信玄餅のきな粉をこぼさず食べよう
おみやげで時々いただきますが、必ずきな粉がパフッとこぼれてしまうんですよね。今回はそんな信玄餅のきな粉をこぼさず食べる方法について、イガラシイッセイさんのブログ『CHOP-ME-NOT DIARY』からご寄稿いただきました。
信玄餅のきな粉をこぼさず食べよう
山梨のお土産といえば『桔梗信玄餅』 *1 ですよね。僕は山梨とは何の縁もありませんが、それでも年に一回以上はだれかからもらって食べています。おいしいのはもちろん、袋やビニールの風呂敷(ふろしき)といったパッケージもなんか味わいがあっていいです。
で、そんな信玄餅ですが、食べる時にきな粉がこぼれてしまって困るという方がいらっしゃるかと思われます。信玄餅はきな粉をこぼしてなんぼ、と言われるかもしれませんが、今日はあえてわざわざ写真入できな粉をこぼさずに食べるさまを見ていただきたいと思います。参考にしてください。
まず中敷を外した初期状態です。中敷とは透明のフタのことです。きな粉の中央が凹んでいるので、ついここに黒みつを流し込みたくなりますが、そこは巧妙に張り巡らされたワナです。信玄公に謀(はか)られてはいけません。とりあえず外壁を切り崩すところから始めましょうか。
楊枝(ようじ)で固まったきな粉を細かく粉砕します。乱暴にやると飛び散りますので、花を愛でるようなやさしい楊枝(ようじ)さばきで、かつ容赦なく粉砕してください。本気で怒っている時ほど口調が丁寧になる、あの感じです。集中力を切らさないように。
粉砕にはキリがありませんので、適当なところで次の工程に移ります。次は楊枝(ようじ)で餅と器の間にすき間を作り、そこにきな粉を落とし込む作業です。ちょい、と餅を動かすと、きな粉が空いたスペースに勝手に飲み込まれていくと思います。これを全方位余すことなく行い、餅の上からきな粉を排除し、風通しのよいフラットな環境を作り上げるのです。
表面からきな粉を排除するとこうなります。3切れの餅が丸裸にされました。ここでやっと黒みつの出番です。どろっとした黒みつを、やわらかな餅の上にゆっくりと垂れ流しましょう。
黒みつは餅の表面、餅と餅の密着部分を伝いながら、徐々に器に満ちていきます。ここで一番注意しなくてはならない点は、残り少なくなった黒みつの容器を強く押さないことです。全ての黒みつを出し切ろうと容器を握りつぶしたりすると、ぼふっ、と容器の中の空気が押し出されて、餅の表面にかすかに残ったきな粉を吹き飛ばす恐れがあります。これを「黒みつの吐息」と呼び、地元山梨の熟練信玄餅イーターの間では最も恥ずべき行為として忌避(きひ)されています(さすがにウソです)。
黒みつを出し終えたらあとは混ぜるだけです。底にたまったきな粉と黒みつを混ぜ合わせながら、楊枝(ようじ)を上手く使って餅に絡ませていきます。3切れの餅はバラバラのように見えて、実は底のほうでこっそりつながっていたりしますので、ついでにここでその悪しき呪縛(じゅばく)を断ち切ってやりましょう。その方が奴らのためであり、無論あなたのためでもあります。
いい感じにまぶさったらようやく賞味の時間です。ご苦労様でした。しかし最後まで気を抜いてはいけません。黒みつに蹂躙(じゅうりん)されきらなかったきな粉が最後の抵抗に出て、餅を持ち上げた際に一緒に飛び出してくる恐れがあるのです。餅の下側は見えませんので注意にも限界がありますが、リスクを最少に抑えるには、きな粉が飛んでも器の外に散りにくい真ん中の餅を最初に食べることです。これであなたは美味い餅と栄光を同時にかみ締めることができることでしょう。よかったですね。
*1:『桔梗信玄餅.com』参照
http://www.kikyoushingenmochi.com/
執筆: この記事はイガラシイッセイさんのブログ『CHOP-ME-NOT DIARY』からご寄稿いただきました。
文責: ガジェット通信
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