スマホでビルや都市空間のデジタルツインを体験できるVR表現の実証実験
KDDI株式会社、一般社団法人渋谷未来デザイン、一般財団法人渋谷区観光協会の3者を中心に組成された「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」と株式会社stuは、KDDIのデジタル開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」で2021年4月1日~8月17日に実施された、スマートフォンでビルや都市空間のデジタルツインを体験できるVR表現技術の実証実験に参画しました。
5G環境と「AWS Wavelength」
同実験は、28GHz帯・3.7GHz帯の5G電波環境などの5Gを活用したサービス検証に必要な設備を完備した「KDDI DIGITAL GATE」にて実施。核となった技術は、アマゾン ウェブ サービス (AWS)のコンピューティングサービスとストレージサービスを5Gネットワークのエッジに組み込み、超低遅延が求められるエッジコンピューティングの活用を支援する「AWS Wavelength」です。検証内容は、パソコンやワークステーションで実行処理が必要な大容量の3Dデータや、ハイエンドなグラフィックスで構成した「商業施設空間」「都市空間」「ライブコンサート空間」などの建築データを仮想空間としてスマートフォン上で表示できるか否か。
そのために、「AWS Wavelength」上のGPU(高速コンピューティング)インスタンスで高速なグラフィックス処理を可能にし、負荷が高い処理はサーバー上で行い、サーバー上で描画したコンテンツ(処理結果)のみスマートフォンにストリーミングして表示するシステムを構築しました。
これにより、スマートフォンの処理負荷を軽減。ユーザーのスマートフォンの映像情報を5Gで「AWS Wavelength」に伝送し、その映像情報に応じた3D建築データを仮想空間に再現したものを5Gでスマートフォンに伝送することに成功しています。なお、3Dデータの再現にはUnity Technologies社の高精細レンダリングパイプライン「High Definition Render Pipeline (HDRP)」 を採用したとのこと。
幅広いユースケースに期待
スマートフォンでデジタルツインを体験できるVR技術では、空間の大きさや素材の質感、日光の向きを反映した影なども再現できるため、不動産業界などでのシミュレーションに活用できる可能性があるようです。また、バーチャルヒューマンやボリュメントリックビデオなど、写実的なコンテンツを活用した仮想空間におけるエンターテインメント体験をよりリアルにそして手軽にすることもできると期待が高まっています。
今回の実験と同じく、「KDDI DIGITAL GATE」の5G環境と「AWS Wavelength」を活用した実証実験が2021年6月にも行われました。このときは、KDDIと公益社団法人 日本舞踊協会が連携し、日本舞踊のオンラインお稽古システムを構築。低遅延かつ高画質で細かい動作の伝達が可能であることが確認されたようです。
(文・Higuchi)
ウェブサイト: https://techable.jp/
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