経済とスタートアップ企業動向調査~ベンガルール視察レポート~(Raccoon Tech Blog)
今回は『Raccoon Tech Blog』よりたむらさん執筆の記事からご寄稿いただきました。
経済とスタートアップ企業動向調査~ベンガルール視察レポート~(Raccoon Tech Blog)
こんにちは、たむらです。
「グローバルなサービスを提供するには世界のこともよく知らなくっちゃね!」
という訳で、先日視察としてインドのベンガルール(旧バンガロール)に行ってきました。IT関連スタートアップ系のイベントにも参加してきたので紹介しようと思います。
視察の目的
・成長が著しいインドの経済状況を知る
・インドのシリコンバレーと呼ばれるIT企業の動向を知る
・インドのスタートアップ事情を肌で感じる
・顧客やアライアンスパートナーと(あわよくば)出会いたい
ベンガルールの概要
カルナータカ州の州都でデカン高原(=綿花!って印象がありますよね。私だけ?)の南部ど真ん中辺りにあります。人口は1000万人程。海抜900m以上の高原にあり、デリーやコルカタと比べると涼しいですが、それでも30℃を超えていました。昔はガーデンシティと呼ばれるほど緑が多かったそうですが、森林伐採が進んで今はそうも言えなくなっているとか。。
インドのシリコンバレーと呼ばれており、Oracleやアクセンチュアを始めとした世界中のIT企業やスタートアップが集まっています。資本や人材を集中をさせる『エコシステム』施策を国をあげて行っており、中国の深センの様にIT企業とそれを支える優秀な人材を輩出できる研究・学問機関を街に集めています。
ちなみにインドはベンガル語やヒンディー語、ウルドゥー語など10を超える言語が用いられておりそれぞれは方言などではなく全く別の言語だそうです。ですので共通言語としてみな英語を使用しています。貧富に関わらず基本的にはインド国民は全員英語は喋れるそうです。
街の中心部にあるアクセンチュアのビル
ボッシュなど様々な国の拠点も。繁華街のカラマンガラ地区
インドのIT企業
インドのIT企業ってあまり知られていないかもしれませんが、結構な数がありユニコーン企業も複数存在します。代表的なものを幾つか紹介します。
他にも沢山のITスタートアップサービスが勃興しています
視察中に見たり触れたりしたサービスを少しだけですがご紹介
Olaの画面。UberやGrabと同じ様なものですが、ベンガルールでは交通渋滞が酷すぎて自分が乗る車を探すのにとても苦労しました。また、渋滞で送迎迄の時間や到着時間が全く読めないのも悩ましかったです
paytmを使ってみようと思いましたが、WeChatPayと同様インドに銀行口座を持ってないと利用できず断念しました。こちらは同じ様な決済サービスのBHIMのQRコード(となりにちらとpaytmも映っています)。街の大小のショップで幅広く見かけたのでやはりかなりの普及率なのだと思います。中国と同様インドもキャッシュレス決済の浸透はかなり進んでいるのが分かりました
Zomatoという飲食関連のフードデリバリ等を行っているサービス。ホテルで使いたかったが機会がなく断念。でも街のレストランでZomatoで頼めるよって案内は幾つか見かけました。
AEONIANイベント
視察ではAEONIAN*1 というイベントに参加してきました。このイベントはスタートアップ企業または事業計画を持つアントレプレナーが投資家からの投資を受けるためにピッチコンテストを行うというのがメインとなっています。多くの企業関係者が来場し2000人位が来場するそうです。SBIというインドの銀行がスポンサーとなっています。
*1:『AEONIAN』
https://www.theaeonian.in/
今回は、イベント会場に弊社のブースを展示させてもらった上、ゲストとしてSD-exportの紹介ピッチもさせていただく機会をもらうことができました。(どうやら、日本企業はそれなりにベンガルールに拠点を持ってはいるものの、このイベントに参加している他国の企業は我々が初だったようです)
ピッチ会場
ピッチの様子。SD-exportの紹介をさせてもらいました。出だしの挨拶を英語ではなく、ベンガル語?でしたところ結構ウケました(笑)
ブースの様子
イベントの本筋のスタートアップ企業のピッチもヒアリングしたのですが、様々なビジネスモデルを知ることができて興味深かったです。
