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「技術力と予算がムダにかかっている!」とウワサの『無音トイレットペーパーホルダー』について聞いてみた

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ネットで局所的に有名になっていた『無音トイレットペーパーホルダー』をご存じだろうか?この『無音トイレットペーパーホルダー』、技術系の情報サイトと技術系の漫画家によって共同開発されたというものなのだが「いろんな意味でムダで素晴らしい」と絶賛されていた。

今回、その実物を前にお話を伺わせていただけることになった。取材協力に応じていただいたのは、『fabcross』編集部。fabcrossは「個人のものづくり特化型の情報サイト」ということで、エンジニア向けの情報をメインに構成されている。
内容はマニアックながらも、読み物のとしてなかなか興味深い記事・企画が用意されている。

今回の「無音トイレットペーパーホルダー」もそんな企画のひとつだ。

マンガ『シブすぎ技術に男泣き』の作者が発案した「ムダ過ぎる」企画

まずは実物を見せてもらうことに。運ばれてきた展示用ボードには、比較用の汎用型トイレットペーパーホルダーと並ぶ形で「無音トイレットペーパーホルダー」が設置されていた。
また、ボードには発案者である漫画家・見ル野栄司氏のイラストやメモが描かれていた。

見ル野氏の“描き込み”を割り引いても「無音ホルダー」の方は、明らかに異質なオーラを放っている。一言で言うなれば「ガチ」なのだ。日用品なのに、そこから伝わってくる空気は製造業・工業製品特有の堅牢さが漂っている。

そもそもは「トイレットペーパーのカラカラいう音をさせないようにしたい」という動機からこの企画はスタートした。

企画進行にあたり、fabcrossと近しいメイテックというエンジニア会社の協力を得たという。
メイテックの抱える7000人のエンジニアの中から今回の企画に合致しそうな方に設計を依頼し、大田区の工場の協力を得て完成に至った。
7月ごろに企画開始し、実際の制作は1か月強ほどかかったという。

「あいつ、本当に作りやがった」

アイデア、工程など、実際にどんな様子で作られたのかはfabcrossに掲載された見ル野氏のマンガに詳しい(リンクは後述)。
「今だから言えるんですが」と前置きした見ル野氏は、こう語った。

「当初、企画を聞いた上層部の人たちはキョトンとしていたんです。何を言っているのかわからない、という感じで(笑)。 しかし、実際に作り終えたら『あいつ、本当に作りやがった』とみんなビックリしていました……。」

そんな“作りやがった”発案者の見ル野氏は今回のトイレットペーパーホルダーのテーマについてこう述べた。
「今回の目的はとにかく“無音であること”です。この目的に際して糸目はつけなかったという感じですね。あとは、“メカニカルなこと”“高級感がある”というこだわりも盛り込みました」。

住宅関係の方からは「これ売れますよ」とお墨付きもいただいたそうなのですが、「実用化のためには、コストも考慮しないといけないので、(実現化を考えるのであれば)改良が必要です」とも付け加えた。

技術者ほどニヤける“こだわり”

いくつかのポイント、こだわりについて見ル野氏に聞いてみた。

「まずはアルミの削りだしの軸ですね。中が空洞になっていて、その中にさらに軸があるんですがその軸の両方を二つのベアリングで支えてます。」「あと、支えの部分に『LMガイド』って部品を使ってます。これ、普通、日用品には使わないですね」

――何に使うんですか?

「産業用の機械に使われる部品です。高精度、高耐久度が特徴なんですが軸に対して回転角が無いというか。つまりは移動に際して遊びが無いんですね。あと移動の抵抗値がゼロに近いんですよ。」

この『LMガイド』の部分を触ってみると確かに遊びが無い。見た目の無骨さはともかく、非常に滑らかに動いたのも印象的だ。また「ホルダー部分に手をかけて体重をかけても問題が無い」位の耐久性も持ち合わせているという。

「実用化するとしたら(コスト的に難しいので)LMガイドではなく『Cチャンネル』ですね(断面がCの字になる形鋼)。カーテンレールのイメージが近いです。そこにテフロンなどの樹脂をかませれば安くて似た効果は出ますね。もしくは『スライドパック』という引き出しに使われる(レール状の)部品とかにします。」

10年工場勤務していた、という漫画家としては異例のキャリアを持つ見ル野氏。普通の会話の中にも、メカニカル系の専門用語が、あっという間にちりばめられていく。

「このホルダー、プロであるほど笑ってしまうんですよ。ふざけるな、と(笑)。技術者の人ほどウケがいいんです。」と『Maker Faire Tokyo 2013』出展時の様子を語ってくださったのは、マンガにも登場する編集者のオッチー氏。“知ってる人”ほど笑ってしまう技術のムダ遣いがなされているというわけだ。

試しにアルミ軸を回させてもらうと、……本当に無音だった。手で止めなければ永久に回転し続けそうな静寂と勢いがあった。

大幅な予算オーバー

ちなみに幾らかかったのか聞いてみたところ、「実費でだいたい9万円くらい」という答えが返ってきた。一般的なトイレットペーパーホルダーの価格ではないだろう。もちろん実用化には難しいコストだ。担当氏の視線が心なしか厳しい。

次回もこうした「ものづくり」企画を続けていくそうだが「次は安く上げたい」と見ル野氏は語った。さらに続けて「それでも、エンジニア力を積極的にムダ遣いしていきたいですけどね」「あくまで“アートではなく役に立つもの”を作っていきたいです」とも。

下記のリンク先では、開発の様子が見ル野氏によるマンガとして掲載されている。笑ってしまうほどの「技術力の無駄遣い」が垣間見えるだろう。
また、騒音計で計測した「無音トイレットペーパーホルダー」の比較動画もおススメだ。

fabcross
絶対に音が鳴らないトイレットペーパーホルダーを作ってみた

https://fabcross.jp/category/make/131111_mirunolab_01_01.html

【動画】絶対に音が鳴らないトイレットペーパーホルダーを作ってみた
http://youtu.be/OzuA9iKfEYk [リンク]


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記者:

「予備校生のような出で立ち」で写真撮影、被写体(スチル・動画)、記者などできる限りなんでも、体張る系。 「防水グッズを持って水をかけられるのが好き」などの特殊な性質がある。 好きなもの: 食べ物の写真、昔ゲーム(の音)、手作りアニメ、昭和、穀物

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