種村さんの“キャラクター作り”に迫る!―種村有菜さんインタビュー(2)

種村さんの“キャラクター作り”に迫る!―種村有菜さんインタビュー(2)

少女まんが雑誌『りぼん』(集英社刊)で次々と人気作を生み出し、『神風怪盗ジャンヌ』や『満月をさがして』はアニメ化もされたマンガ家、種村有菜さん。

 そんな種村さんの新連載が2月5日発売の『マーガレット』5号(2013年2月20日号/集英社刊)でスタートする。そのタイトルは『猫と私の金曜日』

 ずっと読者だったという『マーガレット』での初めてのオリジナル作品の連載ということで、これまでの種村さんの特徴だったファンタジー色はなくなり、ド直球の学園ラブコメが展開されています。しかも相手役の男の子は、主人公の高校一年生、立花愛の一つ年上の先輩・芹沢と、同じマンションに住むいとこの猫太、小学校五年生!

 学内の女子からモテモテな芹沢から、自分に気があることを告げられ、どぎまぎしてしまう愛。意を決して告白しようとするが、それをなぜか邪魔しようとする猫太。一話目からフルスロットルで加速するストーリー。一体どうなっちゃうの!?

 今回は種村さんに新連載作品についてインタビューを敢行。インタビューは第2回はキャラクター作りについてお話を聞いている。(新刊JP編集部)

■女子高生×男子小学生。このコンビ、大丈夫?

―この『猫と私の金曜日』のメインキャラクターは高校一年生の愛ちゃんと、相手役の男性である一つ上の芹沢先輩、それともう一人、愛ちゃんのいとこで小学5年生の猫太くんの3人です。

「はい!」

―この猫太くんのおませさんぶりといいますか、大人びた感じが、読んでいて気持ち良かったです。

「あー、良かったです。私も愛ちゃんと猫太くんのコンビが描いていて一番気に入っているので(笑)。

最近の私の連載は、長期のものが多かったので脇役に力を入れていた時期があったんです。でも、『マーガレット』で新しく連載をはじめるということで、原点に立ち戻っておいしいところは全部愛ちゃんと、芹沢先輩と猫太くんにもっていってもらおう! と決めました」

―でも、女子高生の主人公に相手が小学生の男の子というのは、これは賛否両論起こるのではないでしょうか?

「どうなんですかね(笑)。でも、この組み合わせって、少女マンガの世界では伝統的にあるものなので、自分が描けるかどうかはまだ分からないけれど、読むのはすごく好きなんです。だから、自分の中のモラルを保っていければ大丈夫かな、と(笑)。読者さんの反応が楽しみですね」

―猫太くんは、種村さんの中の小学生男子像を投影したキャラクターなのですか?

「そうではないですね。猫太くんは、気持ち的にはイケメンホストのつもりで描いていて(笑)、あまり小学生だと意識していないです。それで、たまに小学生っぽい片鱗を出せればいいかな、と。普段は小学生っぽくないけど、『あ、そういえばこの子、小学生だった!』みたいな感じで。そういう部分で、小学生っていう設定は活かしたいですし、読者さんに意識してもらいたいなと思います」

―主人公3人のキャラクター作りで、気を付けた点を教えていただけますか?

「実は、芹沢先輩は最初、真面目なキャラクターだったんです。でも、どうしても人間ってバランスを取ってしまいがちで、猫太くんがチャラ男だから、先輩は真面目でバランス取ろうと思っていたんですが、担当編集さんと相談していて、それはエンターテインメントじゃないんじゃないか、と。ここは、ごり押しでチャラ夫にはチャラ夫でいかせるべきじゃないか、ということになって(笑)。これから物語が進んでいくなかで、先輩を猫太くんに負けないくらいチャラくしていきたいですね」

―あと、芹沢先輩がちょっと天然入っているところがいいなと思いました。「ちりめんじゃこが大きくなるとなんになる?」と聞かれて、「ちりめんじゃ!」って答えたりしていて。

「(笑)これは私が高校のとき、友だちと言い合っていたことをそのまま使っているんですよ! カラオケに行ったとき、曲の歌詞にそういう問いかけがあって、『有菜、なんだと思う?』って聞かれて『「ちりめんじゃ」じゃない?』って答えていました(笑)。で、大人になってからイワシの子だということを知ったのですが、そういう自分自身のエピソードをささっと混ぜています。

全体的に話を重くしたくないと思っているので、みんな少しずつボケ気質を入れました」

―では主人公の愛ちゃんに関してはどのようなキャラクターにしようと思っていたのですか?

「平和な子にしたいなと思っていました。ぽやぽやしていて、イマドキで、可愛い髪飾りとか大好きで、チョコレートさえあれば怒りもすぐにおさまるみたいな、お人好しの良い子ですね。私がキャラ作りに迷っても、『愛ちゃんはご機嫌な子』っていうところに戻ることができるかなと思います。

また、今までの作品はわりとシリアスなものが多かったんです。だから、この『猫と私の金曜日』は、そういった色をあまり出したくなくて、愛ちゃんが真剣に悩んだとしても恋愛の本当に些細なこと、『そんなことで悩むんかい!』と突っ込みが入るようなことだったりして、底から明るいマンガにしたいと思っています」

―ストーリーを作ったり、ネームを描く上で、今までと変えたことはありましたか?

「あんまり変えてないですね。ただ、いつもより乙女エッセンスを何滴か多めにしていますね。読者さんにキュンキュンしてほしいなと思っているので(笑)。

あと、実は『猫と私の金曜日』以外にも新連載候補が一つあって、そのネームを描いて担当編集さんのところに持っていったことがあるんです。でも、設定を盛り込みすぎちゃって、普通の高校生同士の恋愛を描きたかったのに、恋愛以外の要素がものすごく多くなってしまっていたんですね。そこで、テーマが恋愛に集中しているこっち(『猫と私の金曜日』)の方が勢いがあっていいよって話になって。だから、今回は本当に直球勝負で恋愛だけしかないマンガで行こう! と思って描いています」

第3回「種村さんが影響を受けたマンガとは?」につづく

■「猫と私の金曜日」

高校一年生の立花愛と、高校の一つ上の先輩で学内の女子からモテモテな芹沢、そして小学5年生ながら愛にアプローチをかける男の子、猫太の3人を中心に展開する直球学園ラブコメ!

学内の女子からモテモテな芹沢から、自分に気があることを告げられ、どぎまぎしてしまう愛。意を決して告白しようと決意するが、それをなぜか邪魔しようとする猫太。一話目からフルスロットルで加速するストーリー。一体どうなっちゃうの!? 2月5日発売『マーガレット』5号(2013年2月5日号)より巻頭カラー53Pで新連載開始!

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