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東急渋谷駅の地下化は序章にすぎなかった! ~知っておきたい渋谷再開発計画~

東急渋谷駅の地下化は序章にすぎなかった! ~知っておきたい渋谷再開発計画~

●出典:「渋谷駅中心地区基盤整備方針」 渋谷の将来像。現時点での概略のイメージであり、今後、設計内容が詳細に検討されます。

渋谷という街が大きく変わりつつあります。2010年はHMVが閉店し、2012年にはヒカリエが登場。そして、2013年3月15日、東横線渋谷駅地上駅が惜しまれながらその歴史に幕を閉じ、地下へと移設されました。

実は、近頃の渋谷の変化の背景には官民一体となった再開発計画があります。ではでは、渋谷ではどのような改変が予定されているのでしょうか。都の再生本部、渋谷区、民間事業者が一体となった改変計画において、「まじで? そんな変わっちゃうの?」と着目すべき構想をピックアップしてみました。

 

渋谷@生存戦略

スカイウォーク

現在、渋谷駅中心地区では、四階層に及ぶスカイデッキ構想が練られています。渋谷の抱える課題のひとつとして、歩行者の混雑があるためです。

「渋谷駅中心地区まちづくりガイドライン2007」には渋谷の抱える課題が集約されています。

○国道246号線がまちを分断
○多数の鉄道が結節し、多くの集客数がある
○谷地形や坂道空間の存在
○ハチ公広場のような来街者が憩い、たまれる空間の圧倒的な不足

渋谷は名前の通り高低差のある地形です。そのため、駅中心地区の平面的立地は限られています。結果として、ターミナル拠点が狭まり混雑しやすいという現状があります。この混雑を解消し、バリアフリーな空間を創設する戦略が必要なのです。

ここで登場するのが「アーバンコア」。

上下横方向への導線を結節する敷地・建物空間のことです。

東急渋谷駅の地下化は序章にすぎなかった! ~知っておきたい渋谷再開発計画~

出典:「渋谷駅中心まちづくりガイドライン2007」

先だっての渋谷駅の地下化の理由のひとつに、アーバンコア空間の確保が含まれています。混雑を解消するための構想はアーバンコアだけではありません。自転車の導線確保やバスターミナルの拡充など、駅の再編事業も含め複数練られています。

けして「にぎわいをなくす」方向ではなく、地上部の坂道や路面店の「にぎわい」を促進し、混雑するたまり場を広げる方向に整備することが企図されています。その画期的な一方策として、鉄道横断デッキが計画がされているという次第です。

東急渋谷駅の地下化は序章にすぎなかった! ~知っておきたい渋谷再開発計画~

出典:「渋谷駅中心地区まちづくり指針2010」

上記の図のように、デッキ回廊により、駅と中心市街地が結ばれ、国道246号に分断される南北の行き来もスムーズになります。歩行者の新しい回遊空間が創出されようとしているのです。

 

駅の再編

多くの集客数を誇る多数の鉄道が、渋谷の駅中心地区に混雑を招いている原因でもあります。デッキ構想と併せて大きな計画であるのが、駅の再編事業。その一環が、先だっての東急渋谷駅の地下移動です。この移動、実は今後の渋谷駅地区再編成の序章であり、鉄道駅の再編工事は長期に渡り予定されています。下図のように、銀座線及び山手線ホームの島式化、乗り換えコンコースの規模拡充が予定されています。

東急渋谷駅の地下化は序章にすぎなかった! ~知っておきたい渋谷再開発計画~

出典:「渋谷駅中心地区まちづくり指針2010」

また、埼京線ホームを移設し、山手線ホームと並列化することも計画されています。

東急渋谷駅の地下化は序章にすぎなかった! ~知っておきたい渋谷再開発計画~

出典:「渋谷駅中心地区まちづくり指針2010」

これにより混雑解消を目指しますが、一方で規模拡充の影響で乗り換えの距離が長くなることも懸念されるようです。今回の東急渋谷駅の地下化でも、乗り換えの遠回り化が利用者に問題視されていますね。経路の単純化は、例えば海外や地方からの旅行者にとってはありがたいかもしれません。しかし、日々通勤や通学で乗降する肝心の利用者にとって乗換えが面倒、といったデメリットが感じられる可能性が生じます。この一長一短は避けがたいものでしょうか。今後の動向が気になるところです。

 

渋谷川周辺の拡充・谷を冷やす

広域的にみると、渋谷は、代々木公園・明治神宮をはじめとした豊かな緑に 囲まれています。一方、都市部におけるヒートアイランド問題は深刻化しています。

「渋谷駅中心地区まちづくりガイドライン2007」には

○谷に位置し、熱溜まりが起こりやすい
○緑や潤いに欠ける。その一方で、(周辺部には大規模な公園・緑地が存在)

と、あります。

そこで、

代々木公園ー宮下公園ー渋谷川流域と抜ける谷筋の、緑と水の軸を骨格 に、周辺の環境と連携・一体化したまちづくりを行う

ことが計画されています。

ここで登場するのが「クールスポット」。先述のスカイデッキ構想にもつながるものです。

東急渋谷駅の地下化は序章にすぎなかった! ~知っておきたい渋谷再開発計画~

出典:「渋谷駅中心まちづくりガイドライン2007」

人が集まる広場やデッキを中心として、高木の配置、舗装面や植栽への散水を行うことで、木陰と蒸散効果により冷気を生み出す。そうした「谷を冷やす」まちづくりです。

総じて、これらの方策は、渋谷の長所を残し、「素通り」を防ぎ、利便性を向上させるという画期的な生存戦略です。上方空間を利用した歩行者ネットワークの形成と併せて、谷地形の起こす熱溜まりの解消も期待されています。東京の敷地は狭く、新たな整備は上か下へ延びるしかないと言われています。威圧感のあるビル群の創出ではなく、デッキによるスカイウォークやクールスポットの創出が実現すれば、かつて未来都市として幻想されていた緑と水、近代的建物の調和が得られるのではないでしょうか。

 

渋谷@改変のねらい

先ほどからちょいちょい出て来る「渋谷駅中心まちづくりガイドライン2007」とは何でしょうか?
このガイドラインには、

渋谷駅周辺地域については、平成17年12月に都市再生緊急整備地域の指定を受け、公民のパートナーシップによる都市再生が進められようとしている。中でも、渋谷駅を中心とした地区は、先行的エリアとして、駅及び鉄道改良と一体となった都市基盤整備と様々な開発計画が集中している。基盤整備と連鎖した駅中心地区のまちづくりの方向性は重要であり、渋谷の新しい顔をつくり、渋谷駅周辺地域のまちづくりをリードするものとなる。

とあります。

さてはて。「都市再生緊急整備地域」とは何でしょうか。ざっくりと調べていきますと、ある法令に基づき指定されている地域のことを示します。その法令とは都市再生特別措置法(平成十四年四月五日法律第二十二号)。第一章 総則(目的)第一条 によりますと、

近年における急速な情報化、国際化、少子高齢化等の社会経済情勢の変化に我が国の都市が十分対応できたものとなっていないことに鑑み(後略)

策定された法令であるとのこと。細かい話は略しますが、若者風に軽くまとめてみますと、こういうことである模様。

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