「ヤバい。遅れる!」ーー待たせてもイライラされない人の“5つ”のテクニック
待たされてイライラすることってありませんか?仕事はもちろん、友人との待ち合わせや病院の待合室。あるいはレストランや電車の遅延対応など、思いもしない理由で待たされ、イライラする場面はあるものです。でもそのイライラ、知らないうちにあなたも誰かに感じさせているかもしれません。イライラは自分が気づかないうちに相手に与え、無意識に嫌われる原因となっているものです。そこで今回は、広告代理店勤務時代に3,000人以上のVIPと交流し、彼らの待たせ方を研究している「気配り」のプロフェッショナル・後田良輔さんに「イライラさせない正しい待たせ方」について話を伺いました。
プロフィール
後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト
1972年生まれ。大手3大広告代理店に勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。これまで応対したVIPは、東証一部上場社長、世界企業のCEO、政治家、医者、弁護士、大学教授、大物俳優・女優、ミリオンセラー作家、世界No.1クリエイターなど総勢3000名を超える。この特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと「東京・名古屋・大阪」の現場勤務で身につけたリアルな経験を組み合わせた、独自の「誰でも使える気配り術」に定評がある。著書に、『気配りの正解』(ダイヤモンド社)『<落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる!>ぶっちぎり理論38』(ダイヤモンド社)、『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)『1秒内定面接術」』(インプレス)など。これらの実績を買われ全国の大学や企業から講演・研修依頼が殺到。新聞・雑誌などメディア露出は50回以上。「世界からキャリアの悩みをなくすこと」をミッションとする。
イライラ対応はツアーガイド方式で回避できる
イライラの原因は、例えば「約束が守られない」「待たされる」「対応が悪い」など、自分の思うようにならないがゆえに不快に感じ、その結果、相手はイライラします。逆にいうと相手にとって不快と思われなければ、約束が守れなくても、待たせてもイライラされることは(極論ですが)ありません。つまり「約束や時間を破ったことという事実ではなく、それを相手が不快に感じたかどうか」が相手のイライラを回避するポイントなのです。3000人のVIPたちはこの事実を知っており約束をどうしても守れない場合は、まずは相手が不快に感じない場面を作って相手を待たせていました。その対応方法は旅行のツアーガイドと同じでした。そう海外旅行などで色々とアテンドしてくれるあのツアーガイドさんです。ツアーガイドは旅行先でトラブルがあれば、色々と先回りしてあなたの世話を焼いて、不安を払拭してくれますよね。それと同じです。ビジネスでもツアーガイドさんのテクニックが応用できることもあります。ではVIPも使っているツアーガイド的待たせ方の工夫を順番に見ていきましょう。
イライラさせない正しい待たせ方(1) 時間を知らせる
約束した時間を守らないとイライラされますが、その最大の原因は「先の見通しが立たない」のが理由です。本当にくるのか?いつまで待てば良いのか?アポは中止になったのか?など今後の見通しが立たないと自分がどうすべきかを判断することができず、不安になります。優秀なツアーガイドなら「バスが遅れておりますので10分遅れます。ですが休憩時間を調整しますので問題ありません」と教えてくれます。これと同じです。アポの時間に遅れる場合は、たとえ3分の遅刻でも「3分遅れます」と電話を入れる。上司に頼まれた企画書の提出日が遅れるなら「1日伸ばした金曜日にしていただけませんか?」と事前に相談する。このように事前に時間を知らせれば、相手に先に情報を与えるためイライラされる確率は下がるものです。
イライラされない正しい待たせ方(2) 理由を知らせる
時間を知らせることに加えて気を付けたいのが「理由」です。例えば電車の遅延。「電車が10分遅れております」と言われるよりも「電車が『大雪のため』10分遅れております」と言われた方が、受け手の印象が大きく変わります。人は遅れるという事実も知りたいですが、その理由を知ることで安心し納得するものです。ビジネスシーンで言えば、「会議に出席できなくなりました」ではなく「A社のトラブル対応のため会議に出席できなくなりました」。「頼まれていた企画書ですが、金曜日提出にさせてください」ではなく「頼まれていた企画書ですが、もっと練りこみたいので金曜日提出にさせてください」の方が相手も納得するものです。ぜひ「なぜ自分が待たないといけないのか」という正当な理由を相手に知らせてあげてください。
イライラされない正しい待たせ方(3) 場所を変える
物理的に相手を待たせる場合は、場所を変えると相手の不快を排除できます。例えばツアー先のトラブルで待たされることになったとします。その際、寒風吹きすさぶ外で待たされるのと、温かいホテルのロビーで待たされるのでは印象は大きく変わりますよね。相手をどうしても待たせなくてはいけない場面では、相手が快適に待てる場所に気を配り、移動してもらうのが正解です。ビジネスシーンで言えば、訪問客を受付で待たせるのではなく、応接室で待っていていただく。社内会議に遅れるときは、そのまま会議室で待たせるのではなく、一旦解散し自席に戻ってもらうなど、相手にとって快適と思える場所に移動してもらうだけで、相手の印象は変わるものです。
イライラされない正しい待たせ方(4) 飲み物などを用意する
第28代アメリカ大統領ウッドロー・ウィルソンが「空腹では隣人は愛せない」と言っているように、同じ待つという状況でも空腹と満腹の状態では感じ方も変わります。海外旅行で言えば、飛行機の大幅な遅延。何らかの理由で飛行機が大きく遅れる時はエアライン会社が飲み物や食べ物を配ってくれます。やはり胃袋の状況と怒りは少なからず関係があるとエアライン会社は知っているのです。ビジネスに置き換えれば、お待たせするならお茶やお菓子をお出ししておくなどのちょっとした工夫をしてみましょう。昔から「食べ物の恨みは恐ろしい」と言いますが、逆に「食の恩」は人間関係を円滑にしてくれます。
イライラされない正しい待たせ方(5) 雑誌や新聞を用意する
手持ち無沙汰という言葉があるように、何もやることがなく、間が持たないのもイライラさせる原因となります。旅行先で長い待ち時間ができると、普段読まないフリーペーパーに目を通したり、地元のチラシを読んだりするように、何か読むものがあるだけで間を持たせることができるものです。ビジネスシーンでお待たせする場合は、雑誌や新聞を用意しておくのが有効です。それもスポーツ系からビジネス系まで複数用意するのがベター。手持ち無沙汰なときは、いつもと違う情報に触れてみようと思うもの。色々なジャンルの読み物を用意する方が気が利く対応です。
まとめ
イライラされるのは、相手を待たせたことが原因ではありません。その待たせ方に原因があったのです。ツアーガイドのように「相手が不快に思わない待たせ方」をすれば、私の経験でお話すると、相手のイライラの9割は回避できます。誰でも相手を待たせる状況は起こるものです。だからこそ、ちょっとした待たせ方の工夫を仕掛け「待たせるけど、この人は悪い人ではない」と思われる工夫をしてみませんか。そんなちょっとした印象の違いが、将来のあなたの人脈に大きく影響するかもしれません。一瞬の人の縁を逃さないためにも、ぜひ待たせ方の工夫を仕掛けてみてください。
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