「小学生の頃は漫画家になりたいと思っていた」―『東京レイヴンズ』作者・あざの耕平さんインタビュー(3)

「小学生の頃は漫画家になりたいと思っていた」―『東京レイヴンズ』作者・あざの耕平さんインタビュー(3)

富士見ファンタジア文庫の人気ライトノベル『東京レイヴンズ』シリーズ。その最新巻である8巻が10月20日に発売された。

今回、発売された8巻はいよいよ物語が佳境に差し掛かる重要な巻となる。

家のしきたりによってずっと男として振る舞い続けてきた夏目だったが、ついに女だとバレてしまう。それ以来、好意を寄せていた京子は夏目たちを避け続けていた。その一方、春虎はシェイバとの激闘以来、自分の呪力を制御できずに不安定な状態に陥っていた。幾つもの不安を抱える春虎たちにさらなる事件が襲いかかり――。

さらになんと、この8巻の帯で、『東京レイヴンズ』の「アニメ化企画進行中」が発表された。詳細は未定だが、キャラクターたちやアクションシーンがアニメで見れることができるのだから期待は高まる。

今回は『東京レイヴンズ』作者のあざの耕平さんにロングインタビューを敢行。『東京レイヴンズ』の世界観についてお話を聞いた。本日は3回にわたるインタビューの最終回だ。

(聞き手/金井元貴)

■「小学生の頃は漫画家になりたいと思っていた」

―この8巻で、アニメ化企画が進行していることがついに発表されました。あざのさんにとっては『BLACK BLOOD BROTHERS』に続くアニメ化作品となるんですよね。

「そうですね」

―『東京レイヴンズ』は陰陽術を使ったバトルシーンが特徴的だと思いますが、そういったアクションシーンはすごくなりそうですね。

「うん、やっぱりアクションシーンは書いていてすごく好きなので、私も見てみたいですね。ただ、意外と絵にしてみると地味だったという風にならないか心配です。剣劇だったら双方から走ってきて剣を交えるみたいなシーンは派手でいいですが、『東京レイヴンズ』は動かず御札を使ったり、印を結んだりしていますからね。そこらへんは監督さんやスタッフさんに期待しています(笑)」

―アニメ化については今のところ、進行中ということのみが明かされているんですよね。

担当編集・加藤さん「そうですね」

「これから徐々に明らかになっていきますので、のんびり待っていただければと思います」

―アニメ化をはじめとしたメディアミックスに限らず、今後あざのさんは『東京レイヴンズ』シリーズをどう育てていきたいとお考えですか?

「メディア展開でどう育てていくか、というのは、私個人は作家の考えることではないと思っていますし、幸いにして優秀な編集者さんと、富士見ファンタジア文庫という編集部がついて下さっていますから(笑)」

担当編集・加藤さん「う、なんかすごいプレッシャーが(笑)」

「(笑)どう育てるのかはそちらに任せて、私は今まで通り、しっかりと物語を書いていけたらいいかなと思います」

―これから第一部クライマックス突入ということで、まだ長く続きそうですね。

「そうですね。でも、折り返し地点は過ぎたと思うので、ここからは物語を広げつつ、どうエンディングに向かっていくのかということに集中することになると思います」

―あざのさんの読書歴についてお話を聞きたいのですが、作品を書き始めるきっかけとなった本はあるのですか?

「昔からマンガや小説は好きですし、それこそ小学生の頃は漫画家になりたかったんですよ。まあ、将来、プロ野球選手になりたいというのと同じような感じですね(笑)。その後も、本は好きで読んでいたのですが、作家になりたいと思った直接のきっかけと聞かれるとちょっと難しいですね。気付いたら自分でも書いていたというほうが近いです。

私が学生の頃って、ちょうどライトノベルが世に出てきてドカッと火が付いた頃と重なるんです。例えばクラスの男子のほとんどは『ロードス島戦記』を読んでいましたし、その後に『スレイヤーズ』も流行しました。田舎だとみんなが読んでいるものが広まりやすいんですよ。そういった作品を読んでいるうちに憧れもありますし、自分でも書いてみようという気持ちになっていたというところですね」

―影響を受けた作家さん、作品はありますか?

