『Twitter』ブームの次は『Facebook』ブーム? 『Facebook』を単なる『Twitter』の代替手段と思っていませんか? そもそも何故“ブーム”にしたがるの?

『Twitter』ブームの次は『Facebook』ブーム? 『Facebook』を単なる『Twitter』の代替手段と思っていませんか? そもそも何故“ブーム”にしたがるの?

今回は大元隆志さんのブログ『ASSIOMA』からご寄稿いただきました。

『Twitter』ブームの次は『Facebook』ブーム? 『Facebook』を単なる『Twitter』の代替手段と思っていませんか? そもそも何故“ブーム”にしたがるの?
10月12日は、どうやら『Facebook』ブームだったようですね。今までも何度かあったように思いますが、10月12日は何名かのアルファブロガーの方が『Facebook』を褒めたこともあって、ここ最近の中では大きな波だったんではないでしょうか。来年1月に映画が公開されることもあり、そこでメディアの注目を集めることを予想した人たちが、急きょ『Facebook』に参戦という思惑もあるのかもしれませんね。

実は、私も初めての試みとして来年1月を目処(めど)に『Facebook』、『Twitter』、ブログ等、ソーシャルメディア全般を扱った『ソーシャルメディア時代のパーソナブランディング』という電子書籍を個人で出したいと考えています。章単位を一章300円で販売する等、新しい試みをしたくて自分で挑戦してみようと思いました。

すみません、話がそれてしまいましたので本題に戻ります。

・『Facebook』を単なる集客媒体やポータルサイトの代替案と考えれば成果は薄くなる
ネット上の声を見ていると「『Twitter』は終わった」「次は『Faceboook』」「企業の広告は『Twitter』でもHPでもなく、これからは『FB(Facebook)』のファンページ」という声をよく目にするようになりました。

しかし、これらの声の大半は、『Facebook』を単なる告知媒体と考えている人の意見ではないでしょうか? 恐らく、そういった方々にとっては、『Twitter』も単なる告知手段でしかなく、トレンドが移れば未練はないということなのかもしれません。しかし、本当に単なる告知媒体と考えているならば、『Facebook』に場所を変えても、今まで以上の大きな成果は望めないのではないかと思います。

なぜなら、単なる告知媒体であれば、オンライン広告市場の小さなシェアを『Twitter』、『Facebook』、ネット広告で取り合っているにすぎません。トレンドの変化だけの違いであって、全体のパイは広がらないからです。

では、『Facebook』を『Twitter』以上に成功させるためには、どうすれば良いか? 私はこう考えます。『Facebook』を単なる告知媒体ではなく、違った視点で考えることができる企業が大きく成功を収めるでしょう。

・『Facebook』はコミュニケーションプラットフォーム
私がだれかに「『Facebook』って何?」と聞かれたら「SNS」とは答えません。コミュニケーションプラットフォームだと答えます。『Facebook』にはありとあらゆるコミュニケーションが提供されています。簡単に思いつくだけでも、これだけあります。
 ・メール(メッセージ)
 ・掲示板
 ・音楽、写真、動画といったマルチメディアコンテンツの登録/共有
 ・1対1チャット、複数人チャット
 ・イベント作成機能
 ・コンテンツシェア機能
 ・ゲーム

実現されていないのは、音声によるコミュニケーションくらいではないでしょうか(恐らくこれは、時間の問題で解決します)。ゲームも立派なコミュニケーションです。

こういったコミュニケーションツールを内輪だけに使ったり、『Facebook』外の人にも公開することも可能です(一部できないものもありますが)。SNSという言葉が喚起させる閉鎖的なものとは、どことなく違うものを感じるので、私はコミュニケーションプラットフォームという言葉がしっくりくると感じています。

このような多様なコミュニケーションの方法がある中で、『Facebook』のファンページを、つまらない企業サイトの“コピー”にする意味がどこにあるのでしょうか?

・“ファン”同士が交流する場を提供し、その“場”を成長させることができる企業が成功する
『Facebook』のファンページは、単なる商品の宣伝をすることももちろん可能です。しかし、それ以上にファンとの“関係”を強化することに努めるべきでしょう。

ファンとの関係を強化することは、もちろん『Twitter』でも可能です。ユーザが困っている時に「何かお困りですか?」と声をかけるだけで、きっと、ユーザは喜んでくれるでしょう。しかし、『Twitter』でのこういったファンとの交流は“1ファンと1企業”の関係にしか成り得えません。ないよりあったほうがもちろん良いですが、こういった“弱い絆(きずな)”はもろく、維持するのが難しい。ちょっとしたことでつながりが切れてしまいかねません。このつながりを持続しようとすれば、ファンの数が多くなるにつれて、それにかかるサポートコストがどんどん大きくなっていくでしょう。ファンの数に比例してサポートコストが増加するという事態に発展するでしょう。

しかし、『Facebook』なら、この“1ファンと1企業”の関係を“ファンとファン”の交流を広げることで、企業の介在がなくても、「ファンでいたい」という気持ちを維持することが可能になるでしょう。“1ファンと1企業”から“ファンとファンがその企業を盛り上げる“場”を提供し、その“場”を維持することで、ファンを維持する労力が大幅に圧縮することが可能になるでしょう。

