螺旋階段にうっとり。緑と歴史に包まれる東京・江東区『深川図書館』【ぶらり、図書館めぐり】

図書館好きライターによる散策企画『ぶらり、図書館めぐり』。第5弾は、清澄庭園の緑に囲まれた東京の「江東区立 深川図書館」を訪れました。

明治から続く、螺旋階段が象徴の歴史ある図書館

清澄庭園のすぐそばに佇む深川図書館は、1909年(明治42年)に日比谷図書館に次いで2番目の東京市立図書館として誕生しました。その後、江東区へ移管され、今年で116年を迎えます。

関東大震災や東京大空襲を経て建て替えられ、変わり続けながらもどこか懐かしい趣を感じさせる深川図書館は、2023年には大規模改修を経てリニューアル。アーチ窓や木製家具など建築デザインの意匠は大切に守られながら、今へと受け継がれています。

その象徴ともいえるのが、ステンドグラスと螺旋階段。

2階へつなぐ曲線美は、吹き抜けの空間と調和し、時間がゆっくりと流れるような雰囲気を漂わせています。

子どもたちのための工夫あふれる空間

入口ではトトロのぬいぐるみが来館者をお出迎え。

1階右手には児童コーナーが広がり、全長1メートルを超えるものもある大型絵本が子どもたちに人気です。

さらに、読み聞かせや物語の世界に浸れる、黄色い扉の「おはなしのへや」も。

部屋を囲む彫刻ガラスには「こぐまちゃんえほん」シリーズのキャラクターが描かれ、遊び心あふれる空間から子どもたちへの温かなまなざしが伝わってきます。

アーチ窓と木のぬくもりが温かい憩いの場

階段を上った2階には、46席の閲覧席が設けられています。

大きなアーチ型の窓の向こうには、緑がいっぱいに広がり、自然を眺めながらゆったり過ごせます。

また、仕切り付きの席もあり、静かに読書や勉強に集中できる環境が整っています。

東京の歴史を感じる貴重な古地図たち

ユニークなのが、2階の「郷土資料室」。

江戸時代初期に埋め立てが進んだ江東区は、武家屋敷や町人地として整備され、材木商・問屋・職人などが集まる下町として庶民文化が花開きました。

この郷土資料室には、そんな江東区の江戸期から現代までの歴史を伝える地図や文献が収蔵されています。

こちらは、江戸時代に全国を歩いて測量し、日本地図を完成させた伊能忠敬の「大日本沿海輿地全図 伊能中図」です。

伊能忠敬は55歳から測量を始め、17年かけて約4万キロを歩き、前人未到の偉業を成し遂げました。

一方、浮世絵師・石川流宣(とものぶ)が描いた「日本海山潮陸図」は、色鮮やかで芸術性も高く、アートとしての地図の魅力に触れることができます。

古地図を眺めながら、浅草寺など現存する建造物を見つけると、今とのつながりを感じられるのも楽しみのひとつです。

緑と歴史に包まれる贅沢な時間

深川図書館は、本を借りるだけでなく、地域の歴史や文化を体感できる場所。清澄庭園の豊かな自然と知が交わる時間を過ごせます。

歴史ある建築と蔵書に包まれた深川図書館で、江戸の香りと本の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。

深川図書館
〒135-0024 東京都江東区清澄3丁目3−39

開館時間
月~土曜:午前9時~午後8時
日祝  :午前9時~午後7時
※休館日:毎月第3金曜/年末年始/特別整理期間

アクセス
バス停「平野1丁目」より徒歩約3分
東京メトロ 半蔵門線・都営地下鉄 大江戸線 清澄白河駅より徒歩約7分

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#2 神奈川県横浜市「神奈川県立図書館」
#3 北海道札幌市「札幌市図書・情報館」
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ぴかっとさん

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北海道生まれのアラサーです。たくましく生きたいので、筋肉をつけようとしていますが、プロテインは苦手です。読書とオシャベリが好きです。

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