【長野・食の旅】カラフルなジビエサンドに猪肉の網焼きを堪能
信州ジビエという言葉、聞いたことありませんか? 日本各地で人気のジビエですが、長野県では鹿や猪を提供するグルメスポットが多く、訪れる人を喜ばせています。今回は軽井沢~佐久平エリアで鹿や猪を味わうをテーマに、ローカルフードを愛するライター、白央篤司が旅をします。
東京駅
緑あふれる信州へGO!
JR軽井沢駅のホームに降りて、風に驚きました。その爽快感に。軽くてフワッとして、心を澄ます涼しさに満ちていて。ああ、気持ちいいなあ……さすが歴史ある避暑地。私は軽井沢、はじめてなんですよ。ホームから見える山の緑がまぶしい!
さて、早速移動です。今回はまず軽井沢の西のお隣、御代田町を目指しますよ。しなの鉄道線に乗り換えます。
軽井沢駅から約15分、御代田駅に到着。駅員さんに「おいしいお蕎麦屋さん、ありませんか?」なんて聞いてる旅人がいて、「ああ、今自分は長野を旅してるな……」と、ちょっと感じ入りました。
浅間縄文ミュージアム
5千年前のジビエな生活を学びに
御代田駅から歩いて10分ぐらい、「浅間縄文ミュージアム」に到着! 浅間山の周辺は縄文中期の遺跡が多く残るエリアなのだそう。国重要文化財の土器なども並ぶ中、当時の食生活がよく分かる展示もあると聞き、見に来たかったんです。
館内はストロボをたかなければ撮影OK。これは縄文時代後期の土器で、酒を酌み交わすときに使われたのではないか、と考えられているそう。酒好きとしては思わず撮影してしまいました。2022年8月28日までの企画展「浅間山麓 縄文発掘ものがたり」の展示より。
こちらは常設の展示より。パンフレットによると、浅間山麓に暮らす縄文人が最も好んだのは、鹿と猪だったそう。今に続く食の営みを思います。そして当時の狩り、大変だったろうなあ。狩り用に落とし穴もつくっていたようで、自分がもし縄文時代に生まれてたら、落とし穴をつくったの忘れて自分が落ちそうだな……とも思ったり。
ほかにも紹介したい展示がたっぷりなのですが、キリがないのでそろそろランチとしましょうか。そうそう、ミュージアムからは浅間山がとても近くに見えるんですよ! 迫力でした。
軽井沢べジビエ
ボリューム満点のジビエサンドイッチ
さて、御代田駅からしなの鉄道で軽井沢駅に戻り、北口を出て徒歩10分ぐらい。高原野菜と信州ジビエのお店「軽井沢ベジビエ」へ向かいました。その名のとおり、ベジタブル+ジビエなレストラン。
「イチオシ」の文字に惹かれオーダーした「べジビエバーグサンド」、圧巻! 鹿と猪のハンバーグ&野菜がパンパンに詰まってます。
つなぎを一切使っていないというハンバーグ、正直ボソボソするのでは……とも思ったのですが、見事にまとまってしなやかで、ローズマリーとナツメグがほんのり香って、大満足。野菜の食感がまたよかったんですよー。地元産のレタス、歯ざわりの気持ちよさが忘れられません。テイクアウトも可能、どこかで景色を楽しみつついただくのもいいですね。
お店のパンフレットに「廃棄される命を減らしたい」という思いが書かれてあり、共感しました。そのほか鹿のローストサンドや猪のメンチカツサンド、鹿肉カレーなども気になって仕方なく。ああ、胃袋が4つほしかった……!
矢ケ崎公園
駅すぐの自然豊かな憩いの広場
腹ごなしに軽井沢べジビエから徒歩5分ぐらい、「矢ケ崎公園」を散策しました。大きな池があって木々が豊かで、歩いていて実に気持ちよかったなー! 取材日(5月下旬)はスイレンがいくつも咲いていました。しばし、ぼんやり。ここ、軽井沢駅北口からも徒歩3分ぐらい。遊具もあって、お子さんにも喜ばれそうだ。
さて、1日目はここまで。軽井沢駅近くのホテルに宿泊、夜は軽く済ませて明日猪をたっぷりいただくとします。
雲場池
晴れていたらぜひ水辺の朝散歩を
目覚めれば、空は穏やかに晴れていました。せっかくの軽井沢、良い空気を吸い込みに外へ出たくなりましたよ。ホテルで軽く朝食を済ませ、目指したのは「雲場池」。軽井沢駅から20分ちょっと歩いたかな。
池があり小川があり、水辺の植物に木々もさまざまに。幾千もの自然の表情が楽しめます。この日はまだ山藤(やまふじ)が背の高い木にからんで咲き誇り、きれいだったなあ……。時折鴨がはばたく音も聞こえて、トンボが飛んで。うーん……来て、よかった。目と耳と肌で、軽井沢にグッと近づけた気がします。
今日はお昼にいっぱい食べますからね、しっかり歩いてお腹も空かせておこう。
軽井沢駅
売店でおみやげを購入して移動
さあ、これで軽井沢とはお別れ。新幹線を待つ間に、おみやげを購入しましたよ。
何かジビエを使ったものを探していたのですが、ネーミングにやられました。改札すぐ脇の売店「NewDays」で購入、長野県産鹿肉を使ったカルパスです。帰宅して家人と楽しみましたが、肉感しっかり、いいおつまみです!
