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ザ・スクリプト アイルランドの国民的なバンドが6年ぶりの来日公演で見せたサービス精神と魂

ザ・スクリプト アイルランドの国民的なバンドが6年ぶりの来日公演で見せたサービス精神と魂

 アイルランドの国民的なバンド、ザ・スクリプトが6年ぶりの来日公演を1月16日(金)に東京・赤坂ブリッツで行った。

 2008年のデビュー以来、これまでリリースしたアルバム4枚がすべてアイルランド・チャートの1位。UKチャートでも4枚中3枚が1位を獲得している。本国アイルランドで6月開催予定のスタジアム公演(8万人収容!)をわずか数時間で完売する超人気バンドだ。

 本国ではスタジアム・クラスのそんなバンドが、ライブハウスのステージで観れるとあって、この日赤坂ブリッツに集まった観客はやや外国人率が高め。もちろん、バンドの6年ぶりの来日を首を長くして待っていた日本のファンも集まって開演を待ちわびていた。

 客電が落ちSEが流れ、青いバックライトが点灯する未来的な雰囲気の中メンバーが登場する。ザ・スクリプトは、メイン・ヴォーカルでキーボードやギターも演奏するダニエル・オドナヒュー、ギターとサブ・ヴォーカルを担当するマーク・シーハン、ドラムとバック・コーラス担当のグレン・パワーというスリーピース・バンドだが、この日はベーシストとキーボーディストのサポート・メンバー2名も加わり、計5名のバンド編成となった。

 <僕たちがスクリプトです!>というダニエルの日本語のMCに続いて演奏がスタート。一曲目は「Paint The Town Green」。去年リリースした最新アルバム『No Sound Without Silence』からの一曲だ。バグパイプを彷彿するギター・リフとドラムの力強いリズム、イントロや間奏の<ヘイ!>という掛け声も印象的な曲で、観客もいきなりのシンガロング状態。曲中ダニエルがいきなりステージからフロアに降りて、客席を囲む柵に沿って走り回る。とにかく最初から“観客とコミュニケートするんだ!盛り上げるんだ!”という強い気概が伝わってくる。

 <ずっとここに来たかったんだ。ここに来れて本当に嬉しい>と喜びを伝えるダニエルのMCに続いて演奏された2曲目は大ヒット・シングル「Superheroes」。客席からも大歓声が上がる。その独特の甘い声で歌う間も、ダニエルはその体を一杯に使って開放感のある曲をさらに盛り上げる。ギターのマークはダニエルとマイクを分け合いメロディを歌い繋ぐ。グレンのドラム、とりわけキック・ドラムは尋常でないほど力強く、メロディだけ見れば甘いバラードになってもいい曲を、どこまでもパワフルなロック・アンセムへと仕立てている。もちろん、そうしたバンドの熱演に、観客も大合唱で応える。

 それまでハンド・マイクで歌っていたダニエルがアコースティック・ギターを持ち演奏された「Energy Never Dies」では、<僕たちが先に歌ってみるから、みんなも一緒に歌ってくれ>というダニエルのMCに続いて、ダニエルが弾き語りで観客とコーラスのメロディを確認するように歌いはじめる。客席も手拍子と合唱でそれに応え、1コーラスを歌い切ったところで他のメンバーも演奏に入る構成で曲をもり立てる。

 「Energy ~」の後、ダニエルの前にキーボードが用意されると、彼らの1stアルバム『The Script』からの曲が続けて演奏された。まずは、ファンキーなドラムのリズムに、音数の少ないギター・リフと爽やかなキーボード、そしてラップ調の歌が絡む「Breakeven」。続いて、メランコリックなメロディを基本としながら、やはりファンキーなドラムとラップが曲の鍵となる「Before The Worst」。ジャスティン・ティンバーレイクの「Cry Me River」を下敷きにしたような哀愁ただよう「We Cry」では、ダニエルの提案で観客がフロアの真ん中から2つのチームに分けられ、交互にコーラスを呼び掛け合う演出で一体感を高める。この“呼びかけ合い”という演出も含めて、ダニエルの歌やザ・スクリプトの楽曲からはソウル・ミュージックやゴスペルからの影響を強く感じる。

 ダニエルのキーボードが外され、続いて演奏された3rdアルバム『#3』からの「Good Ol’ Days」は一転、明るい曲調で畳み掛けるようなラップがどことなくイギリスらしい。最新作のオープニングでもあった「No Good in Goodbye」は、バックライトだけを使ったライティングがパフォーマンス全体をクールに演出。同じメロディの繰り返しによって力強さを生み出す演奏は、シンプルながらとてもドラマチックで、深くエコーのかかった鍵盤だけを伴奏に、ダニエルが切々と歌い上げるブレイクから、分厚い合奏へという展開も非常にエモーショナルだった。時に過剰とも思えるほどの愛嬌とサービス精神たっぷりのポップ・バンドとしてのザ・スクリプトから一転、シリアスなロック・バンドとしてのザ・スクリプトの魅力が溢れる一曲だ。

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