「被災地を支援してくれたタイ、ありがとう」 福留功男さん制作の「アンサービデオ」公開

福留功男さん制作のアンサービデオ「Thanks THAI from JAPAN」より

 震災のときに日本を助けてくれたタイの人々に「ありがとう」というメッセージを届けたい。元日本テレビのアナウンサー福留功男さんが「Thanks THAI from JAPAN」と題したミュージックビデオを制作し、ニコニコ動画で公開した。ビデオには「この1年で私たち日本人がどうなっているかを伝えたい」という思いが込められている。

 1年前の2011年3月。東日本大震災で大きなダメージを受けた日本には世界各国から数多くの支援が寄せられた。モノやカネだけでなく、被災地の人々を勇気づける音楽や映像も――。その一つが、タイの国民的歌手であるバード・トンチャイさんが日本への励ましのメッセージを歌い上げたミュージックビデオだった。

「大波が去り/涙だけが残された/それを思いやりの波に変える」
「悲しみや今のつらさ/涙こらえ立ち向かおう/明日のために」

 前半はタイ語、後半は日本語の応援ソング。静かだが力強いピアノ伴奏と、バードさんの温かみのあるハスキーボイスがミックスした正統派のバラードだ。それにあわせた映像に登場するのは、「ファイト!」「GAMBATTE」「日本大好き」「You Are Not Alone」と様々な手書きメッセージを掲げるタイの普通の人々の顔。「微笑みの国」らしくほとんどの人が柔らかな笑みを浮かべている。

 このミュージックビデオ「THAI FOR JAPAN」は、震災直後にタイのテレビ局で連日放送され、日本への義援金を集めるのに大きな役割を果たしたという。またYoutubeにもアップロードされて日本の人々の知るところとなり、多くの人を感激させた。その中の一人が、福留さんだった。

■「こういう形で恩返しができて本当にうれしい」

 「国のせいにしないで『何かをやろう!』という素晴らしさに心を打たれた」という福留さんは、バードさんを始めとするタイの人々に向けた「アンサービデオ」の制作を決意。日本の被災地の人々の写真とバードさんの歌を組み合わせて、「Thanks THAI from JAPAN」を題するミュージックビデオを完成させたのだ。歌の使用にあたっては、福留さんがタイに飛んでバードさんに会い、許諾を得ることに成功した。

 背景に映し出される写真には、被災地・岩手県出身の写真家・佐藤慧さんが1年にわたり撮り続けた写真が使われた。ボコボコにへこんだ乗用車の前で立ち尽くす男性や遺体安置所の棺を見下ろす親族と思われる人たち。そうした悲しい情景の一方で、Vサインを突き出す子供たちや力強いまなざしをこちらに向ける老人の姿も――。

 見る者の心をとらえる一連の写真を提供した佐藤さんは、今回の震災で陸前高田市に住む母を亡くしている。完成したアンサービデオを見て、「タイのムービーは震災直後に見て、僕自身もがんばろうと思えたので、こういう形で恩返しができて本当にうれしい」と胸の内を明かした。

 アンサービデオの公開は震災から1年後の今年3月。タイのテレビ局で放送され、彼の地の人々の胸に届けられた。それから1か月後の4月10日、今度は福留さんが司会をつとめたニコニコ生放送の番組でこのビデオが紹介されたのだった。4月13日にはニコニコ動画にもアップされ、より多くの人が自由に視聴できるようになっている。

◇関連サイト
・[ニコニコ動画]Thanks THAI from JAPAN
http://www.nicovideo.jp/watch/1334324164
・[ニコニコ動画]THAI FOR JAPAN – 会員登録が必要
http://www.nicovideo.jp/watch/sm13964705
・[ニコニコ生放送]福留功男、震災と洪水の「これから」を考える – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv88004877?po=newsgetnews&ref=news
・[ニコニコ市場]スタジオジブリデザイン 復興Tシャツ
http://ichiba.nicovideo.jp/live/list/00000068

(亀松太郎)

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