これから迎える辛い花粉の季節に朗報! バナナが若い男性のスギ花粉症を軽減すると筑波大学の研究グループが発表
春は花粉の季節。日本気象協会(JWA)によると、ことしの猛暑の影響で来年は九州から東海地方、北海道で例年並みかやや多く花粉が飛散し、東京でも気温が高い日が続くと短期に集中して飛散する恐れがあるそうで、花粉症の皆さんは今から憂鬱なのでは。でも安心してください、特に若い男性! 「バナナを食べるとスギ花粉症に効果アリ」という気になる研究結果を国立筑波大学のグループが発表しました。2012年12月から2013年3月にかけて茨城県内で被験者を集めて実施された臨床試験では、特に35歳以下の若い男性にはバナナを食べることによりくしゃみの回数が減るなどの効果が認められた、としています。
2013年11月29日のメディア向け研究成果発表会には、筑波大学医学医療系の谷中昭典教授が登壇。今回、日本バナナ輸入組合の受託研究として実施し、2013年12月7日・8日の第11回日本機能性食品医用学会総会で発表されるとのこと。
谷中教授が2010年に行ったマウスを使った実験では、バナナを投与することでスギ花粉のアレルギー反応が顕著に抑えられたという結果となっていますが、ヒトに対する効果を検討した例はこれまでになかったといいます。
スギ花粉アレルギー患者が、バナナの定期的な摂食によって自覚症状が軽減され、QOL(生活の質)の総括評価スコアが改善されるかどうかを調査したこの研究。茨城県内3か所の医療機関で勤務している職員の中から、20歳以上で比較的自覚症状の軽いスギ花粉症患者を募集。バナナにアレルギーがなく、過去にステロイド薬を服用している人を除外し、最終的に52名が被験者に選ばれました。
臨床介入試験では、半数の26名がフィリピン産のキャベンディッシュを1回100g、1日2本を8週間に渡って摂食。ちゃんと食べたのかどうか、日誌に記録してもらったのこと。一方、残りの26名はバナナを食べず、ヨーグルトなどバナナを含む一切の食品の摂取も禁止。どちらにしても被験者にとってキビしい試験だったのではないでしょうか。
期間中に被験者は3回採血を実施したほか、鼻アレルギーガイドラインの重症度分類の問診票とQOL調査票を記入。個々の自覚症状の変化を調査しました。気になる全体解析の結果は…。
第3回目、つまり3月に行ったQOL問診票では、くしゃみがバナナを食べた群の方が、食べてない群と比較して明らかに回数が抑えられているということに。しかし、「血液検査や自覚症状スコア、QOLスコアのその他の項目については、残念ながら臨床的意義のある有意差は観察されなかった」(谷中教授)といいます。そ、そんなバナ(略
とはいえ、年齢や性別、アレジオン服用の有無など、細かい層別で分析すると、35歳以下の被験者群は36歳以上に対して重症度・くしゃみ・目のかゆみ・睡眠の障害などが明らかに症状が改善されていました。一方、36歳以上ではいずれの項目もバナナを食べる・食べないでの目立った差が見られなかったとして、若い人ならばバナナがスギ花粉に効く可能性が示されました。
また、男性と女性の比較では、QOLスコアでくしゃみや精神生活の障害といった項目が男性でバナナを食べている人の方が明らかに改善しているという結果に。つまり、35歳以下の男性はバナナを食べるとスギ花粉に対して効果的であろう、ということになります。
谷中教授は「他の食品と比べてバナナにはビタミンB6が多く含まれている。ビタミンB6はセロトニンなのでの脳内の伝達物質の合成を促進して、抑うつ気分を軽減させ、自覚症状やQOLという面で効果があるのではないか」と話し、「若い男性は食生活のバランスが崩れがちなので、結合状態にあったビタミンB6が充分量供給させたのでは」と見解を述べました。
「被験者個人の思い込みがデータに反映しやすく、バナナをちゃんと食べたのかどうか客観的に評価できない。花粉の飛散は天候に左右されるので、問診や採血の時期が最適でなかった可能性がある」と課題も多いと述べる谷中教授は、「ビタミンB6を直接摂取する研究はおそらくない。ビタミンB6の錠剤の臨床試験をやる価値はあるかもしれない」といい、客観的データの収集などさらなる研究を進める余地があることを示唆しました。
もともと食物繊維やフラクトオリゴ糖、ビタミンB群など栄養豊富で、免疫力向上に効果があるといわれているバナナですが、今回の調査では35歳以下の若い男性ならばスギ花粉に効果的、ということが示されました。個人差があるので誰にでも効くというわけではなさそうですが、毎年花粉が飛ぶ時期はマスクや目薬が欠かせない、という人は試してみる価値があるかもしれません。
バナナ大学 – バナナの情報総合サイト –
http://www.banana.co.jp/
乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。
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