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「1つの専門」だけ極めていては、キャリアは“守り”に入ってしまう――東京大学・柳川範之教授が語る「AI時代のキャリアプラン」

とにかく変化が激しい今の時代。進化する人工知能(AI)が既存の職業を肩代わりしていくという未来予測も発表され、20代・30代のビジネスパーソンの中には「上の世代をそっくり見習うわけにはいかないが、これからどうしていけばいいのかもよく分からない」と戸惑っている人も多いでしょう。はっきりした将来がかつてないほど見えづらい中、よりよいキャリアを築いていくために、私たちは一体どうすればよいのでしょうか。

厚生労働省の「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会で事務局長を務めた、東京大学大学院経済学研究科の柳川範之教授に聞きました。f:id:k_kushida:20170626115220j:plain

柳川 範之 (やながわ のりゆき)

1963年生まれ。経済学博士。専門は金融契約、法と経済学。高校生時代を父親の赴任先であるブラジルで過ごし、独学で大検に合格。慶應義塾大学経済学部通信教育課程を卒業後、1993年3月に東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。慶大経済学部専任講師、東大大学院経済学研究科助教授を経て、2011年12月から同教授。2016年8月に経営者や人工知能研究者、法律家らが報告書をまとめた厚生労働省「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会で事務局長を務めた。

著書に「40歳からの会社に頼らない働き方」(ちくま新書)などがある。

企業は少人数になり「プロジェクト化」していく

―「働き方の未来2035」では、働き方の未来像について各界の専門家からの意見がまとめられました。その結果もふまえ、これからの10年、20年でどんな変化があるとお考えですか。

「職場」と「企業」のあり方が、技術の発展によって急速に変わっていくでしょう。

クラウドで共有された資料を外出先から確認している人や、離れた場所にいる同僚とお互いの空き時間にメールし合って仕事を進めている人は多いと思います。資料を持ち出す手間が減り、時間や場所をそろえなくても一緒に働けるようになったという意味で、既に以前よりも働き方への制約が実は少なくなっています。当然こうした動きは、今後どんどん加速していきます。育児や介護のかたわら自宅で仕事を続ける、あるいは海外にいながら日本の業務に加わるといった「時間と空間に縛られない働き方」が当たり前になるでしょう。

技術革新のスピードが速くなり、しかも時間や場所にとらわれない選択が可能になるため、ビジネスを取り巻く環境の変化も一層激しくなるはずです。その速い変化に対応するためには、組織や人の構成を迅速に組み替える必要が出てきます。その結果、企業は、それぞれのプロジェクトごとに目的にふさわしいメンバーが集められ、そのプロジェクトが終了したら解散するという、プロジェクト型の組織に変わっていくという見方もあります。そうなると、人々は複数のプロジェクトに所属して活動するのが一般的になっていくでしょう。近ごろ注目されている兼業や副業も、こうしたいくつかのプロジェクトに所属するという形の、さきがけとみることができるかもしれません。

―制約がなくなるのはよいですが、同時に「これならずっと安心」という確かな道筋も消えていく気がします。

そうですね。「手に職をつけておけば安定した生活が手に入る」と考える人は今でも少なくないと思います。しかし、どんなスペシャリストであっても、その技能をAIの方がうまくできるようになれば社会的な需要を失ってしまいます。実際そういうケースが出てくる可能性が、かなり高い。専門性を身につけることで直近の安定を手に入れられても、未来までは保障されない時代を迎えたのです。

もちろんこれからも、専門を持てば強みとなることに変わりはありません。ただ、その専門性を時代に合わせて、少しずつ変えていける能力が重要になってくるでしょう。

1つに賭ける潔さが、かえって「しがみつき」を招く

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