まるで書斎。名建築家の美技が息づく沖縄県『浦添市立図書館』【ぶらり、図書館めぐり】

ずっとここに来たかった。

本好きライターによる散策企画『ぶらり、図書館めぐり』。第8弾は、沖縄県・浦添市にある「浦添市立図書館」を訪れました。

那覇から約30分。浦添城跡や美術館が集まる浦添カルチャーパークの一角に、日本を代表する建築家・内井昭蔵氏が手がけた図書館があるのをご存じですか?

初めてなのに、懐かしい。赤瓦とブーケンビリアの花がお出迎え

赤瓦屋根に、コンクリート打ちっぱなしの外壁。ブーゲンビリアが彩る玄関口に立つと、初めて訪れたはずなのに、どこか懐かしい気持ちになります。

設計を手がけたのは、世田谷美術館や皇居・吹上御所でも知られる建築家・内井昭蔵氏。

すぐ近くには、同じく内井氏が設計した浦添市美術館があります。塔と回廊が印象的なその建築は観光客にも人気ですが、1985年に開館したこの図書館は、声高に語られることのない、知る人ぞ知る名建築。

特別な場所としてではなく、地元の人たちの暮らしのなかで、40年以上にわたって静かに使われ続けてきました。

息をのむ美しさ。“書斎の延長としての図書館”

まず案内したいのが、1階の閲覧室です。

吹き抜けの天井からやわらかな自然光が降り注ぎ、木製の本棚と家具が静かに並ぶ大空間。内井氏が掲げたのは、“書斎の延長としての図書館”という考え方。

閲覧室はワンフロア構成ですが、階段を上がると、景色がふっと変わります。

現れるのは、コの字型に巡る“もうひとつの通路”。緑色の手すりと照明、壁一面を埋める本棚に囲まれた回廊は、どこかロマンティックで、視線も気持ちも自然と奥へと誘われます。

上から見下ろす閲覧室の眺めがまた美しく、気づけば本を開く手を止め、しばらくその光景に見入ってしまいました。

子どもも大人も。気兼ねなく楽しめる空間づくり

1階には、絵本や紙芝居が並ぶ児童室があります。木製の本棚や机は子どもの目線に合わせたサイズで、空間そのものがやさしい設計。

アクリル張りの「お話コーナー」では、 親子や団体の利用者の方々が、読み聞かせを行っています。多少の声や音を気にせず過ごせるつくりが、親子にとって安心できる居場所を生んでいました。

沖縄を読む、知る、蓄える。郷土資料も充実

2階にあるのは「沖縄学研究室」。受付カウンターには、赤瓦をモチーフにした手作りの装飾があしらわれています。

沖縄県や浦添市の郷土資料をはじめ、又吉栄喜氏など沖縄出身作家の作品も並び、観光だけではなかなか触れられない“沖縄の内側”に出会える場所です。

図書カードには、素朴な表情のマスコットキャラクター「ぶっくまん」。図書館の10周年を記念して誕生し、今も市民に親しまれています。

書斎のような居心地。優しく受け継がれる建築美

木の温かみと、やわらかな光。
机に向かい、本をめくるだけで、気持ちが整っていきます。

書斎にいるような感覚で、誰もが思っていた以上に長居してしまいそうな空間になっていました。

浦添市立図書館
住所:〒901-2114 沖縄県浦添市安波茶二丁目2-1
開館時間:午前9時30分〜午後7時
休館日:月曜日、祝日(及び6月23日※慰霊の日)、定例館内資料整理日、年末年始(12月29日〜1月3日)、蔵書点検等(その他臨時休館あり)
アクセス:徒歩やバスでの来館が便利(図書館前バス停など)。駐車場は隣接のカルチャーパーク駐車場を利用可(専用駐車場なし)。

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ぴかっとさん

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北海道生まれのアラサー。おでかけと図書館が好きで、色んな場所をフラフラしています。健康です。

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