賀茂鶴酒造が、自作木桶で醸した「木桶生もと 純米酒 原酒 ver.1.0」を数量限定発売
広島県東広島市に拠点を多く賀茂鶴酒造は、数量限定の「木桶生もと 純米酒 原酒 ver.1.0」を、賀茂鶴オンラインストアで販売中。2月7日(金)より出荷を開始する。
自作木桶による初の試験醸造
賀茂鶴酒造は、木桶を使用した本格的な伝統的酒造りに挑戦している。酒造りにおける木製道具の価値が見直されているいま、木桶を使用する蔵は各地にあるが、造り手自らが「木桶を組み、仕込んだ」お酒は多くないそう。
中須賀杜氏は準備期間に一年を充て、自作木桶による本格的な醸造に向けた初の試験醸造にこぎつけた。
2018年、社内プロジェクト開始
始まりは2018年。木製桶の自社補修・製造を目指す社内プロジェクトが立ち上がった。木桶や木製の甑(こしき)は保温性と調湿性に優れているため、古くから酒造りの現場で使用されてきた。
しかし戦後は、扱いが容易なホーロータンクやステンレスタンクに取って代わられ、仕込み用の大型木桶を手掛ける桶屋は、全国で大阪・堺の藤井製桶所一軒のみに。その藤井製桶所からも桶師の高齢化を理由に、大型木桶の受注を停止したいという一報が届いたという。
藤井製桶所製の木製甑を使用していた賀茂鶴酒造では対応を迫られ、思いきって藤井製桶所の桶師上芝氏、藤井氏に技術指導を依頼。中須賀杜氏をはじめとした若手醸造社員を中心に、自ら木製甑を補修した。
これをきっかけに藤井正桶所の指導のもと、となりの酒蔵・西條鶴醸造の古い木桶を修理。一連の「木桶プロジェクト」は、その後の木桶仕込みに挑戦する大きなきっかけとなった。
第一号の大型木桶の製作に挑戦
2022年の夏には、木桶プロジェクトのメンバーが藤井製桶所を訪れ、泊りがけで技術指導を受けながら、第一号の大型木桶の製作にチャレンジした。メンバー自らがかんなで木材を削り、竹で箍(たが)を編んだ。
そうして出来上がった木桶。「いつかこの木桶でお酒を醸したい。」そう願ったものの、木桶を使った酒造りのノウハウが当時の社内には少ないため、試験醸造から始めなくてはならなかったそう。
広島に戻り、酒母用の小型木桶も組み立てた中須賀杜氏は、まずはこの木桶を仕込み用に転用し、少量の醸造から始めることに。木桶仕込みは、木桶のなかで育まれる酵母を始めとする菌類が酒に深みを与えることで独特の個性が生まれる。
その個性を生かしながら、雑味のないきれいな酒質を表現するためにたどり着いたのが、「生もと造り」だった。今回は、酵母はもちろん、乳酸菌も無添加。米と水、蔵内に棲みつく様々な微生物の力で発酵させる、いわば“蔵の力を活かす”「生もと造り」だ。
「生もと造り」で重要なのが、「もと摺り」と呼ばれる酒母を育てるための工程。麹、蒸米、仕込水を半切桶に入れ、専用の道具ですり潰していく、体力も求められる作業だ。この作業を行うことで、自然界にいる乳酸菌が繁殖しやすい環境を作る。
1番櫂、2番櫂、3番櫂と一日3回に分けて、ペースト状になるまですり潰す。一晩寝かせたあと桶に移し、毎日少しずつ温めながらゆっくりと発酵を促す。
「もと摺り」から13日目。シュワシュワという小さな音とともに細かな泡が現れ始めた。空気中の酵母が桶内に入り込み、アルコール発酵が始まった証拠だ。酒母期間を終えてもろみになると、泡は一層大きく木桶から溢れんばかりに。力強い蔵付き酵母ならではの変化だという。
杜氏自らが組み立てた木桶で醸した日本酒が完成
仕込み始めてから、酒を搾る「上槽」までおよそ50日。もろみを搾ると、「青冴え」と呼ばれる青みがかった黄色の美しいお酒に仕上がった。
火入れ(加熱処理)直後はとてもフルーティーな香り。しかし若くてまだ辛く、後味もスッキリし過ぎな印象のため、適切に寝かせて味が熟すのを待つことに。数か月後、適度に熟成が進み、すっきりキレのある飲み口はそのままに、旨味がしっかりとのってきたそう。燗で試すと、まろやかで、より旨味が感じられる味わいになったという。
そうして出来上がったのが、「木桶生もと 純米酒 原酒 ver.1.0」だ。
商品概要
「木桶生もと 純米酒 原酒 ver.1.0」は、内容量720mlで2,200円(税込)。アルコール分は18度以上19度未満、原材料は広島県産の山田錦100%と米こうじ。
温度帯によって味わいが変化する面白さに加えて、過酷な環境を生き抜いた「生もと造り」のお酒は、独特の力強さを宿す。熟成の速度がゆっくりなため、長期熟成にも適している。この商品は、瓶詰から発売まで、およそ10か月の熟成期間を設けている。適切な保存方法で保管すれば、品質が劣化しにくく、コクと深みのある味わいを長く保つことができる。
杜氏自らが木桶を組み、仕込んだ「木桶生もと 純米酒 原酒 ver.1.0」を味わってみては。
賀茂鶴オンラインストア:https://shop.kamotsuru.jp
(yukari)
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