乗り続けている。だから、街中では古めかしい自転車ばかりが目立っている。簡単に新しい自転車に買い換えるのではなく、自分のお気に入りの1台を大切に使い続けるのである。
日本でも入手可能に
そんなダッチバイクが、昨年から日本でも購入できるようになった。数あるメーカーの中でも最も古く「自転車ベンツ」と称されている1892年創業のブランド『Gazelle(ガゼル)』だ。
Dutch-Bike.com『Gazelle(ガゼル)』説明ページ
価格はそれなりに高いが、飽きのこない美しいデザインの『Gazelle(ガゼル)』の自転車は王室御用達でもあり、オランダではスタンダード。日本ではまだ無名に等しい『Gazelle(ガゼル)』だが、来年の春あたり日本で何かを計画しているようなので、こちらも楽しみだ。
一生乗り続けられ、かつ所有満足度を得られる自転車として、今ブームのスポーツバイクとは一線を画すオランダスタンダードの実用自転車。こんな選択も粋ではないだろうか。
サドルを高く設定し、オシャレをして爽快(そうかい)に街を走れば、あなたもアムスっ子だ!
執筆: この記事はスキポールさんよりご寄稿いただきました。
文責: ガジェット通信
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