“貸さない”図書館で知的な寄り道を―『札幌市図書・情報館』【ぶらり、図書館めぐり】

“本の貸し出し”をしない図書館が提案する新たな価値。

図書館好きライターによる散策企画『ぶらり、図書館めぐり』。第3弾は、北海道・札幌駅の中心部に位置する「札幌市図書・情報館」を訪ねました。

最寄りの地下鉄「大通駅」から、地下歩行空間(チカホ)直結で徒歩数分。ビジネス街にほど近い「札幌市民交流プラザ」の一角にある「札幌市図書・情報館」は、デザイン性と機能性を兼ね備えた、都市の喧騒を忘れさせてくれるような“知のオアシス”です。

ガラス張りの空間は、心地よい自然光に包まれ、まるでカフェのような開放感。

ミーティングルームや、パソコン作業に適した席も完備されており、多様なニーズに応えるサポート体制が整っています。

あえて「貸さない」— 新しい図書館の哲学

札幌市図書・情報館では、資料の貸し出しは行っていません。

「はたらくをらくにする。」をコンセプトにデザインされた館内には、約4万冊の本が並んでいます。

小説や絵本のコーナーはなく、仕事・暮らし・芸術などにまつわる本が中心。さらに、貸出を行わず“館内閲覧専用”とすることで、いつ訪れても最新の情報に出会える環境が整えられています。

会話に飲食、PCも。のんびりと自分らしくいれる場所

「静かに読む場所」という印象の図書館ですが、ここでは会話やPC利用、飲食ができるスペースも完備するなど多様な過ごし方が尊重されています。

やさしい灯りが印象的な2階建ての空間は、居心地の良さが随所に感じられます。

飲食可能な1階スペースには、カルチャー雑誌や北海道にまつわる書籍、企画展示などが並び、ふらっと立ち寄りやすい開放的な雰囲気です。併設カフェ「MORIHICO.(モリヒコ)藝術劇場」との連携により、本とコーヒーをそれぞれのスペースに自由に持ち込めるのも魅力のひとつ。

2階には、仕事に役立つ「WORK(ワーク)」、暮らしを支える「LIFE(ライフ)」、芸術に触れる「ART(アート)」と、3つのテーマに沿った本棚が並びます。

PC作業に便利なコンセント付きの席や、ひと息つける一人掛けのソファ、静かな読書にぴったりのリーディングルームなど、用途に合わせた座席が充実。館内全体で約200席が用意されています。

館内にはWi-Fiが整備されており、荷物を預けられるロッカーも完備。身軽に過ごせるのも嬉しいポイントです。

また、5名以上で利用できるミーティングルームも用意されており、打ち合わせやディスカッションの場として活用できます。

これらの座席の一部は予約制となっており、予約には貸出券が必要です。貸出券は札幌市内に在住または通勤通学をされている方が対象ですが、市外の方もカウンターで利手続きを行えば、予約席を一時利用できます。

ふと立ち止まる贅沢―目的がなくても寄り道したい場所

こんなに満たされた気持ちになるのはなぜだろう。

ひとり掛けのソファで、黙々と考える人もいれば、パソコンで仕事をする人、グループで資料を囲む人。

札幌の中心部に位置し、多くの人が訪れるにもかかわらず、不思議とほどよい距離感が保たれ、ふらっと寄り道したくなる。一人一人が自分らしく過ごす、ここにはそんな“許容の空気”が広がっています。

札幌市図書・情報館
〒060-0001 北海道札幌市中央区北1条西1丁目 札幌市民交流プラザ1・2階

開館時間
平日 :9:00〜21:00
土日祝:10:00〜18:00
休館日:毎月第2・第4水曜日、年末年始 12月29日~1月3日

アクセス:札幌市営地下鉄「大通駅」30番出口から西2丁目地下歩道より直結 徒歩約2分

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ぴかっとさん

ぴかっとさん

北海道生まれのアラサーです。たくましく生きたいので、筋肉をつけようとしていますが、プロテインは苦手です。読書とオシャベリが好きです。

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