嫌いな上司を好きになる必要はあるのか?ストレスをためずにできる2つのこと

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嫌いな上司を好きになる必要はあるのか?ストレスをためずにできる2つのこと

こんにちは。俣野成敏です。こちらのコーナーは、主にビジネスパーソンの方を対象に、よくある悩みや疑問にQ&A形式でお答えしていく、というものです。

本コーナーを執筆する目的は、これをお読みのあなたに、今までとは違った視点をご提供することです。少しでもお役に立ちましたら幸いです。

そもそも、上司を好きになる必要があるのか?

それでは、本日の質問はこちらです。

【本日の質問】

私は就職して数年になる者です。仕事自体は楽しいのですが、上司のことが苦手で、一緒にいるのが苦痛です。このような人と仕事をしていくためには、どのように接して、どうマインドセットをすればいいでしょうか?

このような悩みは、若い方に限らず、多くの方に共通しているのではないかと思います。私もサラリーマン時代は同じ苦痛を経験し、何度「もう、会社を辞めよう」と思ったか知れません。

私の経験からお答えすると、ムリに上司を好きになる必要はないと思います。本当は嫌いなのに、ムリやり自分を抑え込んで、「相手を嫌いになってはいけない」「上司を尊敬しなければならない」「仲良くならなければいけない」などと思っていては、かえってストレスが増すばかりなのではないでしょうか。

会社で誰と働くかは、基本的に選べない

たいていの方は、今の会社に入社される前に、就職活動をしたと思いますが、それは「働く場所を選ぶ(もちろん会社側も選んでいる)」ということであって、一緒に働く人を選んでいたわけではありません。選べない以上、仕事で嫌いな人に当たることは避けようがない、というのは事実です。

一方で、「好き」「嫌い」というのは感情の問題ですから、理性でどうにかなるものではありません。苦手なものを好きになる努力は、ストレスそのものです。

よって、大事なのは「嫌いな上司に慣れること」ではなく、「その状況をいかに遠ざけるか?」ということだと考えます。

では、その遠ざける方法についてですが、大きく分けて「精神的に遠ざける」か「物理的に遠ざける」かの2つに分けられます。

 

《嫌いな上司への対応策》

1、「自分は仕事で何を得たいのか?」と考え、その目的を達成させることに集中する(精神的に遠ざける)

2、上司が未経験の仕事に着手し、社内で唯一無二のスペシャリストになる(物理的に遠ざける)

これから、この2つの対応策について具体的に説明していきます。

どこに注意を向けるかで、感じ方が違ってくる

1番の精神的に離れる方法については、世界的経営学者のP・F・ドラッカー博士の事例を挙げましょう。博士が、20歳にしてドイツで新聞記者になった時の話です。最初の上司は、身長2メートルを越すかという大男の編集長でした。

初日に、博士が早朝の6時4分に出社すると、上司は「6時までに出社できなければこなくていい」と通告します。続いて、博士が初仕事で取材に行った裁判所から戻ると、今度は「検察官の名前がわからなければ、戻って調べてこい」と言い、博士は結局、すでに帰宅した検察官を探し回るハメになりました(『知の巨人 ドラッカー自伝』P・F・ドラッカー著、2009年、日経ビジネス人文庫)。

今風に言えば、さながら“パワハラ”上司、といったところですが、注目すべきは、博士が自伝の中で、この上司のことを「厳しくも偉大な私の教師だった」と述べていることです。なぜ博士がそういえたのでしょうか?それは、自身が目指していたのは「一流の新聞記者になること」であり、その考え方を軸に「相手の言っていることは、自分にとって必要なことかどうか?」で判断していたからです。上司の発言が、自分の目的に近づく助言かどうかが焦点だったのです。これが「目的に集中する」ということです。

たとえ嫌いな上司を好きになることはできなくても、視点を変えることで、嫌いなことも気にならなくなります。もっと言うなら、「自分の目的達成のために、上司を利用する」くらいのつもりでもいいのです。

上司から一目おかれる存在になる

2番は、物理的に遠くなる戦略です。人事権を握れるようなポジションにつければ物理的に離れることもできますが、少し時間がかかりますね。今できることとしては、なるべく早く、その上司が未経験の仕事に着手することです。

私は今年創業101年になる古い企業体に属していましたので、基本的には誰かからの指導(=評価)を受けなくてはならない立場でした。そんな中でも、あることをしたら、平社員時代にその呪縛から解き放たれたのです。何をしたのかというと、「やった方がいい」けど「誰もやっていない仕事」に着手し、社内で誰よりもその分野の仕事について詳しい人間になったことでした。それもそのはず、上司ですら未知な世界ですから、アレコレ言われることなく、むしろ一目おかれるようになったのです。自分で主体性をもって仕事に取り組めますので、上司に対するストレスも軽減されたのでした。

古い企業体でも、時代は変化します。その時代の歪(ひずみ)に注目すれば、「やった方がよくて、誰もやっていない」仕事は見つかるはずです。

居心地のいい環境にいては、人は成長できない

ここまでお話ししてきたことを、逆から言うと「困難はチャンスである」と捉えることもできます。人は、居心地のいい環境に浸かってしまうと、それ以上、頑張ろうとしなくなります。「こんなところで終わるものか」という気持ちこそが、人を奮い立たせるのです。

俣野成敏(またの・なるとし)

ビジネス書著者/投資家/ビジネスオーナー

30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。『プロフェッショナルサラリーマン』(→)及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(→)のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』(→)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。2012年に独立。フランチャイズ2業態5店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネースクールを共催。ビジネス誌の掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』に3年連続で選出されている。

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