元音楽家が仮想通貨業界へ! ―歴史ある業界を離れ、向き合えた課題をきっかけに「テクノロジーで世界を変えたい」
ブロックチェーン・仮想通貨。広く知られるようになったこのふたつに、リワード型の動画広告を組み合わせたサービスを提供する株式会社LastRoots。それを支えるカスタマーサポートの中心を担うのが、福沢佑香。元クラシック音楽家だった福沢が、なぜ仮想通貨サービスに携わっているのか。その原体験をお話しします。
※本記事は、「PR Table」より転載・改編したものです。
音大卒業後、チェコへ留学ーー音楽の道を選ぶも、拭いきれなかった違和感
▲キャリアのスタートは、海外でのピアノの仕事だった福沢音楽と仮想通貨ーーこれは私の“キャリア’’を表す言葉です。古典と最新テクノロジーという、一見、両極端にあると思われがちなこのふたつの業界。ですが、やっていることは近いものがあります。
元音楽家の私がなぜ仮想通貨の会社で働くようになったのか、経緯をご紹介したいと思います。
私のキャリアは海外からはじまります。
音楽大学を卒業後、チェコへ音楽留学しました。
かの有名なドヴォルザークが学長も務めていたプラハ音楽院へ通うかたわら、ピアノ教師やBarのBGM演奏、コンサートの仕事など、専門であるピアノの仕事をフリーランスとしてはじめました。
今思えば、こういうことを伝えるためにピアノを教えたい、コンサートで演奏したいといった仕事へのモチベーションは明確にはなく、昔からピアノをやっていて専門だから、やってきたことがピアノだからという理由で仕事をはじめました。
そのためでしょうか。
ピアノの仕事をはじめて数年経つうちに、音楽の仕事に対しての違和感を覚えます。
音楽大学卒業生の多くは教えたり演奏したりといった音楽の仕事に就くんですが、私よりずっとうまい演奏をする人もいれば、人が好きという特性を活かし、音楽を教える道に進む人もいます。私もそれなりに教え、演奏し、音楽を仕事としてこなしていたのですが、数年たっても私でなければできないこと、伝えられないことがひとつも見つけられなかったんですよね。
また、音楽家にとって仕事とプライベートの境目はありません。
ひとつのコンサートを行なうためには、自由にできるすべての時間を使いコンサートの準備をします。わずかであっても人前で演奏をすることに対しての否定的感情や、生徒に教えているとき「私よりもっといい先生がいるのに」という気持ちを一度持ってしまうと、その気持ちは次第に大きくなり、音楽に接する時間=1日のほとんどの時間を自分自身を騙しながら過ごすことになります。
音楽家でいるために、常に同業者と自分自身との闘いの中、今後何十年も自分を騙しながら音楽を続けていくことはできないという思いから、演奏は一切やめました。
今でも「ピアノを教えたりしないの?」と聞かれることはよくあるんですが、演奏を辞める決断は熟考の末のもの。コンサートのお客様に、自分が教える生徒さんに、そして何より頑張り続けている元同業者に対して不誠実に当たると考えるので、辞めた時と同じ以上の覚悟を持たない限り、今後人前で演奏をすることはありません。
こうした思いから、私は自分で“事業”をはじめることに決めました。
「会社経験なし、事業経験なし」演奏をやめて、いきなり事業にチャレンジ
▲コンサートの楽屋裏で、音楽家仲間と(前列右から2番目)演奏を辞めた後、海外で音楽に関する事業をはじめました。まずはじめたのは、チェコに留学する学生のためのビザ代理取得と楽器が弾けるお部屋の仲介です。
音楽留学の場合、門下の先輩や知り合いを通し、ビザや現地の住宅情報を入手するんですが、私が留学した当時、チェコに渡欧した音楽留学生はまだ少なかったため、現地情報の入手経路はほとんどありませんでした。
今でこそSNSで留学している方を探せますが、2011年当時はFacebookが広まりだした頃。
現地に住んでいる人の中で、音楽留学生が伝手を持っているのは、留学先の教授のみ。さらに、日本でチェコ語が勉強できる場所はほとんどないので、みんな渡欧してから勉強をはじめます。
チェコ語ができない、外国人、その上楽器を毎日何時間も弾くとなれば部屋探しにおいては3重苦です。
そこで唯一の伝手である教授に楽器が弾けるお部屋の相談をしても、自分は不動産会社じゃないから困ると言われてしまい、運良く現地に住んでいる人と伝手がつくれなければ、チェコへの音楽留学は難しい状況でした。
そのため、事業をはじめることにしたんですが、当時の自分の強みは、渡欧後身に付けた語学力と現地での伝手のみ。会社勤めの経験もなく、未経験の事業を外国でやると決め、サービスをはじめた当初は、お客様に納得いただけるサービスが提供できるかは本当に不安でした。
しかし、結果的にはサービスに満足いただけ、その上、依頼されたお客様と音楽家同士としての関係を築くこともでき成功。本当に勇気を出してはじめてよかったなと思っています。
演奏をやめたからこそできたこと――音楽業界全体を見据えた試み
