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なぜもめる?日本におけるドメイン登録独占の影響

レジストリ・レジストラ分離

今回は田中邦裕さんのブログ『さくらインターネット創業日記』からご寄稿いただきました。

●なぜもめる?日本におけるドメイン登録独占の影響

先日、GMOの熊谷社長が自身のブログ上において、JPRSさんがレジストラ業務を開始することについての公開質問を掲載されました。

株式会社日本レジストリサービス(JPRS)さんへの公開質問です
http://www.kumagai.com/?eid=718

内容を今北産業でいうと、

独占的にJPドメインを扱っているJPRSさんが、
誰でも参入できるgTLDドメインの扱いをはじめる表明をしたため、
同じくgTLDを扱っており競合になるGMOさんが「フェアでない」という声を上げた。

ということです。

私も「フェアでない」と思っていますし、JPRSユーザ会という場においても「JPRSさんがgTLDドメインの取扱いをやらないほうがいい理由」を話しました。
しかし、多くの中小事業者はJPRSさんにgTLDドメインを取り扱ってもらいたいという考えでしたし、そもそも今回のろしを上げたGMOさんはその場に出席すらしていませんでした

そういった経緯もあり、今回の件についてこれ以上の指摘は無意味だろうということで、特に関わるつもりもありませんでしたが、さまざまな方から私へのさぐりが多く、考えを聞かせてくれというメールも多いので、自分の考えについて経緯を踏まえながら書かせて頂くことにしました。
長文ですが、お時間があればお付き合いください。

●はじめに

まずはじめに、レジストリとレジストラについて解説をします。

ドメイン名の登録というのは、複数の人に重複して登録されないよう一意性が重要になります。
そのため、トップレベルドメイン(TLD)ごとにデータベースは必ず1つである必要があり、単独の一社で管理されています。このデータベースを管理する事業者のことをレジストリを言います。
そして、レジストリのデータベースを利用して、実際にドメインの登録を行う事業者のことをレジストラと言い、TLDごとにたくさんの事業者が存在します。
さくらインターネットはレジストラではありませんが、GMOさんをはじめ、ライブドアさんやファーストサーバさんなど、国内にも多くのレジストラが存在します。
レジストリとレジストラを分けるのは非常に煩雑ですが、その煩雑さを乗り越えてでも参入の平等や競争環境の創出を目指して、先人たちが大変な苦労を乗り越えて分離モデルを作り上げました。

しかし、分離モデルは.com / .net / .info のようなグローバルなTLD(gTLD)において行われているのが大半で、国別ドメイン(ccTLD)においてはレジストリとレジストラが分離されていないことも多く、日本のドメインである.jpにおいてもJPRSという事業者が独占して登録業務を行っています。
そのような環境下に置いて、独占体制による競争の無さからドメインが高額であるとの指摘が多く、事あるごとに議論が続いてきました。
その上、.jpにおいて独占的にレジストリ・レジストラを行っているJPRSさんが、.comや.netといったgTLDのレジストラも開始するということで、日本のドメインでは独占状態を維持しつつ、gTLDではレジストラを行うということに対して大きな問題に発展しています。

今回は、独占的であるということと、ドメインが高額であるということに加え、レジストラを行うことに対する問題点を書きたいと思います。

●独占的であるということについて

.jpにはレジストリは1社しかありません。前述の通りJPRSさんが行っています。
ですので、さくらインターネットやGMOさんのような事業者はJPRSさんに取次ぎしているだけで、実際にドメインの管理を行ったり、価格をコントロールしているわけではありません。
このような環境下に置いて、コスト体質であるとか、経営の決定プロセスが開かれていないとか、莫大な利益を上げ特定の株主が配当を受け取っているとか、多くの指摘がなされています。

ただ、国別TLD(ccTLD)において特定の団体によって行われることは日本以外でもありますし、結論から先に言うと「特定の人に利益が生まれるような状態で無く、信頼性の高い運営が行われているのであれば、独占状態も消極的に受け入れても良い」と考えています。
JPRSさんの役員には天下りなど、いわゆる給与泥棒に当たるような役員はいないはずですし、経営陣は健全に見えます。
コストが高いという点についても、世界的に見て大変信頼性の高いDNSシステムを構築していますし、ドメインに関する研究開発に資金を拠出しているのも事実です。

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