『タモリ倶楽部』でも紹介! お寺の門前に掲げられた標語を集めた一冊

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『タモリ倶楽部』でも紹介! お寺の門前に掲げられた標語を集めた一冊

 お寺の門前にある掲示板に掲げられた標語。皆さんもこれまでに目にしたことがあるのではないでしょうか。はっと考えさせられるもの、思わず笑ってしまうもの、あまり意味がわからないもの……。そうした数々の標語の中から印象深いものをセレクトし、一冊にまとめたのが『お寺の掲示板』です。

 本書は見開きでひとつの標語を紹介するスタイル。基本的に、掲示板を撮影したカラー写真が右ページに載っており、左ページでその標語にまつわる解説がなされています。著者は浄土真宗本願寺派僧侶である江田智昭さん。……と聞くと、「仏教の専門用語が出てきたりして難解なのかな?」と思う人もいるかもしれません。けれど実際に読んでみると、誰にでもわかる言葉で、これまでにお坊さんたちが考え抜いてきた人生訓や人間関係にまつわるメッセージが書かれていることに気づくでしょう。

 ここで本書の標語をいくつかご紹介します。最初に登場するのが、「輝け!お寺の掲示板大賞2018」の大賞作品にも選ばれたという「おまえも死ぬぞ!」という標語。お釈迦さまはこの通りの言葉は残していないものの、「生まれた者が死なないということはありえない」と記しているそうで、著者は”この標語を書かれたご住職は、それをより直接的な物言いにしたのだと思われます”と推測しています。短いながらもインパクトのある標語を突き付けられて、改めて死について思いを巡らせた人も多いに違いありません。

 お坊さんのオヤジギャグ的センスに「誰がうまいこと言えと!」と思わずツッコミを入れたくなるようなものも。たとえば「カモン、ベイビー、ゴクラク」という某ヒットソングにかけた標語。この後も”阿弥陀さまのいるcountry C’mon,babyゴクラク 十万憶かなたウェストワード”と続きます。仏教ってちょっと堅苦しいイメージがありますが、阿弥陀様から「カモン」なんて言われると、ずいぶん親近感が持てますね。お寺の掲示板、仏教に関心を持つための窓口的役割も果たしているのかもしれません。

 このほか、著名人の言葉が引用されることも多いよう。本書にも樹木希林、タモリ、ビヨンセなどの名言が書かれた掲示板が登場しています。たとえば明石家さんまの有名な言葉に「生きてるだけで丸儲け」というものがありますが、著者は禅の「本来無一物」という言葉を用い、”本当に心豊かな人間は、どんなに小さなことに対しても感謝の気持ちを覚えるもの”だと綴っています。各人の人生観や死生観を仏教的な観点から読み解く解説は、「そうした考え方もできるのか」と皆さんも感銘を受けるのではないでしょうか。

 全部で39の標語が集められている本書。今回紹介した以外にも、読めば皆さんの心にヒットするものがきっとあることと思います。「仏教の本」と敬遠せずに、ぜひ気楽な気持ちで手にとってみてください。

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