「これは、ものすごくたくさんあるんですけど、特にあげるとしたら田中芳樹さんと栗本薫さんですね。栗本薫さんは『グイン・サーガ』も好きですし、『魔界水滸伝』や『伊集院大介』シリーズも好きです。田中芳樹さんの本は、当時は全部読んでいましたね」

―あざのさんが小説を書く理由についてお聞かせいただけますか?

「難しい質問ですけれど、そうですね…。とことん突き詰めていくと、多分自己満足じゃないかと思います。自分は結構勝手な作家ですから、読者のことももちろん考えつつ、でも、一番ギリギリのところでは自分の書きたいことを優先すると思います。そういう自覚があるから、読者の意見をより多く取り入れて話を作っていこうとは思っているのですが、書きたいことがあるときはやはり自分の意志を優先してしまいますね」

担当編集・加藤さん「それは、自分が読みたい話を書く、ということですか?」

「読みたい話というよりは、面白いものを書きたいという気持ちはありますね。あ、そういう言い方にすれば格好が付くのか(笑)。でも、面白いものを書きたい、じゃあそれは誰のために、と言われると自分のためなんですよ。読者の反応って究極的に言ってしまえば、どう出るか分からない。絶対そっぽ向かれると思って書いてみたら、そこがすごく支持を受けるということもありますし、逆ももちろんあります。そういう意味では出してみるまで分からないですから、それを免罪符に好きなことを書いてしまおうというのはありますよね。それが面白いところでもあるのですが」

―『東京レイヴンズ』執筆以外の活動を教えていただけますか?

「今、ひとつオリジナルアニメの企画に携わらせていただいています」

―ブログで書かれていた覆面作家集団「GoRA」ですね。

「そうですね。この前、覆面を取ってしまったんですけどね(笑)。今、『K』というアニメが放送されているのですが、その原作や脚本を『GoRA』が手がけました。この仕事は大変面白く刺激になりましたね。でも、やっぱりメインは小説です」

―では、『東京レイヴンズ』のファンの皆様にメッセージをお願いします。

「8巻は、最初に考えた構成の中では、すごく重要な段階な位置を占めるところになっています。いよいよ物語が次の段階に向かう、終わりの始まりのような巻でもあるので、期待して読んでいただければと思います」

―ありがとうございます!

■取材後記

なかなかこうしてインタビューを受けることはあまり多くないとおっしゃっていたあざの耕平さんですが、とても気さくに、分かりやすく『東京レイヴンズ』の世界観や、そこに込められた想いをお話して下さいました。

これから物語が佳境に向かう中で、春虎たちや夏目たちはどのように成長をしていくのか? このインタビューにそのヒントが隠されているかも知れません。また、アニメ化の方も要チェックですよ!

■あざの耕平さんプロフィール

「神仙酒コンチェルト」でデビュー。徳島県出身。代表作に「Dクラッカーズ」「BLACK BLOOD BROTHERS」シリーズなど。現在富士見ファンタジア文庫から絶賛刊行中の人気シリーズ「東京レイヴンズ」は8巻まで出版されている。

また「東京レイヴンズ」もコミカライズされており、コミックス「東京レイヴンズ(5)」(角川書店)「東京レイヴンズ 東京フォックス」(富士見書房)が発売中!

『東京レイヴンズ8 over-cry』

あざの耕平/著、すみ兵/イラスト、富士見ファンタジア文庫、672円(税込)

<あらすじ>

夏目の正体がバレた。京子は夏目たちを避け続けていた。また、シェイバとの戦い以降、覚醒した力を抑えきれない春虎に、コンも心配の色を隠せずにいた。そんな折り、土御門宗家が何者かに襲撃される事件が起き――!?

「小学生の頃は漫画家になりたいと思っていた」―『東京レイヴンズ』作者・あざの耕平さんインタビュー(3)

富士見書房公式サイト http://www.fujimishobo.co.jp/top.php

あざの耕平さん公式ブログ http://azanoblog.blog35.fc2.com/

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元記事はこちら

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