【ライヴレポート】音楽がヒーローだって再確認できた──BiSHワンマン・ライヴ〈BiSH SPARKS ”This is not BiSH except BiSH" EPiSODE 4〉at 愛知 日本ガイシホール

【ライヴレポート】音楽がヒーローだって再確認できた──BiSHワンマン・ライヴ〈BiSH SPARKS ”This is not BiSH except BiSH" EPiSODE 4〉at 愛知 日本ガイシホール

2021年5月25日(火)、BiSHが名古屋では初となるアリーナ公演〈BiSH SPARKS “This is not BiSH except BiSH” EPiSODE 4〉を日本ガイシホールにて開催した。

飛び乗ったタクシーの運転手は、「ガイシホールに人を運ぶのは久しぶりだねぇ。コロナ以降、イベントはほとんどやってないからねぇ」と言っていた。

到着後迎えてくれたBGMは、ハシヤスメ・アツコのソロ曲「ア・ラ・モード」。そしてL’Arc~en~Cielの「READY STEADY GO」が流れる中で開幕。まずは前面の巨大スクリーンから映像が流れる。メンバー6人が話しているが、どうも話が噛み合っていない。それぞれが違う日を生きているようだ。映像の上部には、09/22、10/16、12/4、05/25、06/19、07/20と書かれている。清掃員の頭にハテナが浮かぶ中、30秒のカウントダウンでライヴがスタート。

と思ったら、ステージ上にいるのはGt.高慶CO-K卓史、Gt.奈良悠樹、Ba.櫻井陸来、Dr.山本淳也、バンマス&keyの西村奈央の最強布陣のバンドのみ。座席の後ろからBiSHメンバーの声が聞こえてくる。まさかのアリーナの後ろから登場し、皆あっけにとられている中で「BiSH-星が瞬く夜に-」が始まった。スタンド席に沿うように、アリーナ席を囲むように花道が作られており、そこを全力でアユニ・Dがステージに向かって前を走り過ぎていく。1曲目から花道を走り回る傍若無人ぶりは、コロナ禍の重苦しい雰囲気をぶち壊してくれる爽快な始まりだった。あ、ライヴって自由だよな、って。

【ライヴレポート】音楽がヒーローだって再確認できた──BiSHワンマン・ライヴ〈BiSH SPARKS ”This is not BiSH except BiSH" EPiSODE 4〉at 愛知 日本ガイシホール

チッチが「EPiSODE 4開幕!」と宣言し、「stereo future」に流れ込んだ。そして「GiANT KiLLERS」「DEADMAN」そして新曲の「ZENSHiN ZENREi」とパンクな曲が続く。アイナがインタビューでも話してくれた(https://ototoy.jp/feature/2021052102) 10分もかからずにできたという「ZENSHiN ZENREi」の振り付けは、ヘッドバンギング→拳を突き出し→最後にサムズアップとナニクソ根性満載で最高だった。彼女たちは、やっぱりパンクな音楽がとてもよく似合う。

そして最初のMCへ。メンバーは、今日はとてもリラックスしているように感じられた。久しぶりにやったとはいえ自己紹介が詰まるくらいだったのだが、それくらいがとても楽しい。緊急事態宣言下で硬くなっている会場の雰囲気が、少しずつ和らいでいくのが感じられる。さらにアイナの提案、ハシヤスメの掛け声で、声が出せない代わりに清掃員全員に自身の髪を掴んでブンブンと振り回すパフォーマンスを求める始末。このほぼ滑っているMCで、清掃員の硬さは完全に奪われたのだった。

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そして「DA DANCE‼︎」「MORE THAN LiKE」「スパーク」と繋げる。やり慣れている楽曲だからだろうか、メンバーそれぞれがアドリブを挟み、音源との違いがとても楽しい。特にアイナの歌は、ソロ・アルバム『THE END』以降確実に進化を遂げており、その表現力の高さに見入ってしまう。前半戦ラストは、チッチが「どんなに遠く離れていてもこの空は繋がっています。みんなの心も強く繋がっていますように」と発し「オーケストラ」へ。歌い手に楽器隊が合わせ、楽器隊に歌い手が合わせるその相乗効果で、「オーケストラ」のグルーヴはどんどん増していく。清掃員のペンライトもより大きく振られ、泣いている人もちらほら。前半戦は大きな感動に包まれて終了した。

さて、お待ちかねの滑り芸コント。なんですが、今回はとても面白くて、全然滑っていませんでした。最初のオープニングと絡めているのかはわかりませんが、今回はタイムリープもの。ハシヤスメがひよこになり成長しニワトリになる。でもニワトリになるとまた元のひよこに戻るというタイムリープに気づいたアイナが、なんとかそれを阻止するという内容。あまりに完璧で、間違いなく過去一の爆笑に包まれたのですが、ハシヤスメのウケない滑り芸の密かなファンの筆者は、ちょっとだけ悔しかったのでした。

そんな爆笑から一気にエモーショナルな「TOMORROW」「SMACK baby SMACK」へ。コントからのこの気持ちの変化に対応できるBiSHはすごいと思う(笑)。そしてここからの「遂に死」「in case…」「FREEZE DRY THE PASTS」は本当に素晴らしかった。もはやバンドメンバーといってもおかしくない山田健人のエフェクトバキバキのVJ、ボーカルは歪みまくり、Atari Teenage Riotばりのデジタルハードコアの「遂に死」。そして「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」の画像素材がVJとして映える初披露の「in case…」。さらには大きな炎が映され、ステージ上からも炎が吹き出し、その中でリンリンが目を見開いて歌う「FREEZE DRY THE PASTS」。強烈な世界を叩きつけ、過去を凍らせて未来へ進むというアティチュードを示した。このアートな3曲を表現しきるBiSHは本当に強いし、だからこそ今の音楽シーンの中でも孤高の存在をキープし続けることができているのだろう。

