『ゴースト・イン・ザ・シェル』のバトーさんを直撃! 原作愛がハンパなくて『イノセンス』制作を懇願するレベル

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1989年に士郎正宗の原作コミックが出版されて以来、アニメ映画、テレビアニメシリーズ、小説、ビデオゲームなど様々なカタチでファンを魅了してきた『攻殻機動隊』が遂にハリウッドで実写化。映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』が4月7日(金)より日本公開を迎える。

主人公の少佐役にスカーレット・ヨハンソン、荒巻役にビートたけしを迎えた今作で、シリーズ屈指の人気キャラクターであるバトー役を演じたのは、デンマーク人俳優のピルー・アスベック。「次回作に『イノセンス』をやりたいな。あれはバトーがメインで活躍する話だからね(笑)」と語る彼に、『攻殻機動隊』との出会いや実写版におけるバトー像について話を聞いた。

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アスベック:「日本での公開が一番緊張しているよ。『攻殻機動隊』は日本文化の大きな一部だからね。僕らは、士郎正宗や押井守が作り上げてきた伝統を讃える作品にしたかった。この映画を通して、世界中の人々が彼らの作品に触れるキッカケとなって欲しいな」

親子でジブリ好きを公言するアスベックは、ファステラウンと呼ばれるデンマーク版のハロウィンで「娘が『もののけ姫』のサンの仮装をしたんだ」と笑顔で写真を見せてくれた。そんな彼が『攻殻機動隊』と出会ったのは、ジブリ作品よりも早い14歳の頃だったという。

アスベック:「押井守が監督した1995年の劇場版アニメ(『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』)が、ヨーロッパでも1年遅れくらいで公開されたんだ。それが初めて日本文化に触れた瞬間でもあった。学校の皆が観ているような作品ではなく、当時はある種カルト的なものだった。サイバーパンクなSF世界を目にして、50年後の未来を想像したよ。アイデンティティを模索していた14歳の僕にとって、少佐の言葉や物語がとても刺さった。『もののけ姫』などのジブリ作品もそうだけど、90年代に日本で生まれた作品が、2017年になってもデンマークのある一家に愛されている。それこそが、まさにアートの持つ力だと思うよ」

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親日家のアスベックにとって、荒巻役・ビートたけしとの共演も刺激的な機会となったようだ。

アスベック:「彼のような伝説的な人物と仕事ができて最高だった。彼はヨーロッパでも非常に人気の高い人物だ。実はコメディアンだとは知らなかったんだけどね(笑)。『七人の侍』やたけしサンの『座頭市』もそうだけど、日本映画は“復讐”というテーマを最も美しいカタチで表現していると思う。そして、それは今作にも通じるテーマだね」

今作では、人間とテクノロジーの境界線が曖昧になった近未来を舞台に、脳以外は全身義体の少佐率いる公安9課が、謎のサイバーテロリストを追う。アスベックが演じたバトーは、任務における少佐の相棒であり、彼女が警戒せずに付き合える数少ない理解者でもある。現在35歳のアスベックは、今回の実写版では「アニメ版よりも10歳ほど若いイメージでバトーを演じた」と明かす。

アスベック:「バトーは大きな身体とハートを持っている。実写版は、パワーとユーモアを兼ね備えた押井版に、原作に近いルックスを合わせた感じかな。ピザとビール、そして犬が大好きだ。現場にいた犬の名前は何だったと思う? ガブリエルだ。最高だよ! ガブリエルはキリスト教で大天使の名前だよね。バトーは少佐にとっての守護天使なんじゃないかな。僕はそう思ってるよ」

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「映画の中で描かれているわけじゃないけど」と前置きしたうえで、アスベックは自身が考える少佐とバトーの関係性をさらに掘り下げて説明してくれた。

アスベック:「僕の考えでは、バトーは少佐を愛していると思う。でもそれは成就するものではない。美しいラブストーリーであり、つらい恋のカタチだ。かなわない恋だからこそ、次に出来ることとして、彼女のそばにいて彼女を守ろうとしている。『イノセンス』では、バトーが家の鍵を20個くらいつけているシーンがあるよね。あれはつまり、“誰も入れたくない”という気持ちの表れであって、少佐にも通じる部分だと思う。だからこそ、2人は繋がりを持てるんじゃないかな。バトーは、少佐の擬態化した姿、つまりその魂、精神性……言うなればゴーストを愛しているんだ。彼がどんどんと義体化していくのは、少佐と同じような環境に身を置きたいという思いもあったんじゃないかな

アスベックによると、スクリーンに登場時のバトーは義体化率わずか5%で、腕のパーツ以外は生身の人間のままだという。それから“とある事件”に巻き込まれ、「バトーのアイコン」である義眼レンズを装着することになる。

アスベック:「西洋では“目は魂の窓である”という考え方がある。義眼レンズをつけると、“まさにバトーだ!”という気持ちになって、とても嬉しかったよ。メイクには毎朝4時間かかった。実際はほとんど何も見えないんだ。スタントで人の顔を殴ったり、自分からクルマに突っ込んでいったり、とにかく大変だった(笑)。義眼レンズを装着する前後では演技のアプローチを変えているよ。前のめりに行動していたのが、よりコントロールされた動きをするようになる。ただし、どれだけ義体化が進んでも、彼の人間的なハートを感じさせることは非常に重要だった

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アスベック:「バトーは多くの人に愛されているキャラクターだ。正直なところ、ファンの期待を裏切ることができないという怖さを感じていた。実写版で初めて『攻殻機動隊』に触れた人が、原作やアニメを手に取ってくれたら、その時がこのプロジェクトの成功と言えるだろうね」

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映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』本予告(YouTube)
https://youtu.be/s4AyHeyKZrc

映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』公式サイト:
http://ghostshell.jp/

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よしだたつき

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PR会社出身のゆとり第一世代。 目標は「象を一撃で倒す文章の書き方」を習得することです。

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