大日本印刷、講談社など6社がブックオフの株式を取得
出版社、書店、流通、印刷会社が、書籍の二次流通ビジネスに手を伸ばす。
講談社、集英社、小学館、大日本印刷(以下、DNP)およびグループ傘下にある丸善、図書館流通センターは、アント・DBJ投資事業有限責任組合とAnt Global Partners Japan Strategic Fund I,L.P. が保有するブックオフコーポレーション(以下、ブックオフ)の全株式(発行済株式総数の28.9%)を取得する株式譲渡契約を締結したことを発表した。株式譲渡は5月20日に予定されている。
ブックオフは、1990年代初頭から従来の“古本屋”のイメージを打ち破る“新古書店”という分野を開拓して全国にチェーン展開してきた。しかし、2007年に売り上げの水増しや丸善からの収賄など不正事件が発覚。経営不振に陥ったことから、2008年はに創業者で前代表取締役会長の坂本孝氏の持ち株を、日本政策投資銀行と日興アントファクトリー系企業が出資するアント・DBJ投資事業有限責任組合とAnt Global Partners Japan Strategic Fund I,L.P. に譲渡し経営再建を図っていた。今回の株式譲渡では、この2社が持つすべての株式をDNPなど6社に譲渡、DNPが筆頭株主に、丸善が第二位株主になる。
DNPは株式取得の目的について、「ブックオフとともに、二次流通も含めた出版業界全体の協力・共存関係を構築し、業界の持続的な成長を実現させていくため」としている。講談社、集英社、小学館の出版3社は「著者・著作権者の創作的基盤を尊重し、関係各位の立場を配慮しつつ、より効果的かつ有機的な市場の構築」を図っていきたいと述べている。
DNPは、2007年より丸善、図書館流通センター、そしてジュンク堂と、書店・流通各社との資本・業務提携を進めており、2009年5月8日には主婦の友社との業務・資本提携を発表し出版分野への進出を明らかにしたばかり。つい先日も休刊雑誌の過去アーカイブの電子書籍コンテンツ化に着手するなど、出版分野に力を入れており注目が集まっている。
今後は「講談社、集英社、小学館、DNPグループ三社(注:丸善、図書館流通センター含む)およびブックオフは、近日中に業界のさらなる発展を目的とした協議を開始する」予定とのこと。今後の動きにも目が離せない(このニュースの元記事はこちら)。
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京都在住の編集・ライター。ガジェット通信では、GoogleとSNS、新製品などを担当していましたが、今は「書店・ブックカフェが選ぶ一冊」京都編を取材執筆中。
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