手頃な受講料でオフィスワークからモノづくりまで学べる「在職者訓練」とは?
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、「在職者訓練」とは主に中小企業で働く人を対象にしたスキルアップセミナーです。国や都道府県が全国で実施しているもので、オフィスワークからモノづくり系までさまざまな種類があります。比較的安い受講料で学ぶことができるので、働きながらスキルアップしたい人にお勧めの制度。ラインナップを確認し、空いている時間に受講してみては?
在職者訓練の種類
在職者訓練は、大手企業と比べて研修制度が充実していない中小企業の従業員を対象に、会社で働きながら技術や知識が習得できる公共職業訓練。講習期間は約2~10日程度で、受講料は900円~13,000円ほど(テキスト代は別途)と、短期間で仕事に役立つ内容を低価格で学ぶことができます。「都道府県」が行うものと「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構」が行う、以下の2種類に分かれています。
・「都道府県」
初心者を対象とした基礎的な講座が中心で、平成24年には約5.3万人が受講しています。都道府県によってそれぞれ名称が異なり、例えば東京都では「キャリアアップ講習」、神奈川県や群馬県では「スキルアップセミナー」と呼びます。講習は土日や平日の夜間に行われるため、仕事と両立しながら学ぶことが可能です。個人の応募のほか、企業が社員研修の一環として参加するケースもあります。
・「高齢・障害・求職者雇用支援機構」
企業の中核的役割を担う人物を中心に、モノづくりに関する知識や技能・技術を習得するための訓練を行います。こちらは専門的な内容が中心です。
●申し込み方法
の申し込み方法は、都道府県によって異なります。例えば、東京都のキャリアアップ講習の場合、はがき・インターネット・FAXのいずれかで申し込みを行います。
【TOKYOはたらくネット】
http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/school/carr_up/index.html
在職者訓練でスキルアップ!
在職者訓練では、企画書やホームページ作成、簿記資格取得に向けた講座など、実務に役立つ内容が充実しています。その一部をご紹介します。
●経理・経営・事務系
・簿記(工業、商業試験対策)
工業・商業簿記の資格取得を目標に学びます。例えば商業簿記の講座の場合、決算処理や基礎知識、試験対策などが行われます。鳥取県の商業簿記科を例に挙げると、受講期間の目安は計8回・合計40時間の授業で、受講料が8,000円です。
・法人税の実務
会計・経理業務の人を対象に、法人税・改正税法のポイントなどについて学びます。また、法人税関連では申告書の作成方法についての授業もあります。東京都のキャリアアップ講習では計4~8回の授業で、受講料が1,600円です。
・英文会計/英文財務諸表作成実務
欧米の会計基準による連結財務諸表の知識と作成実務を学びます。海外取引を行っている企業勤務で、英文財務諸表の読解・作成に関する知識を必要とする人が対象。東京都のキャリアアップ講習では計8回の授業で、受講料が1,600円です。
・Access(データベース)【初級】
Accessの基本操作、ファイルの作成、リレーションシップの設定を学びます。Excelの表計算、関数などができる人が対象。東京都のキャリアアップ講習では計3~4回の授業で、受講料が6,500円です。
・ビッグデータ分析(Excel)
Excelを使ったデータ分析の基礎知識、アドインを使ったビッグデータ分析例紹介、ピボットテーブル実習、PowerView実習、PowerMap実習などを学びます。Excelの表計算、グラフ作成、印刷などができる人が対象。東京都のキャリアアップ講習では計3~4回の授業で、受講料が6,500円です。
・ロジカルシンキングによる企画書作成
WordやPowerPointを使って、論理的思考に基づき企画書を作成するスキルを学びます。WordやPowerPointの基本的な操作方法を理解している人が対象。東京都のキャリアアップ講習では計3回の授業で、受講料が6,500円です。
・ビジネスを円滑に進める交渉力&プレゼン技法
会議の仕組み、価格交渉技法、論理的対話力、コーチング、ビジネスの場で役に立つ実践的コミュニケーション能力、論理的対話力などを学びます。中小企業勤務で入社3年目以上の人が対象。東京都のキャリアアップ講習では計2回の授業で、受講料が1,100円です。
●印刷・広告
・POPレタリング
フェルトペンによるカード作成とレイアウト基本書体、筆とフェルトペンによる総合作品の制作を学びます。仕事でPOPレタリングの技能を必要とする人が対象。東京都のキャリアアップ講習では計3回の授業で、受講料が6,500円です。
