「会社での評価」を上げるために、今すぐ“意識すべきこと”とは?ーーーーマンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス
『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』や『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー(→)。今回は、三田紀房先生の『インベスターZ』です。
『インベスターZ』から学ぶ!【本日の一言】
こんにちは。俣野成敏です。
名作マンガは、ビジネス書に勝るとも劣らない、多くの示唆に富んでいます。ストーリーの面白さもさることながら、何気ないセリフの中にも、人生やビジネスについて深く考えさせられるものが少なくありません。そうした名作マンガの中から、私が特にオススメしたい奥深い一言をピックアップして解説します。
©三田紀房/コルク
【本日の一言】
「すぐれた言葉はすぐれた経営者や会社から生まれる!」
(『インベスターZ』第7巻credit.55より)
大人気マンガの『インベスターZ』より。創立130年の超進学校・道塾学園にトップで入学した主人公・財前孝史は、各学年の成績トップで構成される秘密の部活「投資部」に入部します。そこでは学校の資産3000億円を6名で運用し、年8%以上の利回りを上げることによって学費を無料にする、という極秘の任務が課されているのでした。
「その会社がどのような会社なのかは、社是を見ればわかる」
財前が通う道塾学園を創設した明治期の豪商・藤田金七(かねしち)。その玄孫(やしゃご)の美雪は、女子中学生にして個人資産2000万円を運用する投資家です。道塾学園の投資部に密かにライバル心を燃やす美雪は、級友の町田と久保田を誘って3人で女子投資部を結成します。
部員2人が、初めての投資でミスをしてしまったのを見て、「こういう時は損を取り返そうとするよりも、気分転換をするべきだ」とアドバイスする美雪。そこで彼女は「これを機に、会社の社是を調べてみてはどうか?」と提案します。
「社是なんて、古くさくて面白くない」と言う2人に対して、美雪は「社是を調べると、いろいろなことがわかる」と言います。「素晴らしい社是は、経営者が言葉の1字1句を考え抜いてつくっているから、その言葉には力がある。言葉こそ、実は人の心を動かすことができる最強の武器なのだ」と語るのでした。
「教育なんて面倒くさい」と言う前に
おそらく、あなたがお勤めになっている会社にも、社是や社訓があるでしょう。社是とは、会社が目指す理念やビジョンのこと。一方、社訓とは社員が守るべき規範のことを言います。会社がこれらを作成する理由はただ1つ、社員教育のためです。
もしかしたら、これをお読みの方の中には「会社には自分の仕事をしに行っているのに、なぜ理念まで理解する必要があるのか」と感じている人もいらっしゃるかもしれません。教育が必要な理由について、世界的な経営学者のP・F・ドラッカー博士は、著書『マネジメント』の中でこのように述べています。
「(従業員)それぞれが『われわれの事業は何か。何であるべきか』について答えを持っている。したがって企業自らが、この問いについて徹底的に検討を行い、答えを出しておかなければ、上から下に至るあらゆる階層の者が、それぞれ相異なる事業の定義に従って決定を行い、行動することになる」と。
つまり組織において、あらかじめ共通のものの見方や考え方をみんなで共有しておかないと、その組織を維持することが難しくなる、というのです。
©三田紀房/コルク
効果があることに、“きれいごと”も何もない
次に、一例として、私が有する1社の社訓を挙げてみたいと思います。業態はサービス業ですが、私は自社のスタッフに向けて、このような形で「十訓」を用意しています。 1、身の回りの当たり前に感謝し、その気持ちを伝えること
2、自分の強みを磨く努力を惜しまず、人のために使うこと
3、他人の弱みを見つけたら、さりげなく助けてあげること
4、変わらない私たちであり続けるために、変わろうとすること
5、気分良い毎日を過ごすために、他人を気分良くすること
6、一期一会の接客で貢献して、生涯顧客になっていただくこと
7、自ら物心共に幸せとなって、その幸せを分かち合うこと
8、終わりなき進化を続けるために、素直さを忘れないこと
9、自分らしさにこだわるために、生涯最高の自分を目指すこと
10、良い事も悪い事も自分たちの責任として、一致団結のこと
私がこれを定めたのは、これらが職場の環境を良くするのはもちろん、実行したスタッフが幸福になると確信しているからです。「社是・社訓にはきれいごとしか書かれていない」と言う人もいますが、上っ面を眺めているだけでは、どんな言葉も絵に描いた餅に過ぎません。
最大のポイントは、トップが自らの社是・社訓に本気であること、それを日常でしつこく浸透させる仕組みを持っていること、です。
社是・社訓にこそ仕事のヒントが詰まっている
もしかしたら「きれいごとだ」とおっしゃる方は、社是・社訓を「できるかできないか?」で判断しようとしているのかもしれません。しかし、大事なのは「やるかやらないか?」ではないでしょうか。
実際、これらが単なる上辺だけの言葉で終わるか、それとも「さすがあの会社の社是・社訓は素晴らしい」と評価されるかは、スタッフが仕事に活かしているかどうかで決まります。意味もわからず、毎日唱和しているだけでは「つまらない」で終わるでしょう。
社是・社訓の中には、その会社がもっとも大切にしていることが詰まっています。ですからその内容を仕事に取り入れ、どう実践していくかが、その人の評価に直結することは言うまでもありません。もし、これをお読みの方の中で、「どうも社内の評価が伸びない」と感じている方がいるのであれば、これを機に、ぜひ自社の社是・社訓を見直してみることをオススメします。
マンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス 第45回
俣野成敏(またの・なるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン(→)』および『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?(→)』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」(→)』を上梓。著作累計は42万部。2012年に独立、フランチャイズ2業態5店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、『日本IFP協会公認マネースクール(IMS)』を共催。ビジネス誌の掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』1位に2年連続で選出されている。一般社団法人日本IFP協会金融教育研究室顧問。
俣野成敏 公式サイト
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