友達がいるのに孤独? 秋葉原事件・加藤被告にみる現代の若者

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 東京・秋葉原で2008年に起きた無差別殺傷事件。この事件で、殺人罪などに問われた加藤智大被告の論告求刑が、2011月1月25日、東京地裁であり、検察側は「死刑」を求刑した。同事件に関する著書を出版予定の北海道大学公共政策大学院准教授・中島岳志さんは、「加藤被告はリアルに友達がいるにもかかわらず、なぜ孤独だったのか」という問いが重要だと指摘する。

 中島さんが加藤被告の周辺を取材したところによると、地元の青森には、中学・高校時代から現在に至るまで、仲のいい数人のグループがあり、加藤被告が自殺未遂後に青森に帰ってきた際も、飲み会を開いていたという。また、事件の約1年前、加藤被告は青森の運送業者を突然退社し、「同じネット掲示板に書き込みをしていた仲間たちを訪ねる旅」に出た。そこで出会った兵庫県の女性のことを好きになり、彼女に告白に行く途中で、群馬県に住む別の女性に悩みを聞いてもらったり、掲示板の管理人である福岡県の男性に相談したりもしていたという。

 しかし、加藤被告は公判で「リアルの世界に友人はいない」と言い切った。若者の「生きづらさ」に詳しいジャーナリストの渋井哲也さんは、「若者の中に、友達の数は多いのになんとなく孤独だ、と言う人はたくさんいる」との認識だ。また、加藤被告は「友達を作るため、友達にウケるために一生懸命ネタを作って話している」と公判で語ったとし、このようなコミュニケーション方法が表面的な友達の多さを作り上げていると指摘した。

 同事件で加藤被告から刺された被害者の湯浅洋さんは、これらの話を受け、「相手が友達と思ってくれていても、加藤被告は自分を作って接しようとするから、結局自分が信じられないのではないか」と思うところを明かす。

 友達がいるのに孤独――皆さんはどう考えるだろうか。

ニコ生スペシャル『秋葉原事件とは何だったのか?~1・25論告求刑を受けて~』
http://live.nicovideo.jp/watch/lv38019483
(番組はタイムシフト機能で2011年2月1日まで視聴できる)

丸山紀一朗

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