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批判と弾圧

批判と弾圧

今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

批判と弾圧

どうも批判することと弾圧することの区別がついていない人が多いように思う。弾圧というとなにやら物々しく、平和な日本には無縁と思う人もいるだろう。しかしそういう人が実は弾圧をしているのだ。

ゲームの批判と弾圧の違い。このゲームは○○が面白くない、というのは批判だ。製作者はその批判を受け入れることもできるし、無視することもできる。つまらないと思う人は好みが合わないのだから、遊ばなくて結構という話。

しかし批判に社会正義が絡むとそうも言ってられない。暴力や性描写シーンがけしからんとか、他の作品のパクリだとか。社会に存在すべきではないという主張なのだから、製作者側に無視する自由はない。これが弾圧。

パクリでも批判の方向によって変わる。パクリだからつまらないというなら、それは単なる批判(批評)だ。パクリはすべきではないというのが弾圧なのだ。

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ネット時代になって個人が気軽に意見を言えるようになった。素晴らしいことだと思う。俺は批判も自由に行われるべきだと思う。批判されれば不愉快だろうけれどそれぐらいは我慢すべきだ。

ゲームの例でいえば、精魂込めて作った作品が「クソゲーだ」と批判されれば、腹が立つかもしれないが、それはしかたのないこと。

しかしこういうゲームは社会正義的に見て作るべきではないという批判は、気軽にすべきではない。それは製作者の自由を縛るものだ。他人の自由を制限するような行為は、相当慎重であらねばならない。素人が気軽に口にしていいものではないと思う。

過去さまざまな形で述べているけれど、自由は尊重されるべき。そのためには他人の自由を制限する自由だけは制限されるべき。

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もう一つ例を上げれば池田信夫と上杉隆のバトル。双方が相手の主張は間違いだと批判し合ってる間はそれでいい。好きなだけ互いに批判すればいい。しかし一方が他方の発言の場を奪うために、周囲に働きかけるような段階になれば、これはもはや弾圧だろう。雑誌の連載をやめさせたり、テレビ局に彼を出さないように圧力をかけたり。された方は拒否権がないのだから。

同じようにTwitterで馬鹿を晒している人間を「こいつはアホだ」と言ってる段階はいいと思う。でもその人間の学校や職場などを特定して、「こんなヤツは首にしろ・退学にしろ」と言い始めたらそれは弾圧だろう。された方は拒否できないのだから、降参するしかない。こういうのはもはや言論活動ではない。

こうしたことはもはや実力行使の社会運動であり、それをやるのは否定しないが、単なる言論活動とは比べ物にならない慎重さと責任が伴うはず。

ブログのコメント欄に殺到するいわゆるネットイナゴについてはどうか。一人ひとりが自主的に意見を述べるのは言論活動だろう。結果的に多数が殺到したとしても。これは電話による抗議も同じ。むろん殺到された側は無限に時間を割くことはできないから、自衛手段としてコメントの禁止やブロック、電話なら電話対応の打ち切りなどをする権利がある。

しかし意見を述べることが目的ではなく、数を頼みにして相手に主張を認めさせる圧力をかけることが目的なら、それはもはや実力行使であろう。そうした扇動をするのも、相当な覚悟と責任と慎重な判断の上で行われるべき。思い付きや安易な判断で気楽にやっていいものではない。

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なのにどうも「自由」に慣れない人は過ちを犯しやすい。自分の主張に可能な限り正当性を持たせたいという願望を持つようだ。たとえば「自分は○○が嫌いだ」と思ったとする。それはあくあまでその人個人の価値観だ。しかしどうもそれだと物足りなく感じるらしい。

多くの人は主張とは一般的・客観的にでなければならないという強迫観念にとらわれている。個人の感情や価値観には意味がないと考えているようだ。

そのため本来自分の感情や個人の価値観に過ぎないものを、なんとか一般化・客観化するような理屈を考えだす。「(私は)○○は嫌いだ」から「(社会的に)○○は禁止されるべき」という主張にすり替えてしまう。

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社会正義を名乗るような主張は、相当に慎重でなければならない。なのにその重みを自覚することなしに、単に自分の個人の感情を正当化したい(カッコつけたい、なんか立派なことを言ってるつもりになりたい)という理由だけで、安易に選択してしまう。

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