再生エネの促進で一致、脱原発など議論 総合エネ調・基本問題委員会
エネルギー政策の抜本的な見直しについて有識者から意見を聞く総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会は2011年10月26日、第2回会合を開いた。この日は5人の委員がプレゼンテーションを行い、今後の原子力発電を含めたエネルギー政策のあり方について語った。
再生可能エネルギーの促進については、委員の意見がほぼ一致。富士通総研経済研究所の高橋洋主任研究員は、エネルギー安全保障などの観点から「再生可能エネルギーの再評価が必要」と主張した。一橋大学大学院の橘川武郎教授は、再生可能エネルギーの大幅な拡充が必要との認識を、ジャーナリストで環境カウンセラーの崎田裕子氏は、再生可能エネルギーの活用による雇用創出の可能性を、それぞれ示した。環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は、自然エネルギーを人類史の「第4の革命」と位置づけ、「自然エネルギーに大胆にシフトすべき」と述べた。
一方、脱原発の是非については、時期や経済への影響などで意見が分かれた。全国消費者団体連絡会の阿南久事務局長は、消費者の多くが原発の廃止を求めているとして、できるだけ早い段階で「原子力発電ゼロの社会を目指すべき」と訴えた。これに対し、日本エネルギー経済研究所の豊田正和理事長は、原子力から再生可能エネルギーに移行した結果、エネルギーコストの上昇を招き、産業が移転するなどして「日本経済の停滞や生活水準の低下を招く恐れがある。そういうことは考慮しているか」と疑問を投げかけた。
この日の会合は傍聴席を開放。抽選で選ばれた傍聴人らが会合の行方を真剣に見守っていた。
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 阿南久氏のプレゼンから視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv67870436?po=news&ref=news#06:00
(三好尚紀)
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