赤べこのいる図書館へ。福島県「会津若松市立会津図書館」【ぶらり、図書館めぐり】
学びを愛する、会津若松。
本好きライターによる散策企画『ぶらり、図書館めぐり』第9弾は、福島県の「会津若松市立会津図書館」を訪れました。
城下町の日常に溶け込む、“会津の学び舎”
鶴ヶ城を中心に、歴史ある街並みが今も残る城下町・会津若松。そこに佇むのが、“會津稽古堂”の愛称で親しまれる「会津若松市生涯学習総合センター」です。
1階には市民ギャラリーや多目的ホール、スタジオ、3階には研修室や和室などを備え、地域に開かれた施設となっています。
エスカレーターで2階へ上がると、そこからは本の世界が広がっています。
図書館の入り口には、荷物を預けられる無料ロッカー(100円リターン式)も。
中へ足を踏み入れると、白い壁と明るい木目、その間を満たす陽の光。ワンフロアの館内は、背筋がすっと伸びるような開放感に包まれていました。
静かな学びが受け継がれる、会津という土地
この図書館で感じたのが、勤勉な空気。
学習スペースやPC席など用途ごとに分けられた座席には、学生だけでなく社会人やシニア世代の姿もあります。
「勉強している人が多い」というより、それぞれが自分の課題に静かに向き合っている。学ぶことが、特別な行為ではなく日常の一部として根づいているように見えました。
そして会津の歴史を紐解くと、学ぶことを尊ぶ風土が、長い時間をかけて培われてきたことが分かります。
その象徴とも言えるのが、江戸時代に設けられた藩校「日新館」。藩校とは、今で言う学校のような存在で、武士の子どもたちに読み書きだけでなく、思想や礼儀、武術までを教えていました。
物理学者・山川健次郎も、9歳からこの日新館で学んだ一人。会津藩士の家に生まれ、15歳で白虎隊へ入隊、戊辰戦争で敗北を味わいます。その悔しさを胸に学問の道へ進み、明治期には米国・イェール大学へ留学。後に帝国大学総長を務めました。
館内に置かれた彼の銅像は、日新館から続く「学びを重んじる精神」が、今も会津に静かに息づいていることを物語っているようです。
利用者の声に寄り添う、“愛”のある選書
この図書館は、学びを大切にしてきた会津若松の人々を、今も現在進行形で支えています。
専門書から実用書、娯楽としての読書までジャンルは幅広く、書架を眺めていると、利用者はもちろん、図書館スタッフの方々自身も「本が好きなんだろうな」と感じさせる丁寧な選書が印象的でした。
可愛らしいポップで飾られた「子育て応援コーナー」には、育児に関する本がずらり。
地元の学生が多いことから、ティーンズコーナーにも力を入れているそうです。
受験や就活のテキストだけでなく、クリエイティブコーナーと題した書架にはイラスト、プログラミングなど、今の関心にきちんと寄り添った書籍が並びます。
アンケートボックスを設置し、ティーンたちの声を選書に反映する仕組みも。
スタッフ手作りのおすすめ書籍紹介のパンフレットからは、「必要な人に、必要な本を届けたい」という温かな愛情が伝わってきました。
子ども目線で整えられた、本の空間
入口右手に広がるのが図書館全体の約半分を占める、広々とした児童書コーナー。
目を凝らしてみると、子どもたちが自然に本と出会える工夫が、あちこちに散りばめられています。
椅子も書架も、すべて子どもサイズ。
蔵書検索用のパソコンも、小さな手にすっとなじむ高さです。
そんな空間を、見守っているのが、福島県の郷土玩具・赤べこ。
赤べこが描かれた「読書ノート」も、スタッフの手作りです。
読んだ本を記録していくことで、読書が少しずつ「自分だけの時間」になっていく。そんなやさしい仕掛けが、この場所には用意されていました。
学びは、今もこの街の真ん中に
日新館から受け継がれてきた「学ぶことを大切にする心」は、今もこの街でちゃんと居場所を持っています。
図書館で机に向かう人や、本を手にする子どもたちの姿を見ていると、学びが特別なものではなく、暮らしの一部としてそっと根づいていることが伝わってきました。
会津若松市立会津図書館
住所 :〒965-0871 福島県会津若松市栄町3-50
會津稽古堂/会津若松市生涯学習総合センター2階開館時間:月~土曜日:9時~19時
日曜日・祝日:9時~18時
休館日 :月末の平日1~2日程度、年末年始(12月29日~1月3日)、特別整理期間アクセス:JR「会津若松駅」より徒歩20分
バス停:[神明通り]下車 徒歩5分
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