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モモコは「シンプルにとても嬉しいです。アリーナで皆さんと会えて、メンバーが揃ってここにいる、そして皆さんがここにいることを再確認しています。BiSHは、7年、ライブに見にきてくれる人の想いをもらって前に進めています。皆さんは色んな想いをBiSHに持っていると思います。そんな想いを追い風にしてきたけど、これからは、そんな想いを包み込めるくらいもっと大きくなってみせます」とMCで気持ちを伝え、代表曲「プロミスザスター」へ。

そして今回もっとも楽しみだった曲「STAR」が演奏された。サビは、普段はサビを歌うことが多くないハシヤスメとモモコとリンリンが歌う。その光景だけでも最高だったのに、今日は落ちサビのチッチのパートで、ほとんどの清掃員が青いペンライトをかざした。事前にTwitterで拡散されていたようだが、それでもほとんどの人がかざしていたのを見ると、清掃員同士の強いつながりを見せつけられ、そして真っ青に染まった会場に見たことないほど幸せな笑顔を見せたチッチ、その後のラスサビでリンリンが絞り出して歌ったその姿を見つめる他メンバーの笑顔は、本日観れた最高の瞬間だった。

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歓喜に包まれたまま「Nothing」「スーパーヒーローミュージック」と続き、本編最後は「beautifulさ」。BiSHは、アリーナに設置された花道を今度はゆっくり、一人一人の清掃員の顔を観ながら歩き、清掃員に伝えたい気持ちを直接表現していく。何度も観てきた「beautifulさ」は、今日さらに特別なものとなった。

アンコールは「Im waiting for dawn」。そして一人ずつのMCへ。アユニ・Dは「ここに足を運んでくれて本当にありがとう。こんな世界の状況だけど、音楽を目一杯楽しむことは悪いことじゃない。勇気を出してきてくれてありがとう」と言い、リンリンが「直前までライヴができるのか、できても清掃員が目の前にいるのかと色々不安になったりもするけど、そういう気持ちとアユニさんが作詞した「STAR」が重なってめちゃくちゃいい曲だなって今日思いました」と繋いだMCは、この公演を最も象徴した言葉のように感じた。
【ライヴレポート】音楽がヒーローだって再確認できた──BiSHワンマン・ライヴ〈BiSH SPARKS ”This is not BiSH except BiSH" EPiSODE 4〉at 愛知 日本ガイシホール

本公演、前半戦は、音楽を楽しむ力とパンクの自由さを伝えてくれた。中盤は、アートのかっこよさとエネルギーを。そして後半は生きる力と喜びを与えてくれた。緊急事態宣言下でもソーシャルディスタンスを守りながら、ここにきた清掃員は間違いなく目一杯楽しむことができた。そして皆が一様に感じたことは、我々には音楽が必要だ。音楽は不要不急ではない。少しだけ前に進むために、明日を頑張るために音楽が必要だ。BiSHはガイシホールに来て音楽を届け、一人一人の目を見てそのことを伝えてくれたのだと思う。

ラストの曲は、「ALL YOU NEED IS LOVE」。過去を忘れず今を生き、そして明日へつなげよう。最後はこの歌詞を清掃員に精一杯に伝えて、〈BiSH SPARKS “This is not BiSH except BiSH” EPiSODE 4〉は終了した。

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エンディングでもオープニングと同じテイストの映像が流れ、謎に包まれていた”EPiSODE 4”という言葉は、どうもツアーを意味するようだ。EPiSODE 4がスター・ウォーズのオマージュだとすると、06/19は6月19日の沖縄のEPiSODE 5、07/20は7月20日の大阪のEPiSODE 6。ということは、EPiSODE 1〜3が、9月22日、10月16日、12月4日の日程で開催されるということか! あくまでも推測の域を出ないが、それでも公演が終わってからもワクワクさせられるBiSHの仕掛けは楽しい。BiSHのライヴはやっぱり楽しい。観に行ってよかったな、と思う。

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文・構成 : 飯田仁一郎
photo by sotobayashi kenta

(※清掃員にご指摘いただき、文中を修正しております。より良い記事にすることができました。ご指摘ありがとうございました。)

〈BiSH SPARKS “This is not BiSH except BiSH” EPiSODE 4〉
2021年5月25日(火)@日本ガイシホール

〈セットリスト〉
1.BiSH-星が瞬く夜に-
2. stereo future
3. GiANT KiLLERS
4. DEADMAN
5. ZENSHiN ZENREi
6. DA DANCE‼︎
7. MORE THAN LiKE
8. スパーク
9. オーケストラ
10. TOMORROW
11. SMACK baby SMACK
12. 遂に死
13. in case…
14. FREEZE DRY THE PASTS
15. プロミスザスター
16. STAR
17. Nothing
18. スーパーヒーローミュージック
19. beautifulさ

EN
1. I’m waiting for my dawn
2. ALL YOU NEED IS LOVE

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【BiSH Info】
Official YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCkb6emsbTQEv8ve2dfnuVIA
Official HP : http://www.bish.tokyo
Official Twitter : https://twitter.com/bishidol

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