はねプリ -羽根が生えてるアプリが欲しい!- 第8回『電子書籍アワード2012』

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はねプリ -羽根が生えてるアプリが欲しい!- 第8回『電子書籍アワード2012』

『電子書籍アワード2012』ってどんなアプリ?

今回は1本のアプリではなく、『電子書籍アワード2012』にノミネートされているいろいろな電子書籍アプリを紹介。アワードの開催は今回で2回目。自薦他薦のさまざまな電子書籍アプリが一次審査を経てノミネートされ、“文芸部門”、“書籍部門”、“コミック・絵本部門”、“特別賞候補部門”に分かれて争う。2011年に配信されていた作品が対象で、2月29日(水)18時まで“読者賞”の投票を受け付け中。

アプリURL

http://ddnavi.com/award2012-2/

ひとことコメント

「いろんな人がいろんな実験をして、もっともっと面白くなっていくと良いよね」

レビュア
はぎ:IT業界をひっそりただよう38歳。東大中退。
ねり:将来はガンダムパイロットになりたい女子大生。

はぎ:そろそろ『電子書籍アワード2012』も、読者投票の締切ですなあ。
ねり:そうですなあ。
はぎ:うちの『いつも、どこかで』も、“コミック・絵本部門”でノミネートさせていただいているわけであるが。ほかのアプリって触ってみた?
ねり:まだなんですよ……。気になっているものはたくさんあるのですけれど!
はぎ:じゃあちょっと触ってみて、またいろいろ話そうか。
ねり:そうしましょう!