・『Twitter』、『Facebook』はお互いを補完する関係
私自身、『Twitter』と『Facebook』のファンページ両方を利用していますが、そこで感じることは、どちらが良い、悪いではなく、お互いが補完しあう関係であり、相互作用させることによって、より効果的に機能するということです。

『Twitter』には膨大な人に伝播(でんぱ)する力があり、これは『Facebook』の比ではありません。トラフィックを呼び込むには最適なメディアでしょう。しかし、その反面、緩いつながりは築くことができても、『Twitter』のつぶやきだけを見ていても、心酔するというような状況になることはなかなかないのではないでしょうか。

緩いつながりを“ファン”に変えるためには、“コンテンツ”が必要です。そのコンテンツはブログかもしれないし、商品かもしれない。そういったコンテンツを知ってもらう場が『Facebook』のファンページや、ウェブサイトです。さらに『Facebook』はこの“ファン”と“ファン”を交流する仕組みが長けています。

このように、『Twitter』で呼び込んで、『Facebook』でファンをしっかりつなぎ止める。こういった相互補完を考えることがこれからのソーシャルメディア時代において大切な考えではないかと私は考えます。

・なぜ、“ブーム”にしたがるんだろう?
正直なところ、私自身今日のエントリーがうまく書けているか? そもそも、何を書きたかったんだろうと少し困惑してたりもします。そんな状態でも「何かを言いたい」と感じたのは、「『Twitter』は終わった」「次は『Facebook』」という論調を見ていて、「なんでみんな単なるブームで終わらせようとするんだろう」という悲しい気持ちになったからです。

私は、ソーシャルメディアの可能性に期待しています。それは、ソーシャルメディアを利用して大金持ちになりたいということではありません。名もない一般人でも、大企業や、著名人と同じ土俵で、自分の伝えたい何かを発言することができる。そして、その大勢の小さな“声”がつながって、時に数万人に届く力になる。その力に未来を感じるからです。

私が今年の四月に「奇妙な国日本で、これから社会人になる人達へ」* というエントリーを書いた時、本当にたくさんの人達が、このエントリーをつぶやいてくれました。三日間位でしょうか? 私に対する「感動しました」というメンションは止まることがありませんでした。名もない人間の書いたエントリーが人づてに数万人に届く。本当に奇跡だと感じたし、多くの人が共感してくれたことが本当にうれしかった。

*:「奇妙な国日本で、これから社会人になる人達へ」2010/04/18『ASSIOMA』
http://blogs.itmedia.co.jp/assioma/2010/04/post-4968.html

あの感動はソーシャルメディアの力がなかったら実現しなかったと信じています。だれが好き好んで、『google』に「奇妙な国日本で、これから社会人になる人達へ」なんていう単語を検索しようと思うでしょう? 検索エンジンしかない時代なら、おそらくあのエントリーは数人程度にしか読まれなかったでしょう。

「無名の人間の“声”を数万人に届けることができる。そのチャンスは平等に与えられている」。世の中には普通にサラリーマンをしていても、才能豊かな人はたくさん存在します。私は、そんな人が会社で働きながらも、“ファン”を作れるような環境を作りたいと思い描いています。だれでも一度はバンドで成功したいとか、小説家になりたい、映画監督になりたいといった“夢”を見たことがあるでしょう。

しかし、大人になるにつれ、“夢”は“夢”だとあきらめて“大人”になる道を選びます。その“夢”をあきらめた理由の中の一つに「おれみたいな、名もない人間の作品なんてだれも見てくれない」という想いがあった人は多いのではないでしょうか?

ソーシャルメディアがなかった時代には、サラリーマンを続けながらそんな“夢”を見続けることは「ばかだ」と言われたかもしれません。ましてや、ファンを作るなんていうことは、本当に夢でしかなかったでしょう。しかし、人と人とがつながれる時代になった“今”なら、あなたの素晴らしさを“万人に届ける”ことは夢ではなくなったんです。昼はコツコツとサラリーマンを続けつつ、夜や週末にコツコツと作品を作り、それを世に発表する。その作品がすばらしければ、だれにでも平等に「万人に知ってもらえるチャンスが与えられる」。

会社員でありながら、夢をあきらめずに“ファン”と成長していくようなことができたなら、どれだけ充実した生活が送れるでしょう。

そんな、大きな可能性を秘めたソーシャルメディアをなぜ“ブーム”で片付けようとするのでしょう? 次から次へと新サービスを渡り歩いて、次に流行りそうなものが見つかると、古いサービスを「あれにはもう用済みだ」という一言で片付ける。私には、その光景が「食料を探し回って、通り過ぎた後には草一本残らないイナゴの大群」のように見えます。

ソーシャルメディアをマーケティングに使う、出会い系に使う、単なる連絡手段に使う、何でも良いと思います。ただ、“ブーム”で終わらせるのだけはあまりにも悲しいことだと思います。どうか、ブームではなく、日常的に浸透するように“育てて”ほしいと心から思います。

執筆: この記事は大元隆志さんのブログ『ASSIOMA』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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