野菜の栄養価と価格、旬と旬以外の時期でどれくらい違うの?
栽培技術の進化により、ほぼ一年中出荷される野菜が増加。近ごろは、季節に関係なく手に入るものが多くなりました。それでもやはり、おいしくなるのは旬の時期。そもそも「旬」とは、野菜や魚の出盛り期や食べごろの時期をいいます。では、旬の野菜と旬以外の野菜では、栄養価にどのような違いがあるのでしょうか。また、価格はどれくらい差があるのでしょうか。
旬の野菜と、旬以外の野菜の栄養価の違い
栄養価といっても、違いは野菜の種類によってさまざまです。ここでは、夏野菜の代表「トマト」と、冬野菜の代表「ほうれん草」を比べてみましょう。
トマトでは、β-カロテンの差が顕著です。旬のものは、旬でない時期のものに比べ含有量に約2倍の差があるというデータもあります。(女子栄養大学調べ)。
日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、たとえば、ほうれん草では、旬の冬に採れたものに比べ、旬ではない夏に採れたものはビタミンCの含有量に約3倍の差があります。「夏採り」と「冬採り」で成分値の記載が分かれているほど。季節によって栄養価の変動が大きい成分もあるのです。
旬のものは手に入れやすく、価格は低め!
旬の野菜なら、適した時期に大量に収穫できるので、手に入れやすいうえ、価格もお安め。
たとえば、トマトの価格を比較すると、平成26年8月1週目は1キロあたり527円だったのに対し、同年10月1週目は831円(農林水産省調べ)。トマトの旬は7~8月なので、秋以降は価格も上がります。1キロ304円の差は、かなり大きいですよね。
栄養価の高い時期と旬は重なっていることが多く、また旬の野菜は市場に多く出回るため値段が安価になりやすいのです。
最後に
旬の時期は安価になりますから、旬を知るひとつの手段として「野菜の価格」に注目しておくのもいいかもしれません。ただ、最近では、価格変動を抑えるために、品種改良や生産の工夫が進み、一年中出回るようになった野菜も少なくありません。
季節を問わず食べたい野菜が手に入る便利さを享受しつつも、旬の時期には、季節感とともに野菜本来の味や香りを楽しみたいものです。
カゴメ 「野菜と生活 管理栄養士ラボ」
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最終更新:2022.11.25
文:齊藤カオリ
写真:Getty Images
図版:KWC
監修:カゴメ 「野菜と生活 管理栄養士ラボ」
出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(野菜類)
農畜産業振興機構 「月報 野菜情報」2008年11月号[女子栄養大学](栄養価)
農林水産省 平成26年度 食品価格動向調査[野菜](価格)
「日本食品標準成分表」「日本人の食事摂取基準」「国民健康・栄養調査」の数値は記事初出時の最新データを参照しています。これら数値は変更になることがありますので、記事を活用いただく際には最新の数値をご確認ください。
栄養価・価格は、2017年5月17日の記事初出時のものとなります。
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