AI駆動でレガシーDXをけん引するMechanical Orchard|5,000万ドルを資金調達

米国の大企業の多くがメインフレームを中心とするレガシーシステムに依存しており、DXの推進を阻んでいる。クラウドネイティブ環境への移行、セキュリティコンプライアンスの遵守、業務生産性向上のためのAI導入を進めたいが、それができないのだ。

硬直化したレガシーシステムを最新のクラウドネイティブ環境に移行させるために、AI駆動の新技術を開発したMechanical Orchardは、8月6日、Google Ventures(GV)が主導するシリーズBラウンドで5,000万ドルを調達したことを発表した。創業者兼CEOのRob Mee氏は、アジャイル開発コンサルティング会社のPivotal Labsを創業した経験をもつ。

レガシーシステムが直面する課題

Image Credit:Mechanical Orchard

米国におけるレガシーシステムへの依存度は驚異的だ。米国GDPの70%以上を占めるフォーチュン500の年間収益は18.1兆ドル(2022年)である。Mechanical Orchardの調査によると、フォーチュン500の71%がデータベースシステムとしてメインフレームを利用している。

つまり単純計算で、米国GDPのおよそ半分にあたる約13兆ドルがレガシーシステムに依存していることになる。

レガシーシステムが老朽化するにつれて、保守や新技術の導入がますます困難になっている。そのうえシステムの不具合が与える経済的損失は、米国だけでも年間およそ1.5兆ドルにのぼるのだ。

AI駆動のモダナイゼーションメソッドでDXを推進

Image Credit:Mechanical Orchard

レガシーシステムを最新のテクノロジーにあわせて最適化するモダナイゼーションのためにMechanical Orchardは、AI駆動によるレガシーシステム解析技術と、その解析にもとづいた反復型のモダナイゼーションメソッドを開発した。

従来型のアプローチには以下の欠点がある。

  • レガシーコードをそのままクラウドに移行する:これではコードは古いままであり、問題は解決されない。
  • レガシーコードを最新の言語に変換する:人間が理解できないコードを人間が理解できない最新の言語に変換するだけでは問題は解決されない。
  • フルスクラッチでつくりなおす:複雑で大規模なブラックボックス化したシステムのつくりなおしは、一般論としても経験的にも重大なリスクを招く。

Mechanical Orchardは、システムの動作と他のシステムとの相互依存性を理解し、各コンポーネントを分析してその目的と動作を明確に定義し、モデル化した後に最新の言語に変換するアプローチをとる。このアプローチは、クラウドを競争優位性のために活用しようとしている企業にとって理想的である。

いま、求められるレガシーDX

Image Credit:Mechanical Orchard

シリーズBラウンドを手動したGVのCrystal Huang氏は、このように述べる。

モダナイゼーションのためにAIを活用するMechanical Orchardのアプローチに、非常に感銘を受けました。Mechanical Orchardは大企業の複雑なニーズを深く理解しており、その豊富な経験やロードマップに興奮を感じています。そしてなによりもMechanical Orchardは、レガシーシステムのDXに関して無限の市場機会を持っているのです。

参考元:
Mechanical Orchard

(文・五条むい)

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