辻元議員、ボランティアめぐるトラブルに「ええかげんにせえよ」

辻元清美首相補佐官(災害ボランティア担当)

 辻元清美首相補佐官(災害ボランティア担当)は2011年8月23日、自由報道協会主催の記者会見に出席し、東日本大震災以降、被災地でのボランティア活動の状況や、政府の取り組みがどのように行われてきたのかを説明した。また質疑応答の中で、医師免許を持たない人物の医療行為が発覚したことや、フジテレビの「27時間テレビ」の設営にボランティアが派遣されていたことなど、ボランティアをめぐるトラブルについて訊かれると、「ええかげんにせえよ、と思います」と不快感をあらわにした。

 東日本大震災では、被災地が広範囲であったことや、ボランティア活動の拠点となる建物が津波で倒壊したため、従来の災害ボランティアよりも困難な状況であったという。ボランティアセンターを立ち上げるところから始まった取り組みは、緊急援助などによりゴールデンウィークには受け入れ態勢を整え、泥かきや炊き出しなどを中心に展開。そして現在は、仮設住宅での見守り支援や、心のケアが中心的な活動内容となってきた。今後は街づくりなどの復興計画や仕事の創出などに関わっていくという。

 現在ボランティアセンターに登録している個人のボランティアは、8月19日時点で66万6500名。これ以外にも企業、組合、学校などの各種団体を通して多くの人がボランティア活動に携わっており、辻元氏は「100万人近くの人たちが、さまざまな形で力を尽くしている」と述べた。

 辻元氏はボランティア団体の活動に、「基本的に口を出さない」という。「阪神淡路大震災のときに、政府があれやれ、これやれ言われたときにうるさいと思っていた」と、自身がNPO活動に携わっていた頃の経験を話し、「ボランティアというのはあくまで自発的に活動するので、政府が指示したらボランティアではない」と述べ、政府がボランティアに対して必要以上に介入するべきではないとの認識を示した。その上で、ボランティア休暇の促進を企業に呼びかることや、ボランティア活動が単位取得に繋がるよう各大学に通知を出すなど、ボランティア活動がしやすいような環境を作るのが「政治の役割」と述べた。

■トラブルに「腹立ってます。ええかげんにせえよ」

 震災から数カ月。これまでさまざまな形で被災地の復興支援に携わってきたボランティア。しかし、一方でボランティアが関わるトラブルも相次いでいる。宮城県石巻市では医師免許を持たない男性が医師を名乗り、医療行為を行っていた問題が発覚。また、先月23日から24日にかけて放送されたフジテレビの「27時間テレビ」では、宮城県南三陸町でライブが実施されたが、その特設会場の設営に同町ボランティアセンターから紹介された人々が派遣されていた。このようにボランティアの身元確認で怪しげな人物が入ったり、被災地の支援に行ったら、参加者の意図とは違うことに回されるなどの混乱が一部では生じているという。

 辻元氏はこれらの問題を指摘されると、

「ほとんどの人は善意で、自分にできることを何か一つでも手助けしたいと思って(ボランティアに)行っているわけです。ですから、そういう事例が出てくると、ボランティア全体の信用や、せっかく活動してきたことがマイナスになったり、地元の人が身構えてしまう。非常に残念です。ですから、腹立ってます。ええかげんにせえよ、と思っています」

と憤った。

 そして辻元氏は、今後の震災復興にボランティア活動が重要な役割を担うことを改めて強調。「みんな経済や街の復興の話はするが、人の気持ちや絆の復興は置き去りにされている。そこの部分はボランティアやNPOが担っていくべき」と、ボランティア活動の必要性を説いた。

(三好尚紀)

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] ボランティアをめぐるトラブルについての質問から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv60719482?po=news&ref=news#36:40

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