――数日後――

はぎ:なんか面白いアプリあった? うーんとじゃあまず、文芸部門のやつ。
ねり:文芸部門だと『谷川俊太郎の“谷川”』が面白かったですね。
はぎ:川を流れてくる詩を釣るんだよね。僕は最後のひとつがなかなか釣れなくてさー。
ねり:そうそう、そうなんです。最後のほうは、いままで何を釣ったかも曖昧になってきて(笑)。
はぎ:釣った魚には餌をやりたくないからさ(なんつて)、ぱっと見違うように見えれば良いとは思ったんだけどね。きみは全部開けたんだよね?
ねり:全部釣りました! すると素敵なことが起きます!
はぎ:さっき見せてもらったけど、あれは良いよね。まあ、詳しい内容は全部開けた人のお楽しみかな。
ねり:そうですね! とりあえず「うれしい、きゅん!」ってなります!
はぎ:短歌のやつはどうだった?
ねり:『枡野浩一短歌集ロングロングショートソングロング(字と絵=後藤グミ)』ですね! あれもすごくよかったです! なんというか、短歌とあの素朴な感じの字の雰囲気が良くて、縦にずーっと読むんですけど、それもなんだか縦書きの短歌だからこそいいなあって。
はぎ:流れるように読んでく感じね。
ねり:ただ、自分がいまどのへんを読んでいるかは、知りたいところではありましたね。全体のなかでいま自分が読んでる位置がわからないから、「いいなあ」って思った短歌をまた見るのに時間かかっちゃって。
はぎ:あれ作ってるの知り合いの会社なのであんまり文句言うと怒られるかもだけど(笑)、そのあたり、ちょっと難アリだったかもね。わざとだとは思うんだけど。
ねり:起動しなおすと毎回最初から始まってしまうから、途中で止めるの勇気が必要です(笑)。だから一気に読まないと……。ぐぬぬ。
はぎ:ほかは、ある意味オーソドックスな電子書籍プラットフォーム、って感じだったよね。
ねり:そうですね。はぎさんは気になったものありました?
はぎ:あのなかでは『神様のカルテ』が、一番しっかりした作りだったような気がする。さっきの話とかぶるんだけど、画面の下のほうに“いま全体のこのへんを読んでますよ”ってのを表す三角がすごくさりげなく表示されてて、そのセンスが良いなって思った。
ねり:実際の本を読むのと電子書籍を読むのとでは、読む・読んだ分量の感覚が違いますもんね。
はぎ:そうだね、特に“ユーザーが迷子にならないようにする”ってのが大事だよね。あと、僕はもともとオーディオブックが好きなんだけど、『神様のカルテ』の音声版はすごく出来が良かったと思う。
ねり:オーディオブック私も試してみようかなあ。
はぎ:伊集院静のやつはどう思った?
ねり:『伊集院静“男の流儀入門”』! これは、インターフェースがきれいだなあ、と。あたらしい雑誌みたいな、なんて言ったらいいかわからないんですけど。文章だけでなく動画があったり、インターフェースにきれいなギミックがあったりで内容が詰まってておもしろいなあと。満足度が高い感じがしました。
はぎ:グラフ雑誌のひとつのフォーマットを提示した感はあるかもね。“大人の男”って言葉がわりと苦手だから、中を読むのは苦しかったのだが……。
ねり:書籍部門はどうですか? わたしは『panologue_00』が面白かったです。『iPad』だからこそですよね、『iPhone』で見ても意味ないなって。
はぎ:ああ、僕はもっと大枠で、電子書籍だからできるなって思ったのよね。
ねり:ん?
はぎ:次の部門の話をしちゃうけど、コミック・絵本部門の『いのちのかぞえかた』とかって、すごいきれいだと思うし演出とか素敵だと思うんだけど、こういうのって「ビデオでも良くない?」って思っちゃうんだよね。まあ、こういうの気にするのって、作ってるほうだけかもしれないけど。
ねり:その点『panologue_00』は自分が動かすことができて、インタラクティブな操作を楽しめますもんね。電子書籍ならでは。
はぎ:そうそう。マンガが自分のペースでページをめくることが大事なように、自分のペースでパノラマを動かすのが大事なんだろうなあと。
ねり:そこが、自動的に流れていってしまう動画とは、また違いますよね。
はぎ:たぶんそれがミソだと思う。あと、ヘッドマウントディスプレイになったら、頭動かすとパノラマ動くとかしてほしいかも(笑)。
ねり:ぎゃー! 酔いそう(笑)!
はぎ:『体脂肪計タニタの社員食堂』はさ、一瞬「これ電子書籍か?」って思ったけど、あれはあれでレシピ集っていう、立派な電子書籍なんだよね。
ねり:そうなんですよね。自分で定食を考えたりできるのが紙ではできないことですよね。
はぎ:チェックリストが作れるよね。選んだ定食に対して、こういうのを買わないといけないよっていうやつ。
ねり:1人分から4人分まで変えられて便利。
はぎ:まあ、「なんで4人で止めるんだ」とは思ったけど……。
ねり:確かに! 5人家族涙目。
はぎ:でも、チェックリストが表示されるのに、実際にチェックリストとしては使えなかったり、もうちょっとつっこんでくれれば良かったのになって思うところはあったかな。
ねり:『iPhone』持ってお買い物行って、チェックできたら楽しいですよね。
はぎ:元の作りがよくできてるから、ついぜいたくに考えちゃうのかもしれないけど。あとは、『マーカス・チャウンの太陽系』は、「これがインタラクティブ図鑑だ文句あっか!」って感じだったね。
ねり:太陽がくるくる回せる!
はぎ:土星も回せる!
ねり:イェーイ!
はぎ:ただ、ちょっと、“いま自分がどこにいるか”とか、“どこをタップすると戻れるか”とか、そのあたりがわかりにくかったかな。
ねり:そうなんですよね、ナビゲーションがちょっとわかりづらくて、「次行きたいんだけど、どこ押せばいいの?」とかなっちゃいました。
はぎ:難しいところだよね。今後きっと、いろんなアプリが、そういう“使いやすさ”を試すんだろうね。
ねり:俺たちの旅はまだ始まったばかり。
はぎ:だね。さて、コミック・絵本部門だけど、わが社の『いつも、どこかで』は置いておいて(笑)。
ねり:はい(笑)。
はぎ:『いのちのかぞえかた』はさっき言ったとおりの感想。
ねり:わたし最初、なにか起こるのかと思って一生懸命赤ちゃんをこすってました……。
はぎ:(笑)。でもわかる。なんか、ほかのもだけど、“どう使っていいかわからない”アプリは多かったかも。
ねり:そうですね、たとえば『ぴよちゃんのおともだち』は動く場所が多くて楽しいんだけれども、どこまで動くのかがわからなかったですね。
はぎ:ぴよちゃんたちを動かす部分と、ページをめくるって動作が、ちょっと混乱してる気がしてしまった。
ねり:ぴよちゃんを次のページまで動かしてからめくる、ってやつが多かったですよね。いまはページをめくるのタイミングなのか、ぴよちゃんを動かすタイミングなのか、わからなくなっちゃう。
はぎ:ちょっと、無理矢理“電子書籍らしく”しようとして、中途半端になってしまった感があるかなあ。すごいぜいたくな言い方だけど。逆にさ、『僕らの漫画』は、最初見たとき「別に電子書籍である必要なくない?」って思ったんだけど、チャリティーっていう部分を考えると、電子書籍のスピーディーさとか、物理的に紙が必要ない感じとかが、とても役に立ったんだろうね。演出としてではなく、プラットフォームとしての電子書籍の良さを活かしてると。
ねり:そうですよね、早いし、刷るよりずっとお金もかからないだろうし。いま、わたしだって「電子書籍出そう」と思ったら出せますものね。
はぎ:そうやって、いろんな人がいろんな実験をして、もっともっと面白くなっていくと良いよね。
ねり:わたしも作ろー!
はぎ:と、結構偉そうなこと書いちゃって、「お前はどうなんだ」って言われそうだけど、まあいいよね。あはははははは。
ねり:しかし大賞の発表が楽しみですなあ。
はぎ:そうですなあ。

評価
はぎ:★★★☆☆(もっともっと面白いものが読みたい)
ねり:★★★★☆(期待を込めて!)

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