恋愛カウンセラーが激白 “成功哲学”も“恋愛指南”も同じくらい胡散臭い?
巷に溢れる成功哲学やスキルアップの本。しかし、多くの人はそうした本を読んでも、なかなか「成功」を実感できないのではないでしょうか。
では、「成功哲学」はウソだったのか? 恋愛カウンセラーとして活躍するぐっどうぃる博士は「スタンダードとなっている成功哲学は古くて不完全である」と言い切ります。
実はぐっどうぃる博士は、恋愛と同じくらい成功哲学を重要なテーマと位置づけているそうで、『夢を叶えるアカデミー』(扶桑社/刊)で博士が気付いた“普通の人でも成功の役に立つ”13個の定理を公開します。
どうして博士はこうした異色の成功指南本を執筆したのか? 今回はぐっどうぃる博士にインタビューを行いました。その前編をお届けします。(聞き手/金井元貴)
■「成功哲学」も「恋愛指南」も同じくらい胡散臭い!?
―ぐっどうぃる博士というと恋愛指南のイメージが強いのですが、今回出版された『夢を叶えるアカデミー』は成功哲学をテーマとされています。これはどうしてなのでしょうか。
「自分にとって成功哲学は、恋愛と同じくらい重要なテーマなんですが、世にある成功哲学の本を読み、実践してみて、それが古くて不完全だということに気づいたんですね」
―確かに100年近く前に書かれた本がいまだに読まれていますよね。
「成功哲学の本質は80年ほど前から何も変わっていないと感じます。一方で、行動経済学、社会心理学、あるいはネットワーク理論など、さまざまな分野における新しい知見が、昔からある典型的な成功哲学に対して『その考え方は完全ではない。いくつかの箇所は間違っている』と指摘していると思うんです。
それは、ここ数年、マイケル・サンデルや、マルコム・グラッドウェル、アラン・ド・ボトンなどを初めとする、多くの学者やジャーナリストや哲学者たちも指摘していることです。
生命科学の分野で博士号を持ち、さまざまな理系分野の書籍も読みあさっている僕は、今の時代における最新の、そして実践的な“成功哲学”が何なのかが分かった気がしたんです。それを世に出す機会はないかなと思っていたところ、MSNから連載の話があり、執筆したら人気が出た、と」
―成功哲学に触れたきっかけについて教えていただけますか?
「僕は、ある目的のため、どうしても博士号が欲しかったのですが、自分の実力では無理でした。努力するのも苦手でしたからね(笑)。で、思い出してみると、中学校の頃、高校の教師をしていた従姉に勉強のコツを教わったことがあったのですが、彼女が『どんなものでも、コツさえつかめば、目的に最短でたどり着ける』と教えてくれたんです。だから、成功にもコツがあると思って、それを知るために本を読みあさり、実践し、自分のなかでは最短コースで博士号をとりました。それがきっかけです」
―MSNで連載をされていた時、気をつけていたことはなんですか?
「そうですね、『誰でも出来る成功哲学』を書くことです」
―それぞれ別の境遇や環境の中で生きている。その中で、誰にも共通する公式を読者に渡したいと思った。
「というよりは、一番ダメな人に対して書きました。誰でも理解できるということは、一番ダメな人でも理解できるということです。頑張っても続かない、なんでも“無理じゃん”と思ってしまう人向けに書きました」
―私は「成功哲学」と聞くと、胡散臭さを感じてしまう部分があるんですね。ただ、実際に読んでみると腑に落ちることも多いんです。そこで、ぐっどうぃる博士にお聞きしたいのですが、どうして人は成功哲学が必要なのでしょうか。
「成功したいって、言うなれば“幸せになりたい”ということですよね。でも、ちまたにある成功哲学ってのは、20世紀までの絶好調のアメリカにおいて、巨万の富を得てきた人たちの価値観が元となって書かれています。日本においても、つい最近まで、富を得れば幸せになるという価値観が主流でした。最近では、富を得ることイコール成功ではなくなってきています。贅沢をすることや消費することで幸せを感じる世代は、バブル経済を体感した人が最後でしょう。今の我々の“幸せ”はもっと深いんですよ。そういう意味でも、典型的な成功哲学の考えは古臭くなってしまっていると僕は思ってます。
でも、一方で、“幸せ”という言葉を前面に出すとスピリチュアルになってしまうんです。スピリチュアルは更に怪しい。だから、今ある本に名前につけると「成功哲学」になってしまう、と。みんな求めているものは一緒なんですけどね。ちなみに、胡散臭いといえば、恋愛指南書も同じくらい胡散臭いですよ(笑)」
―そうなんですか!?
「僕から見て、恋愛指南書と成功哲学は怪しい二大巨頭ですね」
―それをぐっどうぃる博士がおっしゃっていいのですか?
「いいですよ。だからこそ、僕が入る余地があったんです。そもそもぐっどうぃる博士という名前が怪しいけれど(笑)、そうしたものを理学博士号を持っている人間が、理系の側面で切るとこうなります、というものを見てもらいたいんですよね。
特に日本人が書いた成功哲学の多くは、自分の成功体験を書いています。でも、その人のやっていることすべてが成功と関係しているとは限りません。科学の実験においても、失敗したら試薬を変えたり、反応温度を変えてみたりして、あるとき上手くいくようになるのですが、そのために変えたことすべてが成功の要因ではありません。たとえば、試薬を変えたことが成功と関係しているかもしれないけど、反応温度は関係ないかもしれない。でも、多くの人は“変えたこと全てが成功した理由だ”なんて思ってしまう。個人の経験による成功哲学はどの点が成功の要因になっているのか分かりにくいんです。客観的にどういった部分が成功につながっているのか明示できれば、もう少し胡散臭さがなくなると思って、そこに配慮しました」
―なるほど。
「多くの人は表面的なルールを成功哲学の要因だと考えてしまいますが、本質はもっと奥にあります。例えば、『ありがとうを何回も言う』というルールがあったとします。これって要は人間関係を良くするというのがその本質だと思うのです。つまり、『ありがとう』を何度も言わなくても、人間関係を良くすればいい。また、人間関係も成功哲学の一部ですから、必ずしも人間関係を良くしなくても成功はできますし、一方で、人間関係を良くしても、その人自身が世の中に必要とされていなければ成功できません。
そうした要素は全部で13個あると思っていて、その要素をみんな磨くと、成功しやすくなるんです」
―もう少し詳しくお話をうかがいたいのですが、恋愛に例えるとどのような感じになりますか?
「例えば、メールが来ても3日間は連絡・返信をするなというルールがあったとします。でも、メールの相手は3日返信がなければ忘れちゃったり、“またこの手か”と思ったりするかも知れませんよね。この場合の本質というのは、男性は“手に入りやすそうで入らない距離”にいる相手に惹かれるということです。だから、相手によっては1週間や2週間経ってはじめて「あれ? どうしたんだろう」と思うかも知れない。メールでなくても、SNSにログインしないとか、日記を投稿しないでもいいんですよ。それが“手に入りやすそうで入らない距離”を作りますからね。このように本質が分かると応用ができるようになる」
―相手をドキドキさせるための一つの方法として、メールテクがある。
「そうです。この、“手に入りやすそうで入らない距離”や、なぜ人間がその距離に興味を持つかについてさらに考えるんです」
(後編へ続く)
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