オーディオブックという古くからある最新のサービスを『Audible』で出張女子が徹底的に試してみた!

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昨今、ネットで動画を配信するオンデマンドサービスが目白押しだが、意外と昔からあるオーディオブックというサービスも、また新たなステージに突入しつつある。
オーディオブックとは、その名の通り、書籍の朗読により“耳で読書を楽しむ”サービスのこと。昔はカセットテープ販売、近年はCDブックの販売、そして最近は音声ファイルをダウンロードするという形式で、機器の変遷によって時代とともに提供、販売の形態も変化してきた。
販売形態も、今までの紙の本と同様に1冊単位で販売という形式から、大容量コンテンツのネット配信や、アプリ内蔵にするという手法が登場している。
1冊ごとの従量課金ではなく、月額均一料金でコンテンツを楽しむ形でサービスを提供する事業者も登場している。

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動画配信サービスを含めて、たいてい1か月程度は無料で試用できるので、Audible(オーディブル)というサービスを試してみることにした。オーディブルは本やオーディオエンターテインメント(落語、ラジオ、ドラマCD等)をアプリで自由に聴けるアマゾンの新しいサービスである。
一般的な利用シーンとしては、通勤、通学の途中や家事の最中等、隙間時間を利用した「読書」が想定されている。つまり、目や手を使わずに「耳」で読書を楽しめるのだ。
しかし、オーディオブックが完全に市民権を得ている米国とは違い、公共交通機関が隅々まで行き届いた日本では、車社会の米国と比較して、さほど浸透しなかったという事情がある。
月額1500円で聞き放題のオーディブルを日本のビジネスマン(今回はウーマンだが)の世界に持ち込めばどのようになるのか実験してみた。

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名古屋に出張の彼女は、東京駅から東海道新幹線で向かった。
選択した列車が700系のためにネット環境はない。スマホのテザリングやWi-Fiルーターでも接続は可能だが、プレゼン資料の作成にトンネルを気にしながらの常時接続は特に必修ではないとのこと。

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オーディブルはiOS、Androidに対応しているスマホアプリなので、あらかじめアプリをダウンロードし、「聴きたい」本を自由に選択、ダウンロードして保存しておく。
今回彼女がアプリ上に保存しておいたのは、「7つの習慣 プライベートコーチ」という本。

ビジネス社会を乗り切るための単なるスキルやテクニックだけでなく、個人の「リーダーシップ」を発揮させることで組織を活性化していくという独自のアプローチを持つ人材開発、組織開発のプログラム。「7つの習慣」の内容を頼れるコーチのように問いかけてくれます。

という内容で、プレゼンに備えるということらしい。

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そのプレゼンに成功したかどうかは知る由もないが、お昼になったので腹も減る。

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名古屋では昼でも夕方でも「モーニング」を食べるのが楽しい。コーヒー1杯にいろいろ付いてくるモーニングサービスだが、お昼でも夕方でも提供されていては、もはや「モーニング」ではない。しかし、これが名古屋流。
名古屋の喫茶店は、東京や大阪の喫茶店と比較して非常にゆったりしている。新聞を広げながらゆっくりと時間をかけてコーヒーを飲む姿は圧倒的に名古屋が多い。

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さて、彼女はここでも仕事に関係する「TED 驚異のプレゼン」という本を聴き始めた。

各界の著名人から独自の主張をもつスピーカーまで、幅広い方がスピーチを行なうTEDの特徴となっているのがプレゼンテーションのスタイルです。TEDのプレゼンテーターが採用している、プレゼンテーションの校正、話し方など人の心を動かすノウハウが聴けます。

「モーニング」を食べながら、ちょうどきりの良いところまでプレゼン術についてのオーディオブックを聴き終わった彼女は、イヤホンを外してプレートを運んできた喫茶店リヨンのおばちゃんとしばし談笑。
朝ではないのにモーニングというメニューに驚く東京から来た娘に対する、おばちゃんの面白おかしい名古屋の話(これも一種のプレゼンテーションか)に感銘を受けている様子で、小倉トーストがみるみる無くなっていく。
ちなみにオーディブルには、しおり機能があるため、後で「さっき読んでいたところから」聴き始めることもできるという。

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夕方になり、仕事を終えた彼女は日の落ちかけた名古屋市内の鶴舞(つるま)公園を散策。

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さすがにもうプレゼンの本ではないだろうと、スマホの画面をのぞいてみる。
ちなみに、選書はすべて彼女が行ったので、何を読んでいるのかは記者にはその時になってみないとわからない。

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ここでは、ラヴクラフト「名前のない都市」(H・P・ラヴクラフト)という本を聴いていた。
仕事は終わったので、ここで初めて感想を聞いてみた。

「砂漠の迫力が耳から伝わってくるシーンで、ここ(鶴舞公園)のリアルな噴水の音が聞こえてきて、なんだか不思議な感覚です」

オーディオブックは、なにもナレーションだけではなく効果音も収録されているので、聞く環境によってはリアルなその場の音と相乗効果が生まれる場合があるようだ。

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夕食は名古屋飯。あんかけスパが食べたかったようだが、どこで食べることができるのかがわからず、きしめんに落ち着いたようだ。もちろん、天むすを付けるのも忘れない。冷やしきしめんにピリッと効いたわさびは、一仕事終えた彼女には心地よいようだ。

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帰りは時間もあるので、安くて風景が楽しめる高速バスを選択した模様。
意外にも若い女性が乗客の大半だった。途中の休憩サービスエリアで女子旅二人組から、一眼レフカメラで撮影中の記者をプロカメラマンと勘違いしたのか、スマホでの撮影を依頼された。高速バスは、ビジネスマンのおっちゃんが大勢乗っていると思っていたが、それは誤った先入観だったのかもしれない。

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ここで彼女が選択したのはバスなのに「鉄道員」(ぽっぽや)。
これは映画やその後のテレビ放映で見た人も多いと思うが、その原作である。
彼女は映画は見たことがないと言っていたが、どちらが先でも感動する作品であることには違いない。
高倉健や小林稔侍、志村けんや広末涼子等々のあの名シーンが記者の頭の中を駆け巡る。

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チョコレートを食べながら「ぽっぽや」に耳を傾ける彼女を見て、シャッター音しか聞こえないはずの記者の耳には、”幌舞線”キハ40のタイフォンが聞こえたような気がした。

映像と違い、耳だけが唯一の入り口であるオーディオブックは、人間の持つ豊かな想像力で本の中の世界を広げることが可能なことに利点がある。活字を追う視覚からも同様の効果はあるはずだが、その情景を音響効果とともに耳から入れることにより、簡単に想像力を高めることができる。
今回使用したAudible(オーディブル)は、米国発のサービスだが、日本人の好みに合わせて、落語やラジオドラマ、はてはライトノベルやサブカルチャー等などのコンテンツも収録されている。日本語版以外ものと比べて、短時間で聴けるコンテンツも多いという。
月額1500円が高いか安いかは、個人の書籍購入数によるところが大きいので、それぞれの判断に委ねるがいずれにせよ、隙間時間という「ちりも積もれば山となる」長時間を利用して勉学や自己啓発、娯楽にと活用できるシーンは多いのではないだろうか。

※写真はすべて記者撮影

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(執筆者: 古川 智規) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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