自動販売機をARで拡張! iPhone/Androidアプリ『自販機AR』をかざすとコンテンツが楽しめる自動販売機がお披露目

自販機をARで拡張! iPhone/Androidアプリ『自販機AR』をかざすとコンテンツが楽しめる自販機がお披露目

ガジェット通信で2月に第1報をお届けした、日本コカ・コーラのスマートフォンアプリ『自販機AR』が、ついにお披露目されました。4月25日、同社はその『自販機AR』の発表会を開催。開発の背景説明やAR三兄弟によるデモが行われた発表会の模様をレポートします。

自動販売機を「在っても良い」「在って欲しい」存在にする

日本コカ・コーラの中里泰雄氏

発表会では日本コカ・コーラ ベンディング事業部 ベンディング機器ソリューションズの中里泰雄氏が登壇。開発の背景を説明しました。同社が国内で初めて自動販売機を設置したのは50年前。当時からずっと「いつでも、どこでも、誰にでも。 そこから、リフレッシュがはじまる。」をコンセプトにしているとのこと。

『ピークシフト自販機』を開発

ところが50年の間に社会や消費者からのニーズが変化し、自動販売機は2つの大きな課題に直面していると説明。ひとつは自動販売機が「在っても良い」存在になること。冷たい飲み物を提供するために冷却が必要な自動販売機は、東日本大震災以降の電力不足を背景に、日中の消費電力の削減が求められています。このニーズに対して同社は超省エネの『ピークシフト自販機』を開発。夏の日中に冷却用の電力を使わないため消費電力を95%削減、16時間にわたって冷却を停めても、冷たい製品を提供可能にしました。

AR導入の背景

もうひとつの課題は消費者から「在って欲しい」存在になること。自動販売機はお店で並ばずに買えるという利便性がある一方で、その購買体験は味気なく、物足りないものになっているのではと指摘します。ここで、自動販売機での買い物を楽しくするために導入するのがAR。音や動き、シズル感の演出、時間や天気などと連動する画一的でない表現、同時に複数のメッセージを発信する、導入に人手や時間がかからないなど、従来型の自動販売機にないコミュニケーションを実現できると、AR導入の背景を説明しました。

「自動販売機は拡張現実的なもの」

AR三兄弟が登壇

続いて、日本コカ・コーラと共同で『自販機AR』の開発したAR三兄弟が登壇。「今回は自動販売機の拡張に挑戦する」という彼らが、『自販機AR』のコンセプトを解説します。

自販機は拡張現実的なもの

AR三兄弟の定義では、ARには斬新さが必要。斬新さは省略がもたらすものだとして、自動販売機は利便性を追求するためにいろいろなものを省略してきたことから、「そもそも拡張現実的なもの」という見方を示します。

その視点から、自動販売機は「利便性を可触化したもの」と定義。ボタンを押して自分の欲しいものが手に入るという機能を拡張するために、自動販売機が省略してしまった「場所性・人間性・娯楽要素」を追加することに。

かざすだけで可視化されるシズル感 自販機を新しいメディアに

具体的には、「かざすだけで可視化されるシズル感」「自動販売機を新しいメディアに」というコンセプトで自動販売機を拡張したとのこと。ここで『自販機AR』の実演に入ります。

3種類のARコンテンツを提供

『ピークシフト自販機』と『自販機AR』で利用できるARコンテンツは全部で3種類。ひとつは側面の“ポーラーベア”をアプリで撮影するとスマートフォンの画面に表示される“ポーラーベア”と遊べるというもの。

ポーラーベアを触って遊べる

筆者も体験してみました。画面に表示された“ポーラーベア”は、足を触るとくすぐったがったり、頭をさわるとくしゃみします。意外とカワイイ……。“ポーラーベア”が持っている看板のメッセージも、自動販売機に書かれたものとは別のメッセージが出てきます。

時間帯と天気に連動したアニメーションを表示

正面にある“ポーラーベア”を撮影すると、朝・昼・夜・深夜の時間帯、そのときの天気と連動したアニメーションを表示。取材した日は昼間で晴れだったので、サングラスをかけて北極を思い出している“ポーラーベア”のアニメーションが表示されました。

北極のオーロラとも連動

全11パターンあるアニメーションには、超レアなものも。AR三兄弟によるデモではオーロラの夢を見て眠っている“ポーラーベア”が表示されましたが、こちらは実際に深夜、北極でオーロラが出たタイミングでしか表示されないものなのだとか。年に2~3回しかチャンスがない超レアなアニメーションです。

サンプルを映すとCMを再生 押すだけハイパーリンク

もう1種類のARコンテンツは、自動販売機にある『コカ・コーラ』か『コカ・コーラ ゼロ』のサンプルボトルを撮影すると、CM動画が目の前で再生されるというもの。これは未来っぽい。動画の再生後には『Facebook』ページへ誘導するバーチャルな看板が現れ、タップするとブラウザで『Facebook』ページを表示します。AR三兄弟が「押すだけハイパーリンク」と表現していたコンセプトです。

六本木から導入を開始

スマートフォンアプリ『自販機AR』は、4月25日から『AppStore』と『Google Playストア』から無料でダウンロード可能。六本木交差点などに設置されている『ピークシフト自販機』のすべてでARコンテンツが利用できます。現在全国に1万1000台ある『ピークシフト自販機』は、今年中に2万5000台まで設置台数を増やしていくそうです。近くでみかけたら“拡張された”自動販売機を試してみてください。

開発陣を直撃

開発陣を直撃

ガジェット通信はイベント終了後の中里氏とAR三兄弟の川田氏に取材させていただきました。

――『自販機AR』では今後どういうコンテンツが追加されていくのでしょうか。

中里:中華料理屋さんでサンプルがおいしそうに見えるように、自動販売機でも冷たい飲み物なら冷えたシズルや冷気があったり、温かいものだったら湯気が出たり、見て「おいしそうだ!」と思っていただくのがひとつの方向性だと思います。

“ポーラーベア”でいうと、鈴木奈々さんとイベントで共演した大きな“ポーラーベア”がいるのですが、あれに街角で本当に会えたら、すごく楽しいことだと思うんですよね。とか、いろいろAR三兄弟さんと話し合っているところです。

――日本の自動販売機はカラフルできれいなので、海外から来た人がファンになることが多いそうです。『自販機AR』も海外に展開したり、海外から来た人に使ってもらえると「日本スゲえ!」というアピールになると思うのですが。

川田:やりたいですね……寿司だとか。海外の人は寿司が回ったり走るだけで喜ぶじゃないですか。何か走らせたいですね。

――自動販売機のユーザーに体験を提供するという意味では、以前『Cmode』というものがありましたね。

中里:『コカ・コーラ』の自動販売機は50年前から、飲み物を飲んでリフレッシュするだけじゃなくて、心もリフレッシュする、ちょっとだけハッピーになるということをずっと追っていますので、『Cmode』と基本的に、同じ考え方なんですよね。ただ、時代時代でやり方が違っていると思います。

『Cmode』は自動販売機に画面をつけるというアイデアでしたが、今はいい画面をお客さんが持っている。自動販売機に入れたらしばらく動画を変えられないものではなく、時間や場所で常にコンテンツを変化できる。お客さんが雨の日だったらどういう気持ちになるのか。それに対して感じさせるハッピーはどういうものにしたらよいのか、そういうことまで追えるので、今回は新しいことができるんじゃないかと思っています。

――ありがとうございました。

自販機AR(日本コカ・コーラ)
http://www.cocacola.co.jp/vending/peak_shift/ar/index.html

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shnsk

宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

ウェブサイト: http://mogera.jp/

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