・Adobe Illustrator
初心者を対象にAdobe Illustratorの基本的な操作方法を学ぶ講座のほか、ある程度操作ができる人を対象にした実践講座もあります。静岡県の在職者訓練で、「イラストレーター(活用)」が計6回の授業で、受講料が3,240円です。
●情報系
・ExcelVBA【基礎】
マクロ/VBAの基礎知識やマクロの作成・編集方法、初歩的なモジュールの作成方法などを学びます。受講対象者はExcelに関して、セルやワークシートの操作、基本的な関数、データの並べ替えや抽出ができる人です。東京都のキャリアアップ講習では計3~8回の授業で、受講料が6,500円です。
・PHPの基礎
Webアプリケーションの概要と開発方法、それぞれの画面間・プログラム間での情報の受け渡し方法、データベースへのデータの登録と取り出しを学びます。HTMLとプログラミングの基礎知識を持ち、Webサイト制作に従事している人が対象。東京都のキャリアアップ講習では計3回の授業で、受講料が6,500円です。
・JavaScript
JavaScriptの概要、基本構文、関数の定義と使用、オブジェクトの使用を学びます。HTMLによるホームページ作成ができる人が対象。東京都のキャリアアップ講習で計3回の授業で、受講料が6,500円です。
・Android開発【基礎】
Android開発の手順、基本的な用語および各種開発技法、データベースを利用するアプリケーション制作を学びます。パソコン操作に精通し、プログラム作成に関する知識のある人が対象。東京都のキャリアアップ講習では計3回の授業で、受講料が6,500円です。
・技術プログラミング
C言語プログラミングについて基本的な構文や制御文などを学びます。対象はC言語プログラミングの初心者です。静岡県の在職者訓練では「C 言語プログラミング(初級編)」が計6回の授業で、受講料は1,620円です。
・ホームページ制作
ホームページ制作技術について実務的な内容を学びます。対象者はパソコンの基本的な操作ができる人です。鳥取県の在職者訓練では、「ホームページ制作科」が計3回の授業で、受講料は3,600円です。
在職者訓練でモノづくりの技術を身につける
在職者訓練はモノづくりの技術を身につけたい人にもピッタリです。また、介護系の講座も充実しています。ここでは、講座の一部をご紹介します。
●製造系
・CAD製図
CADの基本的な操作方法や作図、図形入力などを行う初級者向けの講座から、上級者向けの応用編の講座まで揃っています。東京都のキャリアアップ講習では「CAD製図(機械)【初級】」が計3~8回の授業で、受講料が6,500円です。
・ガス溶接
ガス溶接設備の取り扱いや構造、法令などを労働安全衛生法に基づいて学びます。
東京都のキャリアアップ講習では、「ガス溶接(技能講習)」が計3回の授業で、受講料が4,200円です。
・電気工事士受験対策
第二種電気工事士免状取得のための受験対策を行います。試験の出題範囲の中でも苦手とする人が多い分野については、重点的にカバーしてくれます。静岡県の在職者訓練では、「第二種電気工事士予備講習」が計9回の授業で、受講料は3,240円です。
●介護系
・介護支援専門員受験対策
介護支援専門員の合格を目指して、介護保険制度、福祉サービスなどの基礎知識を学びます。東京都のキャリアアップ講習では、「介護支援専門員実務研修受講受験対策【基礎】」が計6回の授業で、授業料が3,200円です。
・介護スキルアップ
介護職員として働いている人のスキルアップのため、「認知症・高齢者と薬」「レクリエーション」などを項目別に学ぶことができます。埼玉県のスキルアップ訓練で、「介護スキルアップ講習(生活機能の維持とリハビリ)」が計2回の授業で、受講料が2,000円です。
在職者訓練を賢く活用し、スキルを磨こう
在職者訓練を上手に活用することで、仕事のスキルアップを図ることはもちろん、安価で講座を開講しているので、興味を持った分野を受講してみると、今よりも視野が広がるかもしれません。仕事に直接関係がなくても、学んだことはいつか活かせる機会が訪れるもの。気になる講座があるかどうか、チェックしてみては?
関連記事リンク(外部サイト)
「接続詞」を断捨離すると、文章がグンと読みやすくなる!?
仕事に役立つ「戦国武将」15の名言!織田信長・真田幸村から軍師・黒田官兵衛まで
職場の人間関係を良好に! 上手に人を「ほめる」8つのコツ
ビジネスパーソンのための、キャリアとビジネスのニュース・コラムサイト。 キャリア構築やスキルアップに役立つコンテンツを配信中!ビジネスパーソンの成長を応援します。
ウェブサイト: http://next.rikunabi.com/journal/
TwitterID: rikunabinext
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。