原発は時代遅れの「戦艦大和」 エネルギー政策研究所・飯田所長が語る代替案

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 東日本大震災の発生以来、日本のみならず世界で注目されている原子力発電所問題。国内では反原発運動が活発になり、菅直人首相が中部電力浜岡原子力発電所の停止要請をするといった動きも出てきた。しかし、原発を止めれば電力供給に大きな影響が出るのも事実。自然エネルギーの発電量や石油・天然ガスといった発電用資源を巡る国際競争などの問題を考えると、今すぐに原発を全廃することは難しい。

 2011年5月10日放送のニコニコ生放送「徹底討論!原子力発電は必要か!?~今後のエネルギー政策について考える~」に出演した、ISEP環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏は、複数の発電技術を用いて「ダイナミックにエネルギーのベクトルを変えて行くとき」と主張した。

 飯田氏は、「日本の(原発の)安全審査・安全規制はほとんど目が節穴の体制だった。組織も人も総入れ替えしないとダメだろう。損害賠償も、そのまま国民の税金を使うようだと原発の増設が認められるわけがない」とし、10年後の原子力発電の割合は10%程度となるだろうとの見解を示す。

 では、そうなったとき、残りの電力はどうやって賄えば良いのだろうか。氏はドイツでの取り組みを例に挙げ、太陽光発電・風力発電を中心に、水力発電・バイオ・地熱などを織り交ぜれば、自然エネルギーの発電割合を全体の30%程度まで上げられると説明。また天然ガスの比率を上げ、「コージェネレーション(発電と排熱利用)」で発電効率を高めると共に、需要電力を予測するデマンドコントロールによって利便性を下げないよう節電をしていく必要があると語った。

 続けて飯田氏は、核燃料サイクルなどの原子力政策を戦時中に建造された「戦艦大和」に例えて、「ナンセンス」「時代遅れ」と揶揄。こうしたダイナミックな変化を達成するためには、

「今までのような(電力会社が)地域独占で、自然エネルギーは買わない、コージェネは買わないといった形のマーケットのバリアを、しっかりと取り除く。そのために、役所の中に残る原子力中心の古い考え方を一掃する必要がある」

 と述べた。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 飯田氏の「戦艦大和」発言部分より視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv49456728?ref=news#01:18:58

(野吟りん)

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