75歳以上の老々介護が3割超え!ますます深刻になる老々介護の実態
高齢者が高齢者を介護する「老々介護」が深刻な状況に・・・
高齢化が急速に進む中、介護する人とされる人が同居するいわゆる「在宅介護」のうち介護をする側と受ける側がいずれも75歳以上の「老々介護」の世帯が、平成28年に過去最高の30.2%となり、初めて3割を超えたことが厚生労働省の国民生活基礎調査で分かりました。
また、65歳以上同士の老々介護も54.7%と過去最高となり、前回の調査の平成25年当時から、3.5ポイント上昇しているようです。このような状況を踏まえ、厚生労働省では「高齢化と核家族化で今後も老々介護は、増えていくと見られ、支援していく必要がある」としています。
介護が必要となる主原因が「脳卒中」から「認知症」に
これまで介護が必要となった主な原因は脳卒中だったのですが、今回の調査で原因として最も多かったのが「認知症」となりました。次いで脳卒中などの脳血管疾患、高齢による衰弱が続きました。
今回の調査で「認知症」が最も多くなったこともあり、ますます、「認知症高齢者」に対する対策が急がれることになりました。なぜなら、認知症高齢者を介護する「老々介護」の現場では、かなり深刻な状況が見受けられるからです。
介護される認知症高齢者の様々な症状に対して、介護する側の高齢者が対応できることには限界があります。訪問ヘルパー等の支援を利用できますが、時間的な制約があり、それ以外の時間での介護負担が大きいのです。しかし、施設などの入所となると金銭的な負担が大きいことや希望する施設への入居が難しいなど、もはや家族や親族だけでは解決できない状況が続いています。
老々介護の支援は、介護保険制度で必要なサービス提供を
「老々介護」で最大の問題は、介護者による介護の限界で共倒れになってしまうことです。これまでの介護は、健康な家族が高齢者の介護を担うことが多かったのですが、最近は、高齢化が進み、介護が必要な高齢者同士で支え合う状況が進んでいます。
今後、ますます高齢化や核家族化が進むことが予測されるのですから、「老々介護」はますます増加することになります。そのような中で、「老々介護」支援していくためには、介護の必要となる方の状況に応じ効果的な介護保険サービスを活用することや介護する方に対する定期的なケアができる仕組み作りが必要となります。
そのためにも地域における仕組み作りである「地域包括ケアシステム」の構築が急がれるのです。医療・介護・住まい・地域が連携して、「老々介護」を一家族の問題とするのではなく、地域で支え合う仕組みとして、位置付けることが望まれます。
(松本 孝一/介護事業コンサルタント)
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