【フラット35】同性パートナーの申込み、今年から可能に。必要書類、住宅ローンの返済方法は?
住宅ローンの商品内容は、その時々のニーズに応じて見直される。全期間固定金利型ローンの代表格【フラット35】も例外ではない。2023年1月から同性パートナー同士で、【フラット35】が借りられるようになった。どんな仕組みなのだろうか?詳しく見ていこう。
【今週の住活トピック】
【フラット35】2023年1月から同性パートナーと連帯債務で申し込み可能に/住宅金融支援機構
同性パートナーとでも住宅ローンを利用できるようにする動きに
同性パートナーでも、単独で住宅ローンを借りて住宅を購入する場合は、あまり問題にならない。しかし、協力してお金を出し合って購入しようとすると、親子や婚姻関係のある夫婦であれば、それぞれで住宅ローンを借りる「ペアローン」や2人の収入を合算して借りる「収入合算」などの仕組みが利用できるのに、婚姻関係が結べない同性カップルの場合は、こうした仕組みを利用できないことも多い。
また、どちらかが単独で住宅ローンを借りて購入し、実際には2人の収入から返済していく場合には、問題が生じてしまう。住宅ローンを借りていない人が出した返済分が、家賃として出されたものなら「不動産所得」として、資金援助として出されたものなら「贈与」として、いずれも借りた人の課税対象になる可能性があるからだ。
こうしたことから、同性パートナーでも住宅ローンを借りられるようにしようという動きになり、ペアローンや収入合算の対象となる「配偶者」の定義に同性パートナーを含めるという形で、同性カップル向けの住宅ローンを取り扱う金融機関が増えている。
【フラット35】で同性パートナーと借りる仕組みは?
では、【フラット35】の場合を見ていこう。
【フラット35】とは、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携し、提供している住宅ローンで、35年などの長期間にわたって金利が変わらないのが特徴。提携先の民間金融機関によって、実際に借りるときに適用される金利や融資手数料は異なる。
同性パートナー同士で【フラット35】を利用するには、地方公共団体の「パートナーシップ証明書」や同性パートナーに関する合意契約に係る公正証書などの書類が必要だ。これは【フラット35】に限らず、多くの金融機関で共通する条件だ。
■主な必要書類(次の1または2いずれかの書類)
出典/住宅金融支援機構HPトピックスより転載
【フラット35】を利用する場合は、同性パートナーで「収入合算」が利用でき、住宅ローンの申込者に収入を合算する人は「連帯債務者」となる。加えて、2人とも団体信用生命保険に加入できる「夫婦連生団信(デュエット)」を利用できるのが、大きな特徴だ。
2人で協力して住宅ローンを返済する方法はいくつかある
夫婦であれ、同性カップルであれ、2人で協力して住宅ローンを借りる方法はいくつかある。どういった場合に利用できるかは、金融機関によっても異なる。
近年増えている「ペアローン」は、同一物件に対して2人がそれぞれ住宅ローンを借りるものだが、【フラット35】では利用できない。
次に、民間金融機関の多くが収入合算で採っているのが「連帯保証」で、ローンを申し込んでお金を借りる人(債務者)の連帯保証人となる仕組みだ。この場合の連帯保証人は、万一のときには返済の義務を負うが、返済するのはあくまで債務者なので、住宅ローン控除や団体信用生命保険の対象にならない。
【フラット35】の場合は、収入合算で「連帯債務」とする借入方法としている。連帯債務者は、債務者と同等に返済する義務を負う。一般的に、住宅ローン控除の対象になるが、団体信用生命保険の対象にならない事例が多いのだが、同性パートナーが連帯債務者となる場合も「夫婦連生団信(デュエット)」を利用することができるようになった。どちらか一方が亡くなった場合に、残りの住宅ローンが保険金で返済されるので安心だ。ただし、デュエットを利用する場合は、金利上乗せの形で追加の保険料相当費用を支払うことになる。
このように、2人で協力してローンを借りるにはいくつか方法がある。一般的な方法を下表にまとめたので、借り方の違いを理解して、金融機関に詳しい条件を確認するのがよいだろう。
■2人で協力して住宅ローンを借りる方法
※金融機関が夫婦連生団体信用生命保険(【フラット35】では「デュエット」)を用意している場合は連帯債務者も加入できる。「2人で協力して住宅ローンを借りる方法」筆者作成
さて、共働きが当たり前になり、また、LGBTへの理解も深まっている時代だ。こうした時代の要請にこたえて、住宅ローンも変化している。選択肢は豊富にあるので、自分たちに合う住宅ローンを選んで、賢く住宅を購入してほしい。
~まだ見ぬ暮らしをみつけよう~。 SUUMOジャーナルは、住まい・暮らしに関する記事&ニュースサイトです。家を買う・借りる・リフォームに関する最新トレンドや、生活を快適にするコツ、調査・ランキング情報、住まい実例、これからの暮らしのヒントなどをお届けします。
ウェブサイト: http://suumo.jp/journal/
TwitterID: suumo_journal
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。