「スイーツ列車」富士山ビュー特急で河口湖へ。スイーツ旅を満喫
皆さんは、大月駅〜河口湖駅を走る富士急行線・富士山ビュー特急の「スイーツプラン設定列車」をご存知ですか?
このスイーツ列車で楽しめる「富士山ビュー特急特製スイーツ」のメニューが2022年5月に一新したと聞き、お菓子をこよなく愛するスイーツライター・chicoが出かけてきました。河口湖周辺には気になるお菓子屋さんも盛りだくさん。甘い列車から始まる河口湖の列車旅へ、いざ!
新宿駅
スイーツ×富士山を味わえる、走るホテル!?
まずは富士山ビュー特急の出発地、JR大月駅へ。JR新宿駅から特急かいじに乗りこみます。緑萌える山梨に、1時間足らずで到着!
富士急行線の大月駅ホームには富士山ビュー特急の姿が。
車両デザインは、JR九州のクルーズトレイン「ななつ星in九州」も手がけた水戸岡鋭治氏によるもの。
富士山ビュー特急はその名の通り、富士山の眺めを楽しめる特急列車で、大月駅〜河口湖駅間を1日2往復します。土休日のみ特別車両1号車(指定席)でスイーツプランが設定されているのです。いよいよ乗車!
1号車の先頭には木のぬくもりが心地いい空間が。
木をいかした居心地の良いデザインは、まるでホテルのラウンジにいる気分!
案内された席には、すでにお菓子やパンがスタンバイ。なんですか、このかわいさ。スイーツのフォルムも旅心をつついてきます。
手がけるのは、「ハイランドリゾート ホテル&スパ」の宮本英哲シェフパティシエ。
頂にホワイトチョコの雪化粧した富士山は「FUJIYAMAショコラ」。その正体はチョコレートムース。山肌にフォークを入れれば中から鮮やかなピスタチオクリームが現れます。とりわけ芳醇なシシリー産ピスタチオの香ばしさに、チョコムースがビターながらすっきりした食べ心地でとろけて。カカオ感しっかりでいて軽く、ひと山ペロリ。
車両のカラーみたいに紅く艶めくエクレアは「富士山ビュー特急風エクレア」。のっているピックも水戸岡氏監修のデザインです。かじればフランボワーズ風味のカスタードがとろり。穏やかな甘酸っぱさが口いっぱいに、幸せを運んでくれます。
キュートな雲パンは、クリームチーズを練り込んで低温でじっくり焼いたもの。ふわもちと消えて、ほのかな塩気とまろみに包まれます。桃と葡萄、山梨フルーツのジャムもたっぷりつけて。気づけば雲みたいになくなっていました。
※編集部注:スイーツメニューは季節によって変更になる場合があります。詳しくは、富士山麓電気鉄道株式会社までお問い合わせください
ドリンクは、コーヒー、紅茶、ほうじ茶、ジュースなどから選べます。別料金で、甲州桃ジュースや甲州葡萄ジュース、ワインや富士山ビュー特急ビールも!
この日の富士山は雲で見えず……けれど、木造りの額縁みたいな車窓に流れる、のどかな緑に癒やされました。
ホテルパティシエの特製スイーツに景色、ホテルライクな空間。贅沢な体験をしているうちに、約50分の乗車時間もあっという間。河口湖駅に到着です。
河口湖駅
眺めもアクティビティも楽しめる展望台
スイーツに満たされたあとは、自然の景色を楽しみに、「~河口湖~富士山パノラマロープウェイ」へ向かいます。
河口湖駅から河口湖周遊バス(レッドライン)で10分ほど。「遊覧船・ロープウェイ入口」バス停で降りればロープウェイの乗り場はすぐそこ。
湖畔駅から、標高1,075mの展望台がある富士見台駅までは3分ほど。標高差219mをぐんぐん登っていきます。絶景も一気に広がっていく!
こちらの展望台エリア、眺め+αの楽しいスポットが点在しています。
まずはロープウェイ乗り場と山頂展望広場をつなぐ、ユニバーサルデザインの緩やかなスロープ「絶景パノラマ回廊」へ。富士山と河口湖を眺めながら、空中散歩できますよ。
富士山のパワーを感じるスポット「天上の鐘」は、恋愛成就、無病息災のご利益があるとか。
山から迫り出すような「カチカチ山絶景ブランコ」! 2021年に新規オープンしたそうで、これ、気になっていたんです。
目前に広がる富士山の裾野。雲が晴れれば富士山めがけてブランコを漕ぎ出せます。澄んだ風を感じて、最高に気持ちいい!