▲音楽に興味を持つ人を増やすべくはじめた「演奏付き名刺」事業事業を進めるうちに演奏家としての視点だけではなく、事業家として音楽業界全体を考える機会が多くありました。その上で不思議に思いはじめたことは、音大の卒業生で、それまでの「音楽経験で得た知識」を使い仕事をしている人は少ないということです。
ほとんどの音楽家は演奏力や楽譜の読み方など、「音楽の知識」を使い演奏の仕事をしています。ですが、音楽大学や音楽業界、コンサートの運営など「音楽経験で得た知識」を活用して仕事をしている人はわずかです。
「音楽経験で得た知識」として、たとえば、コンサート集客率が悪いことや、クラシックに興味のある人が増えないという点はクラシック音楽業界全体が長年抱えている問題点として挙げられます。
これらの問題は業界を熟知している音楽家でなければ認知できない問題であるにもかかわらず、その問題を解決するために具体的に取り組んでいる人はほとんどいません。
演奏者として音楽業界の中にいる状態では、新しいことをはじめたり、何十年も続いている習慣から抜け出したりすることは難しいんですが、演奏を辞めた立場だからこそできることはあります。
業界内の全員がプレーヤーという状態は、業界の衰退につながる。
そのことに危機感を感じ、次の事業を立ち上げました。
2事業目にはじめたことは、演奏付き名刺の作成です。
多くの演奏家にとって、自分の演奏CDの作成は憧れです。ですがその一方で、CDの製作コストは高いこと、売り切るまでに在庫としてかさばること、そして何よりCDプレーヤーを持っていない人が増えていることがデメリットとして挙げられます。
そのデメリットを解消すべく、名刺サイズのカードにQRコードを取り付け、いつでもどこでも自分の演奏をスマートフォンで聴いてもらえるようにしたのが、演奏付き名刺です。
「音楽をやっています」と言われるだけより、「こんな演奏をしています」と伝えられる方が嬉しくはありませんか?
クラシック音楽を聴いたことがない人が、クラシック音楽に興味を持つことはありません。興味を持ってもらうには、まずは相手に一切の負担をかけない形で体験してもらうこと。
居酒屋で知り合った人、会社の同僚、久しぶりに会った昔の友人に。
誰にでも「これが私の演奏です」と言葉だけではなく、音で伝えることができれば音楽に興味を持っていただくことにもつながり、フリーランスの仕事の獲得にもつながる。コンサートの宣伝をされた時にも「あの演奏は良かったから聴きに行こうかな」という行動につながる、というコンセプトで演奏付き名刺の作成をはじめました。
そして、この事業を通して意識したことこそが、「仮想通貨」へとつながっています。
音楽業界から仮想通貨へーーお金の不便を、テクノロジーで解決するために
▲2018年現在はカスタマーサポートとして、ユーザー様が使用する取引所の運営に関する業務を担当2事業目で着手した名刺作成の運営から意識しはじめたことは、「音楽業界という昔からの習慣が色濃く残る業界を、スマートフォンというテクノロジーで変えることはできないか」という試み。それと同様に、仮想通貨は「お金という当然のように流通しているものにおける不便を、テクノロジーで解決する手段になる」と私は考えています。
LastRootsに入社したのは、すでに独自の仮想通貨c0banを実用化しているため、仮想通貨を投資としてのお金ではなく、社会を便利にするためのお金として扱っているところに惹かれたことが理由です。
仮想通貨を実用化できないかと議論されることはよくありますが、実行している人や会社はあまりありません。現状、仮想通貨は投資としての貨幣と扱われがちですが、投資のためのお金として使うのであれば、仮想通貨でなくても問題ありません。現在流通している法定通貨の方が、投資としては安定安心ですよね。
仮想通貨が仮想通貨でなくてはならない理由は、現在の実生活におけるお金の不便を解決できるところ、有名な例では海外送金の不便さの解決などにあります。
仕事は自分の時間のうちかなりの大部分を費やすものなので、フリーランスや社員、どのような形態であっても自分が納得できる事業に従事したいと強く思っています。
この思いから、LastRootsにジョインしました。
クラシック音楽の個人自営業から仮想通貨の会社勤務へは、一見何のかかわりもない業種への転職のように思われますが、意識の上でやっていることには一貫して大きく変わりはありません。
2018年4月現在はカスタマーサポートとして、ユーザー様が使用する取引所の運営に関する業務を担当していますが、私たちの仕事が直接ユーザー様にとってのc0banや仮想通貨の印象につながります。
仮想通貨が実用化してより多くの人に使ってもらえるものになるように、その一番の先駆けとして、仮想通貨を実用化しているLastRootsで仮想通貨の発展に寄与する一員になれればとの思いで、これからも業務にあたっていきます。
会社説明会では語られない“ストーリー“が集まる場所「PR Table」
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