文を練り直すことを意味する「推敲」、この言葉は詩作に思いふけりすぎた様子から生まれた

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文を練り直すことを意味する「推敲」、この言葉は詩作に思いふけりすぎた様子から生まれた

「推敲」は、文章における語句や表現などを繰り返し練り直すことを指す言葉です。
小説や詩などは、言葉の並びを一つ変えたり、単語を一つ入れ替えるだけでも大きく印象が変わることがありますので、「推敲」が繰り返される事もあります。
この言葉自体も、その昔、詩作に没頭し過ぎた人物がいたことによって生まれたとされています。

そこでここでは、「推敲」という言葉の意味や由来となった逸話などを見ていきましょう。

「推敲」とは

まずは「推敲」という言葉は、どのような意味で使われるかを見ていきましょう。

「推敲」の意味

推敲は、字句や表現を十分に吟味して練り直すことを意味します。
特に詩文や小説などの文章において、何度も比較検討をすることで「これで本当に良いのか」と考えることを指しあらわしています。

つまり、「推敲」は言葉や、文の表現を何度も練り直して突き詰めることをあらわす言葉となります。

推敲の由来

ここからは推敲という言葉の成り立ちについて見ていきましょう。
実はこの言葉には面白い逸話が関係しているんですよ!

どうしても選びきれない二つの言葉

「推敲」は、どうしても2つの言葉からどちらかを選びきれなかったことで生まれました。

その昔、「僧は推す、月下の門」にするか「僧は敲く、月下の門」にするか選びきれず思いにふける詩人がいました。
この悩みから、「推敲」という言葉は生まれたのです。

それは唐王朝も中期にさしかかった9世紀の初め頃のことです。
官吏の採用試験を受けるために都にやってきた「賈島」という人物がいました。

彼は、ロバに乗っているときにある詩を思いつきます。
それが「僧は推す、月下の門」というものでした。
しかし「推す」のままがいいか、「敲く」と直したほうが良いか、決めかねていたのです。

「推す」動作をしたり「敲く」動作をしたり、何度も何度も試行錯誤しました。
しかし、結局のところ結論には至りません。

思いにふけったまま、彼はロバに乗って進み続けました。

移動しながら悩みすぎて・・・

どちらにするか悩みながら進む賈島とロバ。
深い考え事などしながら道を進んでいたものですから、人に粒飼ってしまいました。
しかも、とてつもなく運の悪いことに相手は都の長官である「韓愈」という人物だったのです。

その結果、賈島は捕らえられてしまいます。
そして韓愈に「なぜ衝突してきたのか」と尋ねられました。

この質問に対して賈島は、「衝突したのは句を“推す”にするか“敲く”にするか迷っていたからだ」と説明します。

すると、その理由を聞いた韓愈、しばらく考えて「敲く」が良いと答えました。
そして2人は詩についてそのまま論じ合ったのだとか。

この逸話から、文章の言葉選びなどを考え抜くことを「推敲」と表現するようになったのです。

「校正」や「訂正」、「校閲」との違い

推敲と似たような言葉に、「校正」や「訂正」、「校閲」があります。
ここからは、これらの語句との違いを見ていきましょう。

「校正」との違い

校正とは、誤字や脱字などをチェックして修正することです。
文字が間違っていないか確認することをあらわしています。

推敲した言葉に、書き損じや誤字脱字があった際に行われます。

「訂正」との違い

訂正とは、誤りを正しく直していくことです。
これは、文字だけではなく発言なども対象となります。

こちらも校正と同じく、推敲された文や言葉に間違いがあった際に行われる訂正の一種となります。

「校閲」との違い

校閲とは、語句や表現の内容に誤りがないかを確認することです。
文章の内容の事実確認を行ったりすることをあらわしています。

推敲した結果、事実に即していない内容を記述していたら校閲の対象になりえるという事になります。

まとめ

推敲は、詩文にこだわる詩人から生まれた言葉です。
語句の表現などを何度も吟味したという逸話に即した意味合いで用いられます。
そのため、こだわりの強さが込められた言葉となります。


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