第17回「日本シューズベストドレッサー賞」授賞式レポート 自称・日本一足袋が似合う男の梅沢富美男が“憧れのスニーカー”をゲット!
その年もっとも靴が似合う著名人に贈られる、第17回「日本シューズベストドレッサー賞」の授賞式が11月16日に東京・台東区の玉姫稲荷神社で行われ、各部門賞を受賞した俳優の梅沢富美男と黒羽麻璃央、タレントのマーシュ彩が出席。それぞれがデザインした靴が贈呈されたほか、クラフトマン部門で各賞に輝いた5名の受賞者が表彰された。普段から靴に強い思い入れを持つ関係者と受賞者が登壇した会場は、始めから終わりまで“シューズ愛”感じるコメントがあふれる場になった。
浅草周辺の靴づくりの技を伝える年に一度の祭典
会場となった玉姫稲荷神社の周辺は、浅草をはじめとして昔から靴づくりの事業者が多く集まる地域だ。同神社で年に一度行われる「靴のめぐみ祭り市」のメインイベントとして開催されたこの日の表彰式には、地元の製靴業界から多くの関係者が出席。台東区や本賞を支援する経済産業省からも来賓が招かれた。
今年で17回目を迎える本賞の今年のテーマは「革を愛し、革で作る」。その年もっとも靴が似合う著名人に贈られる「ベストドレッサー部門」、日本の靴づくりの将来を担う若き才能に贈られる「クラフトマン部門」という両部門の授賞に先立ち登壇した靴のめぐみ祭り市実行委員会および本賞選考委員会の恒次勝利会長は、今回で50回目を迎えた靴のめぐみ祭り市の開催に喜びを述べた上で、「クラフトマン部門も今年が10回目となり、厳しい経済環境の中でありながらも、既に数多くの若手靴職人が日本の革靴、業界の明日を担うべく育っています」と本賞が継続されてきた意義を改めてかみ締めた。
次に登壇した経産省製造産業局の稲邑拓馬氏は「本日は著名人の方と受賞者の方によるファッションショーも開催されると聞いています。ファッションリーダーの方々を通じて日本製革靴の魅力や浅草の靴職人の技術力に関心が高まっていくことを期待しています」とコメント。また、台東区長の代理として出席した区の担当者は、「受賞者の皆様には、これを契機に本区のものづくりの実力にふれていただき、その魅力を広く発信していただければ幸いです」という区長の祝辞を読み上げた。
梅沢、黒羽、マーシュが自らデザインの靴を披露!
続いてベストドレッサー部門の表彰に移ると、男性部門賞を受賞した黒羽麻璃央、女性部門賞を受賞したマーシュ彩、シニア部門賞を受賞した梅沢富美男が順に登壇。恒次会長らから賞状、そして副賞として本人がデザインしたオーダーメイドの靴が授与された。
黒羽にはかかとをゴム素材にしてサンダルとしても使える革靴、マーシュには大きなリボンと淡い色彩が印象的なミュール、梅沢には革のスニーカーと、それぞれのアイデアが光る靴が贈呈。授賞を終えてまず初めに感想を求められた梅沢は「私は舞台役者なので、生まれつき足袋や下駄や草履が似合う足なんです。足袋を履かせたら日本一似合う(笑)。その反面、“だんびろ”なのでなかなか合う靴がなくていつもブカブカ…。だから、一度自分の足にあったスニーカーを履いて見たかったんですよ」と話し、自身の足を計測してぴったりフィットの一足にご満悦の様子。その上で「今までは30分も靴を履いてると足が痛くて痛くてたまらなかったんですけど、これは1時間、2時間履いていても全然平気。とても良い靴を作ってもらって感謝しています」と靴職人への感謝を述べた。
一方、朝の情報番組のお天気キャスターとしての活躍のほか、モデルとしてZ世代女子から絶大な支持を受けるマーシュは、「私は靴自体のデザインも大切ですけど、履いた時の全体的なスタイルや一番脚が綺麗に見えるシルエットで靴を選ぶことが多いです」と普段の靴選びのこだわりを披露。本人がデザインしたミュールについては「今日着ているようなガーリーな綺麗めの服も合うと思うんですけど、リボンを付けたのでデニムやカジュアルな服装にもいいかなと思っています」と話し、まさにファッションリーダーらしい一面を見せる。
舞台、テレビ、映画と幅広く活躍し、昨今さらに飛躍が目覚ましい実力派俳優の黒羽は“履きやすさ”にとことんこだわったと言い、「長時間歩いても疲れないものにしたかったので、ソールを雨の日でも滑りやすいものにしてもらいました」とデザインにかなり凝った様子。靴としてもサンダルとしても使えるコンパチブルな設計については「夏場やちょっとした移動の時に、かかとを踏んでコンビニに行くなど。いつでも1か所おしゃれしていけるところがポイントです」と個性的なアイデアをアピールした。
その後は3名によるクロストークが展開。その中で黒羽から「黒羽家に生まれてくる子どもたちは代々、梅沢さんから頂いた服を着てお宮参りするんですよ」と黒羽家と梅沢家の意外なつながりが明かされると、その二人がこうして同じステージに立った縁に対して梅沢が「芸能界でも大成するように着ていただいたと思っている」と語るなど、まるで息子を見るような視線を黒羽に送り、観衆にも二人の和やかなムードが伝わってきた。
クラフトマン部門は澤村みのりが涙のグランプリ受賞
全国の靴を学ぶ学生や若手職人から86件の応募があったクラフトマン部門では、澤村みのり、黒川花梨、中村里奈、川瀬辿志、山下恭一郎の5名に最終審査の発表が行われ、各賞が授与。グランプリと準グランプリには賞金のほか、イタリア・ミラノへのファッション視察の旅が贈られるなど副賞も豪華な内容だ。
そのうち、普段はあまり見られることのない革の裏側や端材などを活用した《そこから生まれる》で見事グランプリに輝いた澤村は、「靴や革の工房やそこで働いている方々のかっこいい雰囲気、そしてそこから生まれる色とりどりの革靴をイメージしながら本作を作りました」と着想のきっかけをコメント。その上で受賞の喜びを尋ねられると「年齢的なこともあって靴づくりを諦めてしまいそうになっていたのですが、諦めなくて本当に良かったです。ありがとうございます」と感極まりながら述べ、授賞式という華やかな場の中に深い感動をもたらしていた。
終盤には、梅沢、黒羽、マーシュとクラフトマン部門受賞者によるファッションショーが行われ、それぞれこだわりの靴を履き、会場内に設けられたランウェイを歩く姿を披露。2日間にわたって行われる靴のめぐみ祭り市にキラキラとした雰囲気を加えていた。
【第17回「日本シューズベストドレッサー賞」特設ページ】
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