世界の首脳・議員の給料をデータで検証!見えてくる意外な側面とは
世界の首脳の給料は高い?安い?データから検証
トランプ大統領が誕生して1年余り、知的財産権侵害や鉄鋼・アルミに関する報復関税など保護主義的な政策を打ち出したり、リトルロケットマンと呼んできた金正恩委員長との会談を決めたりと秋の中間選挙を控えて、動きが激しくなってきています。
シリアのアサド政権が、毒ガスを使用したとして、イギリス、フランスと共にミサイル攻撃を加えて、ロシアとの間で緊張が高まっています。トランプ政権誕生以来、アメリカ第一主義の内向きの政策を歓迎して堅調な動きをしていた株価もこのところの動きに戸惑いも見られます。
こんなふうに世界を動かしている政治家の方々の給料はどれくらいのなのでしょうか。
表-1は、2015年の首脳の年報です。何といってもシンガポールのリー・シャンロン首相の給料が170万ドル(約2億円)と断トツに高額ですが、アメリカのオバマ大統領は40万ドル(44百万円)と高めですが、43代ブッシュ大統領の時に2倍くらいにアップしたようで、他の主要国の首脳の給料は、ほぼ15~20万ドル程度のようです。ちなみに、イスラエルのネタにエフ首相の給料は月35万円で、本人は「もう少しほしい」と言っているのだとか・・・。
GDPとの比較で見ると日本は先進国首脳並みの給料といえそう
この金額が高いのか安いのか、一人あたりGDPの何倍にあたるのかを「ペイレシオ」として示しました(※ペイレシオ:従業員の給料に対する社長など取締役の給料の比率のこと。
今回は給料をGDP比で計算)。
主要先進国のペイレシオをみると、だいたい5~6倍程度の範囲になっているようです。わが安倍首相はといえば、金額、ペイレシオともに主要先進国の首脳並のお給料を私たちはお支払しているということになりそうです。
中国以外のBRIC’sはペイレシオが非常に高い傾向
この表には、主要先進国だけではなく、最高額のリー・シェンロン首相のシンガポールなどの国の首脳の給料も載っています。金額は、170万ドル(シンガポール)から22千ドル(中国)まで幅がありますが、中国以外の国のペイレシオが高いことがわかります。
これらの国は、BRIC’sといわれる国ですが、経済的な実力をつけて世界での発言力を増していこうという国々です。これらの国のペイレシオは、南アフリカのズマ大統領の36.17を筆頭に、一人あたりGDPの10倍以上の給料をもらっています。貧しいとは言わないまでも、国民の生活からすると破格の給料を支払っていることになります。
これは、国の顔としてふさわしい金額を支払うという意識が働いていると思われます。我が国は、これだけの給料を払える国なのだということでしょう。ある意味、見栄の部分があるのでしょう。プーチンさんの強面も、柔道や、秋田犬好きも理解できそうな気がしてきます。
明治初期の総理大臣の給料は今の1億円に相当!見栄の塊?
翻って、わが日本の明治期を考えてみましょう。黒船に驚いて江戸幕府が結んだ不平等条約の改定が明治政府の最大の命題でした。鹿鳴館に象徴されるように、欧米化に励みました。明治天皇のお写真を見ればわかるように、皇室の正装も欧米式に変えてしまいました。
その頃の、総理大臣の給料は9,600円だそうです。今のお金に直すと約1億円、当時の一人あたりGDPが400ドルだったようで、ペイレシオは何と1,700!(鹿鳴館といい、ペイレシオといい見栄の塊です。)
世の奥様方や堅実な皆さんから見ると、一見無意味な、無駄なことも国際社会で生き抜くためには必要なこともあるのですね。
だって、わが日本も、それから100年、幾多の苦難の末に、主要国として首相を自然体で国際政治の舞台に送り出せるところまで来たということですから。(戦略的でないと言わないで、長い目でみることも少しだけなら考えてもいい気がしてきます。)
と考えると、シンガポールの首相の給料がダントツなのも、ペイレシオ的には理解できます。そして、シンガポールの首相の給料は、最近50万ドルほど引き下げられたのも、自国の発展に対する自信の現れなのでしょう。
そして、ペイレシオも、給料も低い中国も我が道をゆく中国の姿勢が見えてきます。(もっとも、政権運営が共産党であることなどほかにいろいろあるのでしょうが・・・)。
国会議員の給料も比較!日本の議員はやや高めの傾向
次に、データ量は少ないのですが、国会議員の給料も比べてみましょう。表-2をご覧ください。ドイツ、イギリス、韓国は約10万ドル、アメリカ、日本は約20万ドルです。ペイレシオは、ドイツ、イギリスで2.3、韓国、アメリカが3前後、日本が5を超える数値となっています。国会議員には、このほかに調査費や秘書給与など国によって、いろいろな経費が支給されますので一概には言えませんが、わが日本の議員さんは、この表を見る限りやや高めといえるのかもしれません。
ヨーロッパと日米、それぞれの歴史的経緯がペイレシオに反映されている
ヨーロッパのペイレシオが比較的低いのは、身分制議会の歴史を有しているからではないでしょうか。つい最近までイギリスの上院が終身制であったように、議員は貴族や資産家が就任するものであったのです。(我が国の帝国議会も貴族院がありましたが、ヨーロッパの制度を取り入れたものです)
これに対し、アメリカと日本の上院(参議院)は、両方とも(大衆の力で、独立戦争と太平洋戦争を戦った)伝統的な身分性が崩れたのち成立した議会で、地域代表という位置付けであり、一般の大衆が議員活動を行うには、その生活を維持するための給料が必要であるということに配慮されたものといえます。
民主主義の発展過程は、社会の構成員として認められる階層の拡大の過程です。その過程は、戦争の主体の拡大の歴史です。普通選挙の普及が1920年代であるのは、第1次世界大戦が一般市民も巻き込んだ総力戦で、多くの市民が犠牲になったことは無関係ではないのです。
注)文中の表は下記の資料をもとに筆者が作成
CNN.co.jp:(https://www.cnn.co.jp/business/35061601.html)
中国網日本語版(チャイナネット)Japanese.CHINA.ORG.CN:(http://japanese.china.org.cn/life/2014-12/10/content_34280445.htm)
GLOBALNOTE:(https://www.globalnote.jp/post-1339.html)
NEVERまとめページ内の各ニュースソース(https://matome.naver.jp/odai/2131739964131468401)
(岡部 眞明/経営コンサルタント)
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