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「SHOWROOM」を支えるエンジニアたち―CTO佐々木が仕掛けるイノベーション・ブーストとは

「SHOWROOM」を支えるエンジニアたち―CTO佐々木が仕掛けるイノベーション・ブーストとは

アイドルやタレント、アーティストなどが配信する番組が無料で視聴でき、ギフティングやコメントで応援ができる仮想ライブ空間「SHOWROOM」。サービス開始以来まだ4年だが、いまや登録ユーザーが150万人を超える国内有数の動画配信プラットフォームに成長した。それを技術で支えるエンジニアたちは次に何を仕掛けようとしているのか。SHOWROOM CTO佐々木康伸氏の話を聞いた。

頑張るアーティストを、ファンが一体となって応援できるプラットフォーム

仮想ライブ空間「SHOWROOM」に出演するのは、まだ有名ではないが将来の可能性を感じさせる、綺羅星のような才能たちだ。

番組はほとんどがリアルタイム配信の生放送で、演者と視聴者が同じ時間を共有することで生じるインタラクションや臨場感、アーティストとの一体感が高いファンエンゲージメントを生んでいる。

仮想ライブ空間「SHOWROOM」のライブ配信画面

オーディションなどのイベントも随時開催され、各プロダクションと業務提携したイベントや共同オーディションではメディアへの掲載権や出演権、楽曲提供などの特典が得られるものもある。出演する側、応援する側双方が参加して、一つのリアルドラマを体験できるという仕掛けだ。

このサービス『SHOWROOM』を手がけるのは、佐々木康伸氏。モンスター・ラボなどを経由して2010年にDeNAに入社後は「Mobage」の開発・運用や音楽アプリ「Groovy」の開発に携わった。SHOWROOMプロジェクトに関与するようになったのは2013年の春頃。現SHOWROOM代表取締役の前田裕二氏に呼ばれ、技術担当に任命された。

「まずは前田と一緒に事業コンセプトを練るところから始めました。今はアーティストも頑張れば必ず売れるという時代じゃない。ライブだけいればいいという時代でもない。ただ、面白い動画配信プラットフォームを提供できれば、必死で努力している人たちを応援することはできるんじゃないか。夢のある事業だと思いましたね」

SHOWROOM株式会社 CTO 佐々木康伸氏

ライブにこだわるから、配信サーバーの信頼性・可用性は絶対条件

「SHOWROOM」のサービスは、2013年11月にブラウザ版としてスタート。その後、スマートフォンアプリでのサービスが始まり、2015年には専用の公式配信ソフトも無料リリースされた。

モバイルゲームには長い実績のあるDeNAではあるが、動画配信プラットフォームは初めての事業。動画配信技術をイチから作り上げる必要があった。

「最も重要だったのはインフラの選択です。オンプレミスかクラウドかという選択では、迷うことなくクラウドを選択。ただ、ライブ感を大切にして、リアルタイム配信にこだわるわけですから、遅延なく配信できることが絶対条件でした。

視聴者が殺到したら、サーバーがダウンして止まってしまったでは話になりません。最初はAWSを活用していましたが、容量がかさむとそれに伴って費用もアップするのが悩みでした。インフラコストは私たちの事業に直接影響を与えますからね」

現在はIDCフロンティアのIDCFクラウドというサービスをメインで利用している。注目したのはネットワークコストが安いこと。

「パートナー企業としてのサポート力も十分で、ビジネスの成長に対応できる拡張性も持っています」

演者側は、スタジオに完璧な配信設備を用意していることはまれ。PCからの配信というより、最近はスマートフォンで撮影し、それを自宅や路上などの現場から直接配信することも多い。

「iPhoneからのストリーミングなどモバイル配信できるだけのデバイスの質も上がっています。そのおかげで配信者が増えています。だからこそ我々としては、ネットワークの回線状況を常に監視しながら、動画圧縮エンコードのサイズを可変できる仕組みが必要でした。

回線が細いと画質が落ちるのはやむを得ないですが、決してブツッと切れることがない。演者と視聴者のコミュニケーションを技術的に阻害しないということが最も大事なんです」

視聴者がアバターを設定してライブに参加できるのがSHOWROOMの魅力の一つ。アバター生成のパフォーマンス向上のためには、2Dゲーム用のフレームワーク「Cocos2d-x」を使い、GPUレンダリングするようにした。

