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狙い目は意匠権切れ「ジェネリック家具」安さの秘密

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狙い目は意匠権切れ「ジェネリック家具」安さの秘密

意匠権の存続期間が満了した「ジェネリック家具」が人気

最近、「ジェネリック家具」が人気です。ジェネリック家具とは、意匠権の存続期間が満了した家具を、本来のメーカー以外の企業が製造した製品です。

これは「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」を家具になぞらえた表現です。医薬品の場合、新しく開発された製品には通常、特許権があるため、他のメーカーは製造できません。しかし、特許権が切れた後に、他のメーカーが同じ有効成分、効き目、品質、安全性が同じであることを条件に、国から承認されて販売することがあります。これが「ジェネリック医薬品」です。

創作的な意匠は、日本では設定登録の日から最大20年間、保護されます。例えば、A社が、ある椅子のデザインを意匠権として登録した場合、意匠権が存続する限り、第三者はそれと同一または類似のデザインの椅子を製造したり販売することはできません。

正規品よりはるかに安く、10分の1以下の値段になることも

意匠権の存続期間中でも、勝手に正規品をコピーした製品が出回ることがありますが、これはもちろん違法です。これに対し、ジェネリック家具は意匠権の存続期間が満了した後なので、正規品と同じデザインながらも合法製品です。きちんとしたメーカーが合法的につくるので、製品の品質や保証などもしっかりとしている場合が多くあります。しかも、正規品よりはるかに安く、10分の1以下の値段になることさえあるようです。

この価格差には、さまざまな要因があります。まず、意匠権存続期間中、正規品は当該デザインを独占できるため競争がなく、あえて安くする必要がありません。存続期間満了後も、正規品はむしろ高い価格設定でブランドイメージを維持する場合が多いでしょう。これに対し、ジェネリック家具メーカーは、基本的に市場競争の原理に支配されます。

また、正規品はブランドイメージの維持やデザイナーの要求によって高級素材を使う必要があるのに対し、ジェネリック家具メーカーにはその種の配慮が不要で、安い素材も使用できます。さらに、正規メーカーがデザイナーなどに高額な研究開発費やデザイン料を払っている場合でも、ジェネリック家具メーカーにはそうしたコストがかかりません。

日本では家具に原則的に著作物性を認めていない

ここで「著作権はどうなっているんだ?」と思う人もいるかもしれません。著作権は著作者が著作物を創作した時点から著作者の死後50年間有効です。仮に意匠権が切れても著作権によって保護されるのではないでしょうか?

この点は議論のあるところですが、工業的に大量生産される物品、例えば、通信用ケーブルのような美術性の低いものはもちろん、応用美術といわれる家具でも、日本では原則的に著作物性を認めていません。このため、そのデザインを保護するのは基本的に意匠権だけなのです。

なお、ヨーロッパなどでは応用美術にも著作権による保護を及ぼす国があり、その場合、ジェネリック家具はその国では著作権法違反になり得ます。当該国内での製造はもちろん、その国内での販売も違法です。この点で、例えば、日本のジェネリック家具メーカーがウェブサイトなどでジェネリック家具を販売する場合、「販売は日本国内に限る」と注記するなど、何かしらの配慮が必要です。その他、不正競争防止法もありますので、購入はともかく、販売については十分な法的検討が欠かせません。

(小澤 信彦/弁理士)

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