佐久平駅
猪のうまさを炭火焼きと鍋で存分に味わう
軽井沢駅から10分ほど北陸新幹線に乗り、次のJR佐久平駅へ(※)。
※編集部注:ローカル線を利用する場合は、軽井沢駅からしなの鉄道で小諸駅へ。小諸駅で小海線に乗り換えて佐久平駅に向かうルートもあります(所要時間は1時間弱)
タクシーに乗り換え「猪料理 やまおく」に到着、10分ぐらい乗りましたかね。
こちらの猪は飼育されたものですが、地元での評判を聞きつけ、ぜひとも寄りたくなりました。店名からどんな山奥だろうと思えば、実際は小高い丘という感じ。
通していただいたのが、夏季限定のガーデンテラス。見通しが急にスッと開けて、気持ちよかったなあ……! 料理はお店の方にうかがった人気メニューベスト3をオーダーしました。
なんともきれいな赤色が印象的な猪肉は、串焼きでいただくスタイル。
こちらは猪と豚のかけ合わせ、イノブタです。
炭火で網焼きにするんですね。ああ……好きなんだなあ猪肉! ほどよく締まった肉質を噛み切っていくのはたまらない快感。深いうま味は猪だけのもの。そしてイノブタは猪の野趣と豚の親しみやすさ、どちらの美点も兼ね備えた、これまた魅力的な食材です。
猪肉の脂が炭火にしたたって、モクモクと食欲を誘う煙が漂う中、長野の景観を前にやる生ビールは叫び出したくなるおいしさでした。ああ、心で「うまいよーっ!!」と絶叫。
このね、ちょいと焦げたところがたまらないんだ。そして猪もイノブタも、たくさん食べてもしつこくならない。甘みもコクもべとつかず、重たくない。これがいいんだな。
さあ来ましたよ、民話の世界に入り込んだかのような趣たっぷりの鍋が。ボリュームすごかった、これで1人前って信じられない。猪肉がゴロゴロ入って、気前いいなあ……なんてひとり言。
かなり煮込んでも肉にうま味がしっかりと残って、すごいもんですねえ……猪肉。鍋つゆのベースは味噌なんですが、「やまおく」独自の配合でつくられる甘めの味噌が猪肉に合うことこの上なく。女将さんいわく、「どうやってつくるかは店主の夫と義父しか分からないんです、私にも教えてくれないんですよ(笑)」とのこと。うーん、気になる。甘めだけれど、後味が少しピリッときて、それゆえに口がさっぱりとしてまた食べたくなる。箸を誘う。長年の人気は肉の良さだけじゃないですねえ。
野菜もネギ、ニラ、キノコ、タケノコ、春菊、ゴボウなど盛りだくさん、野菜しっかり食べたい派にも嬉しい内容でしたよ。ゴロッと入ったコンニャクもうまかったなあ。
せっかくだからと記念写真。ははは、やっぱりゴキゲンな顔してますね。そうだ、このあたりは開店当初は「山奥」で、だんだんと切り開かれて家が建ち、今のようになったのだとも教えてもらいました。創業されて約半世紀、年月を感じますね。
佐久平駅
肉の余韻を味わいつつ帰路へ
さあ、佐久平駅に戻ってきました。ここからだとJR東京駅までは約1時間30分か。近いなあ。駅ビル内の「プラザ佐久」というおみやげどころで、地元のビールやらおつまみを買い込んで乗り込みます。
軽井沢から佐久平にかけて、肉以外にも気になる食べ物やお店、いろいろ発見したんですがそれはまた別の機会に。みなさんもどうぞ、良い食旅を!
東京駅
掲載情報は2022年7月26日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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