急死した際に財産や投資の情報を家族に共有できる為のサービスや、家電や家事をIoT化してまとめて操作できるようなプラットフォームの開発、ライドシェア、リサーチツールなどなど。
今のインドにおける課題解決にフォーカスしているものがもっと多いのではないかと来る前は思っていましたが、日本でも通用する様なビジネスモデルも多く、国際展開や早期のExitに意欲が高い印象を受けました。ちなみに、テーマとして人気だったのはシェアオフィス的なサービスでした。WeWorkもベンガルールに進出していますが、企業の急激な興隆にシェアオフィスサービスはマッチしているのかもしれません。
また、一つ印象的だったのは、多くの女性ファウンダーがピッチに登壇していたことです。誤解を恐れずに言うならば、インドは女性人権が決して尊重されていた国ではなかったと思うので、国や文化で変化が起きている一端なのかもと感じました。男性含めてまだ若いファウンダーが、自社のサービスを真摯に自信を持って伝えている姿が素敵でした。
スタートアップピッチの様子
IIMBの視察とIIMB出身のスタートアップ企業のインタビュー
IIMB(インド経営大学院)にお邪魔もしました。毎年150,000人以上が受験し500人しか受からないという超難関大学で、酷い時は倍率が500倍になるとのことです。この大学も先述のエコシステムの輪の一つを構成していることになります。
この大学の卒業生が立ち上げた会社のビジネスインタビューにも同席しました。ビジネスとしては、ざっくり言うと採用面接フィルタリングサービスを提供しています。AIを用いたインターネット上のインタビューを通して、企業側へは採用のフィルタリングを実施し、応募者側には就活のためのアドバイス情報を返す様なスキームになっています。インドの人材環境は超買手市場だそうで、倍率が100倍などはザラだとか。その為、採用コスト低減の為この様なサービスのニーズがあるそうです。
インタビュー。IIMBの研修ルームにて。
視察を終えて
当初「IT都市」という印象が非常に強かったのでもっと整った都市をイメージしていましたが、街のインフラは全然整っていませんでした。特に道路網や区画整理が開発できておらず、街の渋滞はほぼ24時間発生しており酷かったです。また、高所得者向けのエリアもありますがごく一部で、高級デパートを少し離れれば未整備の雑然とした街が広がるといった状態でした。貧富の差や、カーストの差別などインドが抱える問題はIT都市たるこの街でもまだまだ存在しているのだと思います。
ですが、街には活気が溢れ、ドアの壊れた寄合バスの乗客を見れば、多くの人はスマホをいじりながらワイヤレスイヤホンで音楽を楽しんでいて、日本の電車と同様の光景が広がっていたりします。まさにリープフロッグ(既存の社会インフラが整備されていない新興国において、新しいサービス等が先進国が歩んできた技術進展を飛び越えて一気に広まること)が起きている場所なんだと感じました。
人口増加の点からも今後インドが大きく成長してくるのは間違いないのではないかと思います。
国としても経済的にもますます要注目です!
市中の渋滞。リキシャも沢山
街中にある薬局。インドはジェネリック薬品が出回るのが早いらしく、日本だと処方箋が必要な薬が安く簡単に買えます。これは医師や病院不足などが背景にあるそうで、セルフメディケーションがある意味浸透しているのだと思います。
テロなどの影響で、セキュリティは非常に厳重でした。ショッピングモールやホテルの入口ではセキュリティゲートが用意され、手荷物チェックなどが必須となっていました。
おわりに
ラクーングループでは日本だけでなく海外でも使われるようなサービスを作っていくことに本気で取組んでいます。「グローバルなサービスを作りたい」という熱意がある方、ぜひラクーンにJOINして下さい!
それでは!
おまけ
朝のホテルのビュッフェからカレーで、三食カレー食べました。美味しい。
チャイ。街にチャイ屋さんがあり、20ルピー(40円位)で飲めます。スターバックスを始めとしたコーヒーショップも多く見かけました。
執筆: この記事は『Raccoon Tech Blog』よりたむらさん執筆の記事からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2019年10月23日時点のものです。
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