存分に楽しんだら、再びロープウェイで湖畔まで。河口湖駅までは歩いても15分程度、せっかくなので湖畔を眺めたり、ふらりとパンを買ったり。ぶらぶらしながら徒歩で戻ってみました。
この日は河口湖駅周辺のホテルで一泊。
ふと外を見ると、ここにきて待望の富士山が姿を見せているではないですか。ありがとう富士山! 黄昏時の富士山は、ゆったりとしてなんとも幻想的でした。
エスペランス
ここにしかないフランス菓子に会いに行く
2日目は、ずっと行きたかったパティスリー(フランス菓子店)へ向かいます。河口湖周遊バス(レッドライン)に乗ること20分ほど、「久保田一竹美術館」バス停で下車。夏場は緑に揺れる「もみじ回廊」のすぐそばにあるのが、「エスペランス(ESPÉRANCE)」。
オーナーシェフの勝俣了亮さんは、フランス菓子の名店「アルカション」やフランス・ロワール地方のパティスリー、さらに、「マンダリンオリエンタル東京」「アマン東京」で経験を積み、パリ発祥のパティスリー・ブーランジェリー「リベルテ」の日本初上陸では立ち上げを任された、まさに実力派。2020年、同じくパティシエの椿さんとご夫婦で、この美しい地元にお店を開きました。
フランス語のラジオがBGMの店内に、フランスで買ってきたフェーブ(小さな陶製置物)やオブジェが。もはや河口湖のフランスです。
あれもこれもそそります。迷った末に選んだのは……
フランス菓子と富士山がフュージョンした「モンフジ」(税込510円)。味わいもまた、山梨といえばの桃。スペシャリテとして一年中出すため、年中使える赤桃を使っています。
赤桃のメレンゲにフォークを入れると、中にはマグマのように鮮やかな赤桃のジュレとクリームが! 食べればふわ、さく、じゅわり。メレンゲの甘さ、焦がしたメレンゲ表面と下に敷かれた焼き込んだタルトのビターさ、ジューシーな赤桃の甘酸っぱさが見事に調和していきます。
味の組み合わせに惹かれたのが、ライチムースとバジルパッションクリームのタルト、「アラベスク」(税込510円)。ライチの華やかさに、フレッシュバジルの青みが瑞々しさを添えて。そうした香りの個性をパッションフルーツがまとめれば、優雅さと爽やかさが心地よくひとつにまとまります。
伝統的なさくらんぼとチョコレートのお菓子「フォレノワール」(税込570円)もユニーク。普通はキルシュ(さくらんぼのお酒)を使うところ、シェリー酒(白ワインの一種)をメインに、独特の深味や樽香を纏わせ、ブラックベリーのジュレの酸味も忍ばせて。フォレノワールらしいほどよい重さはありつつ、旨味と果実味が新鮮!
甘酸っぱいフランボワーズジャムをスペキュロス(スパイスのきいたサブレ)でサンドした「アカフジ」は、香り高く品があって、紅茶がすすみそう。
1枚(税込230円)でも試せるし、ボックス入り(10枚入り、税込2,580円)はお土産にもぴったりですね。抜き出した側の、小さい富士山型スペキュロス(1箱税込450円)も愛くるしい。
ほかにもクラシカルとクリエイティブを感じるお菓子が盛りだくさん。後ろ髪引かれつつ次へ……また必ずきます!
おはぎ屋 もともち
富士の四季を映すおはぎ
再び河口湖周遊バスで河口湖駅に戻ったら、もう一店寄りたいお店が。駅から歩いて1分ほどの「おはぎ屋 もともち」に。
どうしても食べてみたい、富士山の四季を味わえるおはぎがあるのです。
店主の本持美智惠さんがお母さまから受け継いだおはぎをベースに、移ろう富士の四季を表現した「富士の春夏秋冬(ドリンク別)」(税込1,620円)です。4つのおはぎそれぞれが、春夏秋冬を表しています。
春:新緑に浮かぶ富士桜(抹茶と八重桜)
夏:富士の山肌に映える月明かり(有機手挽き胡麻)
秋:富士の黄金の海に舞う深紅(北海道産きなこと胡桃、クコの実、クルミ)
冬:純白を重ねる冬の富士(ココナッツと栗)
麻の葉柄の組木細工のお皿に描き出した、富士の絵巻物みたい! ずっと眺めていたいけれど、いただきます。
口にすると、もっちり程よいお米の粒感。まろやかな餡ととろけると、季節ごとの香りがふんわり広がります。
「春」は抹茶の萌える香りと白餡、桜の塩気が三位一体。「冬」はココナッツと餡がしっくり馴染んでと、どれも優しい甘みにほっと心癒やされます。
石垣島の塩が素材感を引き出す新作、「特選塩おはぎ」も。選び抜かれた食材は、北海道産大納言小豆や岩手県産のもち米「ヒメノモチ」など。無添加で仕上げるそう。
抹茶は、色々試して行き着いた宇治の老舗「山政小山園」のもの。色も香りも違うわけです。
さらにこちらには、もう一つの「おもてなし」がありますよ。
この時は出てきてくれなかったのですが、雲が晴れれば、円窓から富士山が覗けます。まるく風景を切り取った、ここだけの富士山。眺めながら「富士の四季」をいただくなんて、最高に風情がありますね。
帰りは「富士回遊」で、河口湖駅から新宿まで乗り換えなし。約2時間で楽々到着です。
ここで富士山が見たかったなぁというシーンもありましたが、いつでも見えるわけでないのもまた富士山の魅力。スイーツ列車と湖畔と緑、それからほかにないお菓子……忘れられない旅の記憶がまた一つ増えました。
新宿駅
掲載情報は2022年9月6日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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