ライブ中にコメントで応援できるのも視聴者にとっては醍醐味の一つだが、もちろん中には不適切なコメントも紛れ込む。

「誹謗中傷、差別用語などNGワードを設定して、それらを自動的に排除できるようにしています。タレントの恋愛事情を知っていて、視聴者がその恋愛相手の名前を出しちゃうなんてことがあると困りますから、タレントごとのNGワードを設定したりしているんですよ。

このあたりの細かいコントロールを徹底的にやっていることが、タレントや芸能事務所にも評価されている。最近はこのコメント・コントールにAI技術を活用しようと研究を重ねているところです」

安心・安全を技術的に裏付けながら、プラットフォーム・ビジネスとしての信頼性や面白さを高めるために努力を重ねた4年間でもあった。

「番組内容は基本的に演者サイドにお任せしていますが、どのようにパフォーマンスしたら視聴率が上がるかというアドバイスはするようにしています。

ファンエンゲージメントの強度をシステムの裏側で定量的に分析し、KPIを設定して、演者の側にも目標を持ってもらうような仕組みも作りました。演者のモチベーションをいかに高めるかは、ビジネスとしても最重要ですから」

SHOWROOMは登録しなくても視聴できるが、登録すればいくつかの特典がある。登録ユーザー数は2016年には100万人を超えた。ほとんどが男性ユーザーだが、直近ではコンテンツ拡充に伴い女性ユーザー数も増えている。

週1日を自由開発に充てる「イノベーション・ブースト・プログラム」

当初はDeNAの事業の一つだったSHOWROOMだが、2015年夏にはSHOWROOM株式会社を分社設立し、サービス全般を担当している。

80人弱のメンバーの半分はタレントや芸能事務所との折衝を担当するビジネス系スタッフで、エンジニアは20人ほど。DeNAからの出向・移籍社員はわずか数名で、現在はプロパーの社員が増えている。

「私自身がそうですが、みんな音楽が好き、サービスを育てるのが好きな人ばかり。単に言われたことをこなすというのではなく、なぜ自分はこのサービスを作り、育てようとしているのか、その理由をそれぞれが明確に持っていると思います」

そういう人たちばかりだとはいえ、CTOとしては常にエンジニアたちのモチベーションを維持して、組織を活性化させることが欠かせない。

「常に新しい言語や技術に挑戦することも重要。もともとはPerlのエンジニアが多い職場でしたが、最近はScalaを取り入れて、一部のシステムを書き替えたりしています」

2017年11月からはエンジニアのモチベーションを高めるための新しい制度を導入した。週の内、丸1日は自由開発に充ててよいという「イノベーション・ブースト・プログラム(IBP)」。企業ミッションにさえ合致していれば、何を開発してもいいという。これは親会社のDeNAにもない仕組みだ。

「自由に使っていい日でも、みんなついつい業務をしちゃうんですけど、それでもPCサイトのページをReactを使って書き替えるとか、LINEのBotを作ってみるとか、好きなことを始める人も出てきました。

業務となるとどうしても目の前の優先順位が高いことばかりに集中しがちですが、IBPなら発想が自由に広がる。これがいずれは新事業の芽にもつながるようなサイクルが生まれるといいなと思います」

エンジニアの自由度を広げるため、あえて口を出さない

急速に成長を続けるSHOWROOMだが、最初から順風満帆だったわけではない。

「プログラムのバグ修整や配信遅延対策などトラブルシューティングに追われる日々もありました。特に2016年初頭、配信サーバーに問題が生じたこともあり、24時間監視体制のシフトを組んで3カ月にわたって全員が貼り付くということもありました。

エンジニアには大変な苦労をかけましたが、それを乗り切ることでチームとしての一体感が生まれたような気もします」

最初の頃は、どうしても佐々木氏が自らプログラムを書くことが多かった。しかし、最近はできるだけメンバーに任せ、週一での定例での進捗確認や状況把握程度に済ませている。

「新しい事業やサービスの構想を練ることも増え、一人ではタスクを抱えきれないようになってきたということもあります。それにCTOの声がでかすぎると、みんな私の気持ちを忖度して、従っちゃうんですよね。これでは組織の自由度は広がらない。

視点の違うエンジニアが共通の目標を持って協業することが大切。そもそもエンジニアは仕事を委ねることで集中できるし、成長もできる。できるだけそういう方向にチームを持っていこうと思います」

佐々木氏はCTOとしてのこれからの抱負をそう語っている。 執筆:広重隆樹 撮影